植物EC「HitoHana」運営Beer and Tech、GBとANRIから1億円を調達——フルフィルメント強化とデータドリブン手法で、ロングテールに対応

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.10.4

埼玉にある HitoHana のフルフィルメントセンターで。
Beer and Tech の CEO 森田憲久(右)と CTO 伊藤義章氏(左)
Image credit: Beer and Tech

コンシューマ向けに植物 EC「HitoHana(ひとはな)」を展開する Beer and Tech は4日、直近の資金調達ラウンドで1億円を調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターはグローバル・ブレインが務め、ANRI が参加した。テクニカルには今回がシリーズ B ラウンドだが、Beer and Tech は前回調達時から業態を大幅にピボットしているため、実質的にはシリーズ A ラウンド相当としている。以前までのラウンドで、Beer and Tech は ANRI、プライマルキャピタル、East Ventures から資金を調達している。

Beer and Tech は2014年8月、ネット専業広告代理店出身の森田憲久氏らにより創業。2014年10月には、Incubate Camp 7th で「スマート予約」なるサービスを披露している。スマート予約は約1年ほどサービスを継続したが、スケールに限界があると判断しピボット、胡蝶蘭生産者の家に生まれた森田氏は、身近にあった花卉業界の課題に注目し2015年末から HitoHana を開始した。

サービスの差別化が図れる、個人のインテリア需要に特化

HitoHana
Image credit: Beer and Tech

あらゆる商品販売や流通の EC 化が進む中で、花卉業界は最もデジタル化が進んでいない領域の一つ。実際、現在提供されている植物 EC の多くは実店舗に並んでいる鉢植や花束などがオンラインで購入できる、という程度のもので、EC のもたらすメリットの一つである商品のロングテールは実現できていないところがほとんどだ。

森田氏は当初、B 向けの植物 EC から着手したが、法人需要においては安くて早くて妥当な商品にオーダーが集中してしまい、サービスの差別化ができないと判断。部屋や家具の風合いにあわせ、自分でお金を払って購入する個人のインテリア需要に特化することにした。

街の花屋など花卉の実店舗の店頭では、どうしても商品のバリエーションに限りがあり、消費者は自分の嗜好にあった商品を選ぶのに限界がある。HitoHana では、植物、花瓶、鉢などを自在に組み合わせて出荷できるフルフィルメントセンターを開設し、商品に無数のバリエーションを実現。多くのオーダー情報を元にヒット商品を的確に把握し、将来の売れ筋を予測して仕入れることができるしくみを構築した。

植物 EC 業界には、リアル店舗チェーンが兼業しているもの、ネット専業社の両方をあわせ、日比谷花壇、青山フラワーマーケット、花キューピット、イーフローラなどの競合が存在する。残念ながら受注件数や EC 売上高に関する統計はどこにも公開されていないが、ウェブサイトへのアクセス数が一定の比率でコンバージョンしている前提に立てば、アクセス数のランキングは EC 売上高の順列を概ね反映したものになるはずだ。サービス開始から2年に満たない HitoHana だが、商品バリエーションの多さや SEO 対策などが功を奏し、すでに老舗他社をしのぎトップ5にランク入りを果たしている。HitoHana の場合、現時点で取扱商品は鉢植に限定されているが、それでもこの領域でトップの座に躍り出るのは時間の問題だろう。

キメの細かいロジスティクスを生かした委託販売も、売上の大きな柱に

HitoHana
Image credit: Beer and Tech

例外はあるものの、鉢植などの植物を通常の宅配便で送る場合には難を伴うことがある。荷造りにおける制約、温度管理が必要なものや背の高いイレギュラーサイズの植物の配送などへの対応を考えると、結局のところ、自前でロジスティクスのネットワークを作ってしまった方が効率的なのだそうだ。

HitoHana で植物をオーダーすると、首都圏ではこの自前のロジスティクスを使って配送がなされるが、Beer and Tech ではその空いた隙間のロジスティクスを使って、市中の小売店舗の店頭を活用した委託販売も行なっている。例えば、大手家具販売店の一角に鉢植の販売コーナーと開設してもらうことで、消費者はインテリアをコーディネートしながら、家具と植物をまとめて購入できるといった具合だ。ここにも EC と同じくデータドリブンなアプローチが適用されているのに加え、自前のロジスティクスで納品や商品の入替が効率的に行えるため、店頭のキャンペーンや消費者ニーズに応じて商品ラインアップを最適化しやすい、と森田氏は自信を見せた。

リアル店舗のロジスティクスの一部を EC 事業者が担うことで、店頭の商品ラインアップの最適化を図る取り組みは、2015年5月に資本業務提携した、スポーツチェーン大手アルペンと靴 EC 大手ロコンドの間でも見て取れる。リアル店舗を持つチェーン大手がコストを圧縮し利益を確保できる SPA(製造小売)にシフトする中で、D2C(direct to consumer)モデルで知見を貯め、潤沢な取扱商品のバリエーションと、効率の良いフルフィルトメントやロジスティクスを持つ EC 事業者がリアル店舗の店頭を補完する現象は、今後、多くの業態で散見されるようになるだろう。

HitoHana では現在、首都圏のみ自前のロジスティクスで運用しており、それ以外の地域については、商品入替による引き取りの必要のない、インテリアコーディネイターやリノベーション会社などから受注する場合にのみ、一般の宅配便を利用して配送している。

同社では今回調達した資金をもとに、大阪・名古屋・福岡などにもフルフィルメントセンターを開設し、首都圏と同等のサービスを全国で提供できるよう、自前のロジスティクス網を拡大したいとしている。現在は鉢植のみを扱っているが、今後フローリストなど花の専門家を採用し、切り花なども取り扱えるようにする計画だ。

この分野では、2013年にイギリスで創業した Bloom & Wild が約625万ポンド(約9.3億円)を調達している。アメリカでは NASDAQ に上場している 1-800-Flowers(NASDAQ:FLWS)、2012年設立の The Bouqs Company(これまでに4,310万ドルを調達)などがベンチマーク対象になるだろう。

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