ランサーズが月額50万円以上の実名プロマッチング「Lancers Top」開始、Timebank的タレントマーケットへの言及も

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2017.10.2

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クラウドソーシング事業を展開するランサーズは10月2日、トップレベルの専門性を持つタレントマッチングサービス「Lancers Top」の提供を開始すると発表した。同社が今年に発表している「Open Talent Platform」構想の一環で、サービス開始当初は首都圏のエンジニア人材を対象とした企業とのマッチングを提供する。同構想では様々なスキルを持った人にオンデマンドで依頼できる「pook」が先行リリースされている。

Lancers Top(以下、Top)はこれまでのクラウドソーシングで重要視されてきた「案件」によるマッチングではなく、有能な技術や経験を持つ「人物」にフォーカスしているのが特徴。Topに登録されるには厳正な審査が用意され、テストを突破した上位のタレントにのみ依頼案件が紹介されることになるほか、依頼する際の最低価格保証などが設定される。まず最初に対象となるITエンジニアスキルについては、三段階の審査でタレントを選抜し、スキルテストで上位10%に残った人が対象となるほか、月額報酬も50万円(時給換算で3000円)以上が設定されている。

提供される仕事についても、その人物の技術力のみならず、性格やこれまでの仕事内容からの適正などを含めて依頼案件とマッチングされることになる。同社では仕事開始まで最短2週間程度で迅速にマッチングを実施するほか、週2日からの案件参加を提示するとしている。マッチングにかかる手数料は10%で、案件マッチングの調整には専属の人員がサポートすることになる。いわゆる人材派遣や人材紹介とは異なり、あくまでクラウドソーシングの一環としてサービス提供される。

実名で変えるクラウドソーシング、ポイントはマッチング精度

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Lancers Topを推進する石山正之氏。自身も3度の起業経験がある

クラウドソーシングは私たちの働き方を変える手法である一方、どうしても「安かろう悪かろう」のイメージがつきまとう。昨今のコンテンツ増産問題で1記事数十円の内職のような発注がクローズアップされたことも要因のひとつだろう。ここに大きく関係してくるのが「マッチング精度」の問題だ。単価が低い作業があるのは決して悪いことではないが、そのことが影響して高いはずの仕事まで安く押し下げられてきた経緯がある。

Topはその答えとして徹底的な「タレント」にフォーカスしたスキームを用意した。今回事業を担当する石山正之氏の説明では、三段階ある審査には全問やり通すのに90分近くかかるようなテストまで用意して詳細に受注者の情報を分析しているそうだ。リモートワークする人材に対して大した金額を払いたがらない傾向にある企業でも「依頼したい」と思わせるには、情報精度のハードルを相当に上げる必要があったようだ。

受注する側の情報もさることながら、依頼する側の企業に関しても情報を集めるという。双方の情報なくしてマッチングの精度は上がらないからだ。まだ試行錯誤中という印象はあったが、例えば依頼する側の企業のエンジニアや役員層にも同様のテストを受けてもらい、双方の温度感を合わせる。こういった相互情報を収集してできる限りシステム的に「相性の良い」マッチングを提供しつつ、最後は人の手でフォローアップする。

今回対象となるのは需給バランスが大きく崩れているエンジニアが中心だが、今後、バックオフィスや秘書業務といった分野にまでタレントマッチングを広げていきたいということだった。

タレント版「VALU」「Timebank」的考え方も

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Timebankはメタップスが提供するタレントの時間取引所

今回の取材でひとつ面白い話を聞くことができた。今、巷を賑わす新たなタレントプラットフォーム「VALU」や「Timebank」の存在だ。仮想通貨により人の価値を可視化し、トレードすることでその評価額に「動き」をつけた。投機的な興味や一部トラブルも相まって認知が広がっている。

ただこれら値動きの面白さの一方で、その人が具体的に何をしてくれるのか?という点は実は弱い。VALUはあくまで寄付であり、優待行為はユーザーの任意となっているし、Timebankもコンサルティング的な内容が目立つ。その点ランサーズには具体的なスキル情報が蓄積されている。もしここにいる人たちが「コイン化」して取引できるようになったらどうだろう?

同社代表取締役の秋好陽介氏も相当に検討をしているようで、具体的な言及まではなかったが、できれば現在の人気ランキング的に「芸能人的な」認知のある人たちだけでなく、本当に一般の人たちがマーケットに参加できる仕組みができないか模索している様子は伺えた。

私もVALUではいろいろ調査も兼ねて参加させてもらっているが、前述の通り、自分の技術や能力というより肩書きなどのふんわりとした「外見」で人気ランキング化しているように思う。当然ながらそれ以上でも以下でもないので流動性は低くなっていく。株式公開市場であれば市場に動きを出すため、四半期の開示やありとあらゆるデータが株主に対して提供されるので、こういったデータを保有する側が今後、仮想通貨を介したマーケットを開くともう少し別の動きが感じられるサービスになるかもしれない。

あくまで私の勝手な想像であり、秋好氏らが具体的にサービス検討するかどうかは不透明だが、案件だけでなく「人の価値」にフォーカスするのであれば、その人たちが持つ定性的な能力だけでなく、こういった定量指標があった方がフリーランス人材の流動性は高まることも予想される。

いずれにせよ、クラウドソーシング界隈が仮想通貨、ブロックチェーンという手段を手に入れて、どう動き出すのかは相当に注目している。

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