1億円相当のICOトークン権利を幹部候補にーー株に代わるインセンティブ、財産ネットが発表

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株価ビッグデータから分単位の株価予想を提供する「PhantomAIエンジン」を開発・提供する財産ネットは11月17日、現在、同社が実施しているICO(新規コイン公開)のトークンを経営幹部候補へのインセンティブとして付与すると発表した。

同社の関連会社となるファントムエーアイが10月16日から開始している、ビットコイン価格予測サービス「週間ビットコイン予報」のICOにて販売されるトークンの内、日本円で換算して約1億円相当が付与されるもので、募集対象となるのはCTO(最高技術責任者)およびCOO(最高執行責任者)とエンジニア。ボーナストークンは一定のベスティング期間を設けて付与される。

両社の代表取締役を務める荻野調氏によれば、対象のプロジェクト「週間ビットコイン予報」はこれまで株式市場で培った同社の予測アルゴリズムを仮想(暗号)通貨に適応したものになる。イーサリアムベースのトークン「PAI Token」を発行し、保有者限定となる暗号通貨(開始当初はビットコイン)の予測情報を提供する。

ウォレットの情報からファーストムーバーやフォロワーなどの購入者動向がビッグデータに加わるため、株式予測とはまた異なる精度のものが生まれるという説明だった。なお、今回募集する経営幹部は両社をまたいでの活躍が期待されている。

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SmartHRなどが採用した信託活用型のストックオプション(SmartHR社リリースより)

通常、株式公開企業における従業員向けのインセンティブ設計はやはり株を中心にしたものが多い。よくあるストック・オプション(新株予約権の一種)や、よりインセンティブ度合いの高い譲渡制限付自社株取得権(RSU)、信託との組み合わせによる「時価発行新株予約権信託」なんていう手法も話題になっている。

ただ株式の場合、特に未公開企業であれば上場までに少なくとも数年はかかる上、たとえ黒字化や成長見通しが良好であったとしても環境要因で上場できないこともある。その点、ICOであればプロジェクト単位でのセールスになるので、発行したトークンが仮想通貨取引所で扱われる(株式で言うところの上場)までの期間が株式に比較して短い。また、プロダクトの成否がトークン価値に反映しやすいという面もある。

一方でICOそのものがまだ不確定要素が多く、現状では「クラウドファンディングによるデジタルアセットの販売」という扱いで、今回付与されるものもファントムエーアイが販売するデジタル商品在庫を1億円分付与するという形になる。これが仮想通貨取引所などで扱われることがあれば、そこで初めて法定通貨との交換ができるようになるのだが、もしそこで値上がりなどの差益が出た場合、雑所得として課税対象となるのでここも株式でのインセンティブと異なる。

荻野氏は大手企業で事業再編やVCでの投資に携わったのち、グリーのグローバル事業立ち上げなどに関わった人物。2015年に財産ネットを創業し、フィンテック協会の理事も務めている。ICOについては前述の通り曖昧な部分が多い一方、従業員インセンティブとしては株式と異なるメリットがあるということで今回の設計に至ったそうだ。

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