ビットコイン乱高下を煽りまくる報道で「カモ」にならないニュースの読み方ーーJPモルガン・ダイモン氏の例

by VentureBeat ゲストライター VentureBeat ゲストライター on 2017.9.16

Photo credit: komersreal via VisualHunt / CC BY

編集部注:寄稿者のAdam Ghahramani氏はbison.ggのパートナーであり、暗号通貨によるe-Sportsやゲーム、イベント、チームへの投資を手がける。詳しくはadamagb.comで。

これがいわゆる「ハロー効果」ってやつなんだろう。

ビットコインはとりわけ合理的なビジネスジャーナリストをアホにさせてくれる。今週の見出しを見てみてほしい。

LinkedInにこんな感じの大量のタイトルが「ビットコイン暴落再び、その理由とは」という内容でまとめられていた。

崩壊!暴落!下落!急降下!落下!ーーとまあこんな文字が並ぶんだから、あなたがビットコインが底の底まで落ち切ったと思うのは仕方がない。あまり煽りの少ないブルームバーグのような記事タイトルでさえ恐ろしさ満点のグラフを見せるのだから。

そして気がつくわけだ。Y軸が4100ドルで始まって高値が4400ドルになってることを。記事やタイトルはこういったことを簡単に省略してくる。つまりーー

  • ボラティリティは至って普通。夏にビットコインが5%以上も乱高下した時は21日間だった。週に2回ぐらいのことで「いつも」乱高下し続けてるって言える?
  • 次に文脈。ビットコインの年初価格は600ドルだった。今日は4000ドルだ。この成長の文脈において「暴落」は何を意味するのか?ビットコインはその価値の70%を失うかもしれないが、今のところ年次で言えば100%の利確ができる状態なんだ。
  • Bitcoin Cash。ビットコインの価格は先月に無料で配信されたBitcoin Cashのような「フォーク(分裂)」を考慮していない。分裂したBitcoin Cashは1ユニットあたり500ドルで取引されているので、ビットコインの価格が下がったとしても所有者はまだ利益を得ることができる。

どうだろう、もし本当にこの暗号通貨が内部崩壊した際の見出しがどうなるかを想像できるだろうか?「ビットコインは超絶本当にマジでどうしようもなくなった!今度こそ本当に!」ぐらい必要ってことだ。

乱高下を誇張したタイトルで大げさに報道することは、株式報道の場合は必要とされるのかもしれないが、ビットコインについては特に誤解を招くことになる。

ではなぜこのアプローチがうまくいかないのだろうか?

ビットコインの日々の価格は重要じゃない。金や電力のインフラに取って代わるものと思ってるからブロックチェーンに投資しているんだ。安定した短期的な利益を得られるものと思ってるならそれは間違いだ。ビットコインはゼロイチの投資であり、公開された株式よりもスタートアップのシード投資に近いものなんだ。

それに価格の変動に関する扇動的な見出しは悪人に利用される。ビットコインにおける大物が考える戦略の1つは、悪いニュースが出てくるまで(中国ICO禁止のように)待ってから、消費者とメディアのパニックを誘発するのに十分なビットコインを売り払い、その後の持ち直しを刺激するための買い戻しする、という方法だ。このスキームで最大のカモになるのは適切に教育されていないビギナー投資家、ということになる。

扇動的なタイトルはそこで働く人々の人生も踏みにじる。私はe-Sportsのブロックチェーンプロジェクトにコツコツと取り組んでいるのだが、想像してほしい。友人が「おい!ついにビットコインが暴落したぞ!」って毎回のごとく記事を送ってくる状況を。心臓が止まりそうになる。

因果関係を考える

JPモルガンのCEO、ジェイミーダイモン氏がビットコインのことを「詐欺」と呼んだことで、価値が大幅に失われたのは今週のことだ。暗号通貨の関連記事にはこういった因果関係に関連したものが多く、その多くが驚くほど浅はかなものなのだ。じゃあ例として、ダイモン氏の主張を精査してみよう。

  • ダイモン氏はそもそも2014年以来、ビットコインをクソミソに言ってたので彼の発言については何も新しいことはなかった。
  • ダイモン氏よりも強い影響力と名声を持つ人々(ウォーレン・バフェット氏、ビル・ゲイツ氏、アル・ゴア氏、マーク・キューバン氏、ウィリアム・シャトナー氏など)がビットコインについて日々、肯定的および否定的な言及をしている。日々、新しいものが出てくるわけで、報道されるかもしれないが、そんなことでビットコイン保有者が大量販売するきっかけになることはない。
  • ビットコインは世界規模のものだ。中国やロシアの投資家はJPモルガンがなんなのかすら知らない。
  • 暗号コミュニティはこれに乗じて売るよりもダイモン氏の嫌がらせをけしかける可能性が高い。ブロックチェーン全体がJPモルガンのような金融企業を破壊させることになるからだ。彼らはビットコインに対するダイモン氏の暴言を聞くことが、石油産業のトップたちがテスラについて暴言を吐いてるのと同じように聞こえるらしい。つまり、ビットコインが何か正しいことを行っているという証左でもある。
  • こういった類にはソースや説得力のあるデータ分析は含まれていない。単なる憶測なのだ。なぜダイモン氏のインタビューでビックリ仰天して売り払っちゃったビットコイン保有者を見つけられないのか考えてほしい。ブロックチェーンを調べれば実際に5万ビットコインの売却状況を確認することができるのだが、そういう人は見つかっていない。

一般的なジャーナリストや評論家が、暗号通貨の変動の原因を追跡することは非常に困難だ。例えばある退職したプログラマーが、1億ドルのビットコインを含む古いハードドライブを発見したとする。その彼が匿名で現金化し、バタフライ効果の引き金を作り出す。同じ週、ダイモン氏がビットコインをいつものように批判する。しかしそこには明確な7%の下落が結果として生まれる。ま、こういうことだ。

解決方法

ビットコイン報道を改善することは特別なことじゃない。通常のボラティリティの範囲内にある場合は価格変動に執着しないことだ。盲目的に原因をあらゆる乱高下に結び付けない。また文脈にも注目すればいい。1週間でビットコインが200%上昇し、その後20%落ちる場合、その下げ幅はデカいことなのか?また、僅かばかりの人たちが利益を引き出しただけじゃないのか?

ビットコインの掲示板で実際に動きを学ぶのも大切だ。最も重要なのは、通常の株と同じようにビットコインを考えることはやめるべきだということだ。根本的に違うものだから。

ビットコイン報道は別にポジティブである必要はないが、そこには大きな間違いが潜んでおり、サーカスみたいな状態になることもないと考えている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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