モントリオールのAIスタートアップBotler.ai、アメリカとカナダ向けにセクハラ検知ボットをローンチ

by Khari Johnson Khari Johnson on 2017.12.14

eva-blue
左から:共同設立者の Amir Moravej 氏と Ritika Dutt 氏, 顧問の Yoshua Bengio 氏
Image Credit: Eva Blue

カナダ・モントリオールを拠点とする Botler.ai は本日(12月6日)、セクハラ行為の違法性や、アメリカもしくはカナダの刑法と受けた行為との照合結果を被害者が判断するのに役立つ最新のサービスをローンチすると発表した。

このボットが開発された背景には、Botler.ai 共同設立者の Ritika Dutt 氏が嫌がらせを体験したという事情がある。

映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏によるセクハラ・嫌がらせの申し立てや、さらに酷い体験を女性がシェアする「#MeToo」の動きの成り行きを私たちは目にしているところだが、有名女優の身に起きていることが社会全体にいる一般の人にも無縁ではなく、繰り返し生じている問題となっている。

Dutt 氏は嫌がらせを受けた後に後悔したものの、当時は自分の身に起きたことが犯罪なのかどうかよく分からなかったという。関連する刑法の規定を読んだところ、疑問が解消したそうだ。

私の場合、でっち上げのストーリーを言っていたわけではありませんでした。私が感じていたことに関連する法律の規定があったのです。それを読むまで落ち着けなかったのも納得できました。

アメリカの雇用機会均等委員会によると、職場でのセクハラ被害者の75%は泣き寝入りだという。また、被害を申し出た人の多数は、何らかの形で報復行為を受けている

Dutt 氏はこう話す。

セクハラで最も重要な問題は、事件の大半が表に出ないことです。

このボットは自然言語処理(NLP)を活用することで、事件の内容がセクハラもしくはその他の性的犯罪に該当するかを教えてくれる。この NLP の元になっているのはカナダとアメリカの30万件に及ぶ裁判文書であると Dutt 氏は述べる。裁判での証言は会話調でなされることが多いというのがその理由だ。

多くの AI の形態は予測や解釈を意図したものが多くみられるが、Botler による最新の会話型 AI は、ユーザの体験したことがアメリカの刑法もしくはカナダの法律に照らして理解したことを伝えることに特化している。目標は裁判で勝てる可能性を伝えることではなく、法律上の根拠を提供することで女性を力づけるところにある。ボットのユーザが事件のことを警察、職場の人事部などしかるべき場所に報告したいと伝えれば、ボットは事件報告用レポートを作成することもできる。

このセクハラ検知ボットは広く一般の人を対象に実験はされておらず、ボット製作時には法律専攻の学生が参加し、アメリカもしくはカナダで司法試験に合格した人は誰も Botler.ai の新サービスの編集に協力をしていない、と Dutt 氏は e メールで VentureBeat に伝えてくれた。

このボットは Botler による第二弾の製品だ。昨年製作したボットはカナダの移民手続きの申請を手助けするものだった。このボットを製作する際のやり取りでシェアされたアイデアは、Botler が行う次の段階で生かされるだろう、と同社共同設立者の Amir Moravej 氏は述べた。

ボットを通して廉価な法務サービスを提供することを使命としている Botler.ai と、VisabotDoNotPay といったスタートアップには共通点が多い。両社はそれぞれ、グリーンカード申請や駐車違反処理の際に使いやすいサービスを提供している。

DoNotPay は7月、アメリカとイギリスの居住者に対する1,000超の法務サービス提供に向け業容を拡大した。

しかし Botler と DoNotPay には違いがあると Moravej 氏は言う。Botler は弁護士を嫌っているわけではないのだ。

Moravej 氏は次のように述べた。

私たちは必ずしも弁護士が問題だと思っていません。制度が複雑だと思うのです。最高の弁護士であっても、制度はきわめて複雑です。これを効率的に処理することで、誰にでも理解しやすいものにできればと考えています。

従業員数6人の Botler が本拠とするのはカナダのモントリオール。モントリオール学習アルゴリズム研究所のディレクターである Yoshua Bengio 氏が同スタートアップの顧問を務めている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】