お医者さんはコンサルタント。AIが治療オプションを提案する次世代型医療スタートアップ

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2017.11.23

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医者の役割が変わりつつあります。

皆さんが通う病院では、予約を電話で行ってから病院で20-30分ほど待ち、軽度の病気であれば5-10分で診断が終わり、処方箋をもらうプロセスが普通だと思います。

Forward 」は、このような患者の診療プロセス・診断のやり方をAIを利用して変えようとしているスタートアップです。今回は筆者の体験談も含めて、AIを用いている医療系スタートアップに関して考察を述べたいと思います。

問診データの蓄積。AIが治療を提案

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Forwardはサンフランシスコに拠点を持つ新興の医療機関。会員制の病院で、患者は月額150ドルを支払います。専用アプリから予約や医者と直接メッセージでき、診断・処方箋をもらう必要があればすぐに直接病院に出向き診療を受けられるサービス・フローです。

オフィス街近くにあるForwardの病院に着いたら、入り口のタブレット端末でメールアドレスとパスワードでログイン。その後、指をかざすだけで心拍数や体重、血圧などの基本情報を取得する高さ2メートルほどのセンサー機器を使って診察室に入る前にチェックインを行います。(上記画像参照)

病室に入ると大型ディスプレイと医療用IoT機器が数台並んでいます。日本でも聴診器を当てて心拍音に異常がないか調べたり問診を行いますが、ForwardはIoTを使って心拍データや血液データを取得、全ての記録をクラウドに蓄積させます。(下記画像参照)

一通り、センサー及びIoTでのチェックが終わるとAIが個々人の病状から治療オプションを5-6個提示してスクリーンに表示してくれます。

例えば脂質の摂りすぎであった場合「野菜中心の生活にする」だったり「1日〇〇km走る」のようなオプションが出てきます。実際の診断プロセスに入ると、オプションを1つ1つ見ていながら患者個人に合わせて医者と相談しながら治療プランを選択します。

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私が体験した際、これまで取りこぼしていた些細なデータを全て自動記録する仕組みや、医者が患者の意見を汲み取って最適なオプションを選ぶ「サポーター側」に回っている姿勢に、AIと人とのバランスが取れた次世代の診療方法の可能性を感じました。

最も興味を惹かれた点は予防医学の観点からサービス提供されていることです。

通常の医療機関では問診や触診データは全く蓄積されない、もしくはマニュアル記録のため次の診察に十分活かせません。そして、結局は病気が発症してから通院することになります。

Forwardのコンセプトはアプリを通じたフォローワップを細かに行い、病院に随時通ってもらいながら患者のデータを蓄積させ、予防医療機関として発症前に病気の進行を食い止める役割を果たすことにあります。この点、会社帰りの人が通い易いようにオフィス街に拠点を構える戦略にも納得できます。

これまでは明らかに症状が出た時点で患者は病院に通い、医者が診断を下してきました。一方、予防を行うには人体データを正確に収集をし、的確に容態の変化や病状を予測する必要があります。医者の経験則だけでの診断は効果的ではありません。だからこそForwardが導入するIoTやAI機械学習が上手く機能する余地があると感じました。

医療系AIサービス普及の鍵は「信頼性」

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遠隔医療分野でもAIの活躍が期待されています。

例えば医療相談プロセスをAIチャットボットベースで行っているのが「 Ada Health 」。

患者ごとにパーソナライズされた質問・回答を繰り返していくことでより詳細に患者の容態をAIが学び、最適なオプションを提案してくれます。すでにイギリスの医療機関と提携をし、患者のコンサルティング・チャネルとして利用されています。世界中のユーザー数は 150万人にも及びます

法律の関係上、専門医が最終的に診断を下す・処方箋を渡す形式はForwardもAda Healthも変わりません。しかしより正確な判断を「考える」プロセスをAIに行わせる形が採用されるようになってきたと言えるでしょう。

ただ、誰が話を聞いてくれるのか、という点においてAIの利用には一長一短があるとユーザーとして感じました。というのも、Ada HealthのようなAIチャットボット形式では未だに回答に限界を感じる点が多々あるからです。この点、実際に人が回答してくれる医療アプリや、医者が応対してくれるForwardの方が信頼度は高いでしょう。

医者が相談に乗ってくれるサービスとして「 First Opinion 」が挙げられます。24時間体制で専属の医者がチャット形式で相談に乗ってくれるサービスです。

主にインド(もしくはオーストラリア)にいる低コスト採用できる医者コミュニティーから患者ごとに専属医をマッチングさせ、チャットで相談に乗ってくれます。処方箋が必要であると判断された場合は現地(北米)の医者と電話で繋いでくれて、30秒ほど話せば近くの薬局で処方薬を受け取れます。

First Opinionは本物の医者が相談に乗ってくれるので、私が使った時にはAIをベースとした医療アプリと比べて非常に安心感を覚えました。

ユーザー視点で語ると、医療分野では特に応対の正確性や信頼性が問われるため、AI医療チャットアプリが今すぐ爆発的に普及するレベルに達しているとは残念ながら思いません。一方、これから医療用AIの機械学習・自然言語処理の精度が高まり、機械的な回答から、より信頼性の高い応対の出来るレベルまで上がってくれば医療アプリのブレークスルーが一挙に進むと考えられるでしょう。

簡単な医療に関する相談事項や軽度な症状に時間を割かずに即座に処方箋を受け取れる患者側のメリット、重度患者の対応や通い付け患者の管理を効率的に行いたい医者側のメリットの両方が成り立つ、AIと医者とのバランスが上手く取れた世界が確立されるのもすぐそこまで来ていると言えます。

 

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