カルチャー系Instagram Stories動画メディアの「lute(ルーテ)」、シードラウンドで8,000万円を調達——gumi v、Candee、allfuzらから

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東京を拠点とし、カルチャー系 Instagram Stories 動画メディア「lute(ルーテ)」を運営する lute は17日、シードラウンドで総額8,000万円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、gumi ventures、動画制作関連の Candee、広告制作などの allfuz、個人投資家1名。

五十嵐弘彦氏

lute では調達した資金を使って、lute の映像コンテンツ制作とメディア運用を進めるとしている。

lute は2016年、オンラインメディア「ライフハッカー」の編集・翻訳に携わった五十嵐弘彦氏(現 lute CEO)がエイベックスデジタルの社内ベンチャーのメディアレーベルとして立ち上げ。今年8月15日、スピンオフして独立したスタートアップとして lute が設立された。

取締役には、映像年鑑「映像作家100人」を手がける映像ディレクターの古屋蔵人氏、「ROOMIE」編集長などを歴任したメディアプロデューサーの武田俊氏、そして、今回出資に参加した Candee CEO の古岸和樹氏らが名を連ねる。

五十嵐氏はエイベックスデジタル在籍時、動画メディアの「VICE PLUS」などにヒントを得て本領域の可能性を確信、さまざまなアーティストの協力を得て lute を立ち上げた。

ミレニアル世代、ジェネレーション X をターゲットにしています。彼らはスマホがあるので、家に WiFi も引いていないし、YouTube やミュージックビデオも見ない。この世代をターゲットにするなら分散型メディアで、アメリカなら Snapchat、日本なら Instagram Stories だな、と。(五十嵐氏)

lute にはウェブポータルのようなものは存在せず、Instagram Stories に特化した分散型メディアだ。以前取り上げた FIREBUG の Thirty ともアプローチが似ているが、視聴者のスキマ時間を使った〝ながら視聴〟を意識し、モバイル最適化された縦型短尺動画をプロデュースしている。映像制作には、プリプロダクション工程で絵コンテやキューシートのようなものを使うのが一般的だが、lute の場合、一編が15秒程度の短いものということもあり、雑誌の台割りをやる感覚で済ませているのだとか。役員や社員に、雑誌やメディアの編集者上がりの人が多いのもうなづける。

コンテンツの一例。「マイベスト(左)」と「アーティストインタビュー(右)」

lute のビジネスモデルは、大きく分けて、マネージメント事業と受託制作事業の2つだ。

マネージメント事業ではアーティストのマネジメントを行う。五十嵐氏によれば、動画メディアやインフルエンサーマーケティングの進展につれ、例えば、モデルとしての肩書きを持った人が、ミュージシャンのような活動を行うケースも増えてきており、従来とは違ったアーティストのマネジメントの仕方が求められているのだという。lute は、東京・渋谷の NHK 放送センターにも程近いエリアにオフィスを一棟借りしており、アーティストがふらっと立ち寄っては、その場で動画を撮影し制作する、というようなことが日常的に繰り返されているらしい。

受託制作では、他社のコンテンツ制作のためのキャスティング、コンサルティングなどを行う。五十嵐氏らの人的ネットワークを活用し、従来の制作会社にはない、注目のインディーズアーティストやイケてるラッパーなど、ミレニアル世代にフィットする人物のキャスティングを得意としているそうだ。

lute については、視聴率などさまざまなデータが取れるようになっている。将来的には広告のようなものが入ってくる可能性もあるが、当面は考えていない。まずはユーザベースを築き、中長期的には、音楽から始め、サブカルチャーメディア、カルチャーメディアへと多チャンネル化を図りたい。(五十嵐氏)

Candee の古岸氏は当初、五十嵐氏を Candee に招聘しこの事業を立ち上げたいと考えていたが、五十嵐氏が自ら起業する意思が強かったため、Candee への招聘をあきらめ、代わりに lute への出資と役員就任を決めたとのこと。 その分、Candee と lute の事業シナジーは高まりそうだ。

子供向けのプロダクトがサブカルチャー化してきています。lute のビジネスは当面、マネジメント事業と受託事業が大きくなりますが、メディア事業で伸びることを期待しています。(中略)

(音楽アーティストのプロモーション手段として)これまでは、ミュージックビデオを作り、それをメディアにリリースするという大きな花火を打ち上げるような感覚のやり方が多かったが、これからは、大きな花火を一回打ち上げるよりも、小さな花火を数多く打ち上げ続けるような方法が重要になってくる。

しかし、それを実践していくのは大変。(プロダクションやアーティストには)lute をそのような(小さな花火を数多く打ち上げ続けられる)場所として使ってもらえればいいと思っています。(古岸氏)

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