AIとIoTを一気通貫で提供するスカイディスク、VCら7社から総額7.4億円を調達——工場内保全・機械保全・介護分野への技術適用・研究に注力

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福岡に拠点を置き、人工知能と IoT を一気通貫で提供するスカイディスクは3日、直近のラウンドで総額7.4億円を資金調達したことを明らかにした。シリーズ B ラウンドと推定される。このラウンドに参加したのは、ニッセイ・キャピタル、DG Daiwa Ventures(デジタルガレージと大和証券の JV)、環境エネルギー投資、山口キャピタル(山口フィナンシャルグループ傘下の VC)、加賀電子(東証:8154)、ドーガン・ベータ(ドーガンのスタートアップ投資 VC)、アーキタイプベンチャーズ。スカイディスクにとっては、2016年1月に1億円を調達したシリーズ A ラウンドに続くもので、ニッセイ・キャピタル、ドーガン、アーキタイプベンチャーズにとっては2度目の出資となる。

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Image credit: Masaru Ikeda

スカイディスクは2013年10月の設立。IoT サービスを簡単に実現するための通信可能な着脱型(デタッチャブル)センサーと、それを分析するためのクラウドサービスの開発を手がけ、温度や加速度、湿度、照度など14種類の中から3つを選択して取り付けられるセンサー「SkyLogger(旧称:GINGA Box)」やセンサーで収集したデータを分析するプラットフォーム「SkyAnalyzer(旧称:GINGA Cloud)」を提供。また、農業分野向けには、農業用ハウスの状態の可視化が可能な農業 IoT サービス「畑守(はたもり)」を展開してきた。

通信可能なセンサーと分析クラウドが始まった同社のサービスはさらなる進化を遂げ、最近では熟練工の後継者不足に悩む業界での業務自動化にも一役買っている。

工場内の保全分野では、AI と IoT を活用した機械装置異常検知サービスを大手電力会社等に導入、95%の精度で異常検知を実現している。AI の判定制度の向上を狙い、九州大学とは AI を用いた工場設備保全や軸受の異常判定に関する共同研究を行なっている。AI で一番難しいと言われている「故障が起きた時のデータ」を「正常のデータからシミュレーションして作り出すこと」に成功したことから、スカイディスクのサービスは、他社の同種サービスよりも高い評価が得られているという。

機械保全の分野では2017年9月、スカイディスクはスマートフォンから取得した「音」から故障を事前に予知できる「スマート聴診棒」をリリース、今後は「振動・電流」のデータから簡単に故障予兆検知ができるサービスをパッケージ商品として提供計画だ。九州工業大学とも、介護分野への AI や IoT の適用に向けた共同研究を実施している。

「スマート聴診棒」のアプリ画面
Image credit: Skydisc

また、同社が開発した IoTデータ解析クラウド「SkyAI(スカイエーアイ)」が評価され、2017年9月には世界的半導体メーカー NVIDIA が運営する AI とディープラーニングに特化したスタートアップインキュベータ「NVIDIA Inception Program」のパートナーに認定された。

今回調達した資金を使って、スカイディスクは、AI エンジニアやビジネス開発メンバーを国内外問わずに確保し、九州大学や九州工業大学との産学連携を通じた人材育成に充当するとしている。

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