エンジニアがプロダクト起点で転職先を探せるアプリ「Mewcket(ミューケット)」、シードラウンドでCAVや個人投資家から数千万円を資金調達

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エンジニアがプロダクト起点で転職先を探せるアプリ「Mewcket(ミューケット)」を開発する Mewcket は26日、サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)、ファンコミュニケーションズ(東証:2461)創業者の柳澤安慶氏、人事マネージャー・社外アドバイザー・投資家の河合聡一郎氏の2人の個人投資家から、シードラウンドで総額数千万円を資金調達したと発表した。

Mewcket はこれと同時に、社名をハチキューから Mewcket に変更しており、今年8月からクローズドβ版として運用してきたアプリ Mewcket を、12月1日に正式版としてローンチすることを明らかにした。

Mewcket の設立は2016年8月(設立時の社名はハチキュー)。これまでシステムの受託開発などを行いながら、ブートストラップモードで Mewcket の開発を進めてきた。同社にとっては、今回のラウンドが初めての外部からの資金調達となる。

Mewcket はニュースを読むような感覚で、プロダクト本位で紹介される IT 企業やスタートアップ各社の記事を閲覧でき、そこから自分に会った会社への転職を検討することができるモバイルアプリだ。ユーザはアプリから提示される各社の記事に対し、Tinder ライクなインターフェイスによりスマートフォンの画面を左または右にスワイプすることで、アプリはユーザの好みを学習していく。ジョブデスクリプションの紹介だけに終始した情報ではないので、ユーザからは読み物アプリとしての評価も得られ、転職検討層も取り込めるところが特徴だ。

一方、Mewcket に対して求人情報を出稿する側の IT 企業やスタートアップにとっては、転職検討者からの応募がなされた時点が課金される料金体系となっており、定期的な基本料金は発生しないのでコストのリスクが少ない。出稿企業はプロダクトを持っていることが条件となっており、開発受託しかしてない企業、コンサルティングサービスのみの企業、MVP を持っていないスタータップなどは、原則として Mewcket に記事を掲載することはできない。

転職支援のオンラインサービスとして見たときに、Mewcket が他社と比べ圧倒的な優位性を持つのはユーザ獲得コスト(user acquisition cost)の低さだろう。Mewcket CEO の小林奨(たすく)氏は具体的なコスト感については明らかにしなかったが、Mewcket を使うユーザのおよし75%が転職検討層で、残りの25%は Product HuntServiceSafari を訪れるような、一通りの情報を把握してきておきたいような人々だろうと教えてくれた。

8月にアプリローンチしてからこれまでは、エンジニア1,000人、求人している企業100社につかってもらってのテストのフェーズでした。まずは、MVP を出したという感じ。そこでわかったことは、ニュースプラットフォームを作ったことで、ユーザ獲得コストを抑えてユーザを集められたことと、就職検討層が意外に多いんだな、ということでした。

ニュースを読んだ人から、どの程度が応募に結びついていくか、そのコンバージョンレートはこれから見ていきます。Mewcket を使えば、転職にあたってのハードルが低くできるのではないか、と。その検証をするのがこれからのフェーズです。

テスト期間中に得られたフィードバックをもとに、同社では Mewcket の UX や UI を刷新し、12月1日にアプリを正式版としてローンチする予定。また、正式版の発表を受けて、同社では11月から月に一度のペースで、エンジニアを募集している各社と50人規模のミートアップを開催していく。各社で新規サービスを手がけるエンジニアを交え、そのために必要なスキルセットやマインドセットなどが議論される。

細かい仕様は異なるものの、Tinder ライクなスクリーンのスワイプでエンジニアに転職機会を提供するという点では、先日、Skyland Venturesのインキュベーションプログラム「WAVE」で紹介された「GLIT(グリット)」のことが頭に浮かぶ。非常にホットな UX かつバーティカルであるため、今後、複数のスタートアップが同じようなアプリを出してくる可能性があるようだ。

Mewcket では今回調達した資金を使って、インタビュー記事など企業の情報を執筆するライターや営業担当者の拡充を図りたいとしている。

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