法務系クラウドAIサービス「Holmes(ホームズ)」提供のリグシー、500 Startups Japanから数千万円を調達

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リグシーの皆さん
前列左から:COO で弁護士の吉田倫子(よしだみちこ)氏、500 Startups Japan 澤山陽平氏、リグシー CEO で弁護士の笹原健太氏、500 Startups の James Riney 氏 ほか
Image credit: LegSea

人工知能(AI)を使った法務系クラウドサービス「Holmes(ホームズ)」を開発・提供するリグシーは24日、シードラウンドで数千万円を調達したと発表した。今回調達した資金を使って、同社では IBM の Watson を活用して、システム開発を進めるとしている。

リグシーは今年3月の設立。クラウド上で契約書の作成・締結・管理までを一貫して行える Holmes を8月にリリースした。弁護士が作成した200種類以上の契約書テンプレートから選択し、クラウド上で直接編集が可能。さらに契約書を当事者間相対で紙の形で持つのではなく、クラウド上で共有することにより、印紙代や郵送費を削減することも可能だ(電子契約の場合、印紙税の課税対象とならないため)。

Holmes での契約書締結画面
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Image credit: LegSea

契約書内容の編集もクラウド上で行えるため、企業内の管理部門や経営部門での内容推敲もスムーズになる。当事者間で了解された契約書内容は、契約締結とともに第三者機関認定のタイムスタンプで保持され、一方的都合による内容の変更や改ざんはできなくなる。サービスはフリーミアムで提供され、すべての契約書のテンプレート、作成・編集機能、管理機能が使えるスタンダードプランが月額980円、企業利用を想定した契約書管理オペレーションの改善を含むコンサルティングのあるエンタープライズプランは、料金別途見積となっている。

この分野では、弁護士ドットコム(東証:6027)が2015年10月からサービスを提供するクラウドサインや、2015年11月にサービスを開始した GMO の Agree などが先行する。少しサービスの種類が異なるが、Twitch で知られる Justin Kan 氏が設立した Legal Technology Services(Legal Technology Services を利用する法律事務所 Atrium の記事)や、スタートアップの資金調達に絡む法務管理を SaaS 化するイギリスの SeedLegals など、ホットになりつつあるリーガルテックというバーティカルだ。

Watson を使って Holmes を作るという、コナン・ドイルの有名シリーズにちなんだ名前付けからも伺えるように、Holmes の従来からある類似サービスとの差別化要素は、どうやら AI を使った技術の部分にヒントがあるようだ。今後開発が進む Holmes のどの部分に AI が活用されるのかは明らかにされていないが、「紛争や裁判を予防する」という、リグシーの CEO で弁護士の笹原健太氏が掲げるビジョンに沿ったものになるだろう。

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