台湾発の糖尿病管理プラットフォーム「Health2Sync」、シリーズBラウンドでSOMPO HDらから600万米ドルを調達——日本市場進出を本格化

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Health2Sync のチーム(台湾本社)。最後列左端が CEO の Ed Deng 氏
Image credit: Health2Sync

台湾を拠点とし、糖尿病管理プラットフォームを開発・運営する Health2Sync(智抗糖 は6日、シリーズ B ラウンドで600万米ドルを調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターを務めたのは SOMPO ホールディングス(東証:8630)で、既存株主である Alibaba(阿里巴巴)と WI Harper(中経合)が参加した。これは Health2Sync にとって、2014年6月に実施した Cherubic Ventures(心元資本)からの120万米ドルのシードラウンド調達、2016年8月に実施した300万米ドルのシリーズ A ラウンド調達に続くものだ。シリーズ A ラウンドに際しては、Health2Sync は、韓国発のグローバルアクセラレータ SparkLabs の第7期に参加している。

Health2Sync は、糖尿病患者のための血糖値管理記録プラットフォームだ。モバイルアプリ「スマートヘルス」は、iTunes AppStore および Google Play からダウンロードできる。さまざまなメーカーの血糖測定器 (グルコースメーター)と連携し、面倒な血糖値管理記録を自動化し患者の負担を軽減する。ユーザの多くは地元の台湾のほか、日本や香港など。日本には糖尿病の有病者が1,000万人以上いて、世界的には8番目に有病者人口が多い。政府による糖尿病予防に対する積極的なポリシー運用や、糖尿病対策の事業への資金拠出などを理由に日本市場進出を決めたという。

確かに、糖尿病人口という点では、中国やインドの方が多い。しかし、そのような新興国では市民の関心も高くなく、政府からの資金的な援助も得られない。

日本では高齢化社会を見据えて、疾病対策やその臨床を行うケアプロバイダなどに、政府が資金を提供する体制が整ってきた。そこで、日本市場に本格進出することを決めた。(Health2Sync CEO Ed Deng 氏)

Health2Sync のアプリ「スマートヘルス」

ここでいう資金は Health2Sync が直接手にするものではなく、政府から地方自治体や実際にケアを提供するケアプロバイダなどに拠出され、その結果、そのサプライチェーンの中で Health2Sync が活用される機会が増えるというものだ。Health2Sync は B2B2C のモデルでユーザにリーチし、糖尿病有病者の食生活改善や健康状態維持に寄与する。

SOMPO ホールディングスは、傘下に高齢者向けケアサービスを提供する SOMPO ケアネクストを擁するが、Deng 氏の説明によれば、Health2Sync の主たるエンドユーザは40歳〜65歳であることから、あくまで SOMPO ホールディングスの意図は、Health2Sync の日本進出支援を通じた、新たな保険商品の開発ではないかとのことだった。

SOMPO ホールディングスとの関係はイクスクルッシブではないため、Health2Sync は日本の他の保険会社などとも協業の話を進めているという。また、基本的にはソフトウェア側のサービスであるため、相互補完の関係が成立する血糖測定器メーカーなどのほか、日本では特に電子カルテやテレメディシン(遠隔医療)分野のスタートアップと積極的に協業の可能性を模索していく計画だ。

Health2Sync を取り巻くステイクホルダー
Image credit: Health2sync

日本でも既に、ビジネスデベロップメント担当1名、エンジニア2名からなる体制を整えつつあるが、今後、特にオンラインマーケティング担当者に加え、糖尿病療養指導士(CDE)など専門知識を持ったプロフェッショナルを積極的に採用していきたいとしている。

糖尿病療養指導士の世界でも高齢化が進み、また、一方で糖尿病有病者の増加に比べ、糖尿病療養指導士の人数は大きく増えておらず、慢性的な業務過多と人材不足の状態が続いている。Health2Sync には、糖尿病ケアにおける業務自動化や働き方改革のコンテキストも含まれているようだ。

Health2Sync の共同創業者。中央が CEO の Ed Deng 氏。
Image credit: Health2Sync

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