暗号通貨を実経済に展開する新しい銀行「ネオバンク」という存在とその価値

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<ピックアップ> You can soon buy and store bitcoin directly with this British “neobank”

bitFlyerが国内で初となる仮想通貨販売・取引所を開設したのが2014年5月。当時の記事に貼ってあるスクリーンショットを覗き込むとビットコイン価格が今の10分の1で「ああ、この時におもクソ買っておけば」と無駄なタラレバに心を奪われます。

で、今でも覚えているんですが、同社の創業者で代表取締役の加納裕三さんに「で、ビットコインって実際の社会で使えるもんなんですか?ねぇ?ねぇ?これ本当に使えるの?ねぇ?」と再三にわたって意地悪く尋ねていたことを思い出します。今となってはビックカメラ全店で使えたり、昨日発表されたカンムとの連携プレーではVISAとしてもう普通に実社会で使えるようになってしまいました。加納さん本当にごめんなさい。

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開始当時のbitFlyer。ビットコイン価格がまだ5万円になっていない

ただ、今回、カンムとbitFlyerが連携した取り組みは昨年10月にすでにもう一つの取引所、コインチェックとの間で発表されているもので目新しいものではありません。私も当時、「わざわざボラのクソ高いビットコインでVISA使う理由は?」という頭悪い質問をしていました。大塚さん本当にごめんなさい。

で、今日も何気なくニュースをチェックしていたら、英国のRevolutがそれっぽいものを開始するという話が載っていました。Revolutはロンドン拠点、2015年創業のフィンテック銘柄で、銀行を通さずに外為両替ができるサービスを提供しています。90種類ぐらいの通貨に対応していて、為替で損せずに異国間での支払いを便利にしてくれます。実社会で使う場合はデビットカードとして利用しますので、海外で使ったら便利なカンムのサービスといった感じでしょうか。

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Revolut

このRevolutが利用できる対象となる通貨を法定通貨から暗号通貨に拡大した、というのがQuartzに載ってる内容です。対象になったのはビットコインだけでなく、ライトコイン、イーサリアムも利用可能。Revolutアカウントを持っているユーザー同士での送金(転送)やコインの購入・販売もこのアプリ内で可能です。

で、何が便利になるのでしょうか?

実際にビットコインを購入したことがあれば分かると思うのですが、暗号通貨<>法定通貨<>実社会での利用を実現するためにはまず暗号通貨を購入するためのウォレットを使うため、取引所に口座を開設する必要があります。銀行口座ももちろん必要です。そして実社会で利用するためにはカンムが発行するバンドルカードやQRコードのような「出口ツール」も用意しなければなりません。

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開始当時のコインチェックとカンムの取り組みイメージ

これらを全部用意して暗号通貨を購入してカードにチャージ(こちらも専用アプリがもちろん必要)して初めて実社会で使えるようになるわけです。書いてて思いましたが、それだったら現金だしますわな。Revolutのソリューションはこれをまあ、一切合切一気通貫したものと考えていいでしょう。暗号だろうが法定だろうが通貨というものをどこの国でも使えるようにしてやるぜ!的な。

「いや、そこまでしてビットコイン使って買い物する理由がわからん」というものがあるかもしれませんが、これについては仮想通貨・暗号通貨の経済圏が「ICO」というバズワードで一気に顕在化しつつある今、もう少し広い視点でこの経済圏について考えるべきでしょう。

今後、例えば地域通貨のような存在が広がり、地域活動のクラウドファンディングに使われたとします。最近では別府市の活動が話題になりましたが、あれが地域発行の暗号通貨で実施されるようなイメージです。別府コインを使って観光を楽しむなり、保有して運用することもできるかもしれません。地方債のもっとゆるい感じ、コミュニティと一体化した経済圏のクーポンみたいなものです。

その場合、当然ながら「そのコインをどうやって買うか」と「どうやって使うか」というのは現実的に出てくる課題になります。もし、Revolutのような仕組みがあれば日本円や、場合によっては海外観光客の持っている通貨からそういった独自のコインを自由に購入・保有・転売することができるようになる、というわけです。

こういった狭小範囲の経済圏で使える暗号通貨が大量に出てきた場合、それらをシームレスに利用できるソリューションはまさに新しい銀行、ネオバンクという存在になるかもしれません。スキャムだのバナナだの踏み絵だのお祭り騒ぎバブルのネタコインではもうなくなりつつあるのです。

暗号通貨がますます面白くなってきました。

via Quartz

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