東京電力グループ、オープンイノベーションに特化した新会社を設立——スマートホームや家庭用IoT分野でのスタートアップ協業を推進へ

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Image credit: Masaru Ikeda

東京電力グループ傘下の電力およびガス小売事業会社である東京電力エナジーパートナー(東電 EP)は9月、コンサルファームの ICMG との合弁(50/50出資)によりオープンイノベーションに特化した専門会社 TEPCO i-フロンティアズを設立した。同社11日、都内で異事業やスタートアップとの連携を模索するためのコネクションイベントを開催した。

コネクションイベントの冒頭に挨拶した、TEPCO i-フロンティアズ代表取締役の田村正氏によれば、同社では電気にかかわるものだけでなく、スマートホームや家庭 IoT など日常生活を便利で効率良くする、あらゆる製品やサービスが協業対象のスコープになるとのこと。将来的にはシンガポール法人を設立し、海外での案件発掘やオープンイノベーション支援、事業展開も手がけていくとした。スタートアップにとっては需要家2,000万軒にリーチできる圧倒的なユーザベースが魅力であり、一方、東京電力は電力自由化の中で複数事業者の中から「自分たちを選んでもらえる」動機付けを作り出すことができればと意気込む。

TEPCO i-フロンティアズ代表取締役の田村正氏
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イベント内で持たれたパネルディスカッションでは、早稲田大学名誉教授でウエルインベストメント取締役会長の松田修一氏、TEPCO i-フロンティアズの田村氏、新会社の合弁相手に当たる ICMG 代表取締役社長の船橋仁氏らが登壇。特に松田氏は、長年にわたり事業創生に深く関わる立場から、日本内外でのオープンイノベーションの成功事例や失敗事例を披露し、東京電力のような企業にとってオープンイノベーションがなぜ必要なのかを力説した。

コネクションイベントということで、エネルギー大手との協業を望む起業家の顔ぶれが多いことを期待したのだが、100人程度集まった参加者の多くは、そのいでたちから推測すると大企業や中小企業の人々だったようだ。かくいう筆者も、TEPCO i-フロンティアズなる会社が設立されたことは知らなかったし、オープンイノベーションのプログラムでありがちな「協業スタートアップ募集」といた応募フォームもウェブサイト上に見つからない。向かう先や方向性の見定めも含め、まずは船出というフェーズなのだろう。

パネルディスカッションに登壇した、ウエルインベストメント取締役会長の松田修一氏
Image credit: Masaru Ikeda

国内の電力各社によるオープンイノベーションの現状を見てみると、東京電力は「cuusoo」というサイトでイノベーションアイデアを募集、関西電力は昨年「Dentsune!!」というビジネスアイデアコンテストを開催している。中部電力は「COE – 声- Business factory 2017」というアクセラレータプログラムを立ち上げているほか、九州電力は creww とアクセラレータプログラムを運用している。

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