事業共創を目指す「IVS Connect」で、マイレージ現金化サービス提案のCansellがANA賞、キャラクタ活用のフーモアがトランスコスモス賞を獲得 #ivs17f

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本稿は12月11日〜13日、金沢で開催されている Infinity Ventures Summit 2017 Fall in Kanazawa の取材の一部。

初回開始から10年の時を経て、Infinity Venture Summit には新しい企画がいくつか登場している。その一つが今回初の試みとなる IVS Connect だ。これはトランスコスモス(東証:9715)が今年9月に立ち上げた企業連携アクセラレータ「DEC Studio」が運営パートナーとなり、成長が見込める事業という投資家的視点ではなく、大企業とのオープンイノベーション観点での親和性で評価がなされるものだ。

初回となる今回の共創パートナーは ANA で、ANA マイレージクラブを中心としたエコシステムに対して、新しいイノベーションを提案できるスタートアップ4社がピッチを行なった。このセッションの審査員を務めたのは、以下の5名の方々だ。

  • 稲田剛氏 ANA X 代表取締役社長
  • 佐藤俊介氏 トランスコスモス 取締役上席常務執行役員兼CMO
  • 山岸広太郎氏 慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長
  • KDDI バリュー事業本部 新規ビジネス推進本部 江幡智広氏
  • 光本勇介氏 バンク 代表取締役兼CEO

【ANA 賞】Cansell

副賞:ANA「プラチナサービス」メンバー1年分

Cansell は、不要になったホテル宿泊権利を出品や買取などの形で売買できるマーケットプレイスだ。Cansell は有効期限切れを起こしてしまいそうなマイレージを現金化できるサービスを提案した。現在のやり方では、ANA マイレージを現金化するには、他のポイントなどを経由して5回交換する必要があり、この作業には116日間を要する。CASH やメルカリ NOW などの事例からも、評価額が多少安くも迅速に買い取ってほしい、とのニーズが消費者にあると提起した。

本来は顧客の囲い込みのためのしくみであるマイレージは、航空会社の視点からは飛行機に乗るために使ってほしいというのが本音である。しかし、Cansell はアンケート結果からマイレージ現金化のニーズが消費者に高いことを指摘。また、現金化の際のレートを低くすることで収益性を確保し、社内からは出づらいアイデアをスタートアップと共創する価値があると提案した。イーコンテクストと事前協議を済ませ、すでに現金化のための資金10億円を確保してきたとして、事業実現に向けた真剣さもアピールしていた。

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【トランスコスモス 賞】フーモア

副賞:TAYLOR STICH のフラッグシップシャツ「JACK」全7色セット 10万円相当

イラストや漫画制作のフーモアは、事業会社各社とエンタメを使ってコミュニケーションのハードルを下げる試みを実践している。マイルには貯めたり使ったりする方法が450以上あることから、その方法をフーモアが持つキャラクタを使って対話的に説明し、マイレージユーザに利用を促す試みを提案した。

ユーザの性別や年齢層にあわせ、有名声優を起用して推しキャラを制作。そこからファンを醸成し、アプリに誘導し、ガチャなどにより推しメンキャラをゲットできるような施策を展開する。人気の出たキャラクタを使ったデジタルコンテンツ販売の可能性などにも訴求した。

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Z-Works

IoT やセンサー機器で遠隔で介護できるしくみを開発する Z-Works は、人感センサーなどのセンサー一式をパッケージした商品の ANA Store を通じた販売を提案した。このしくみでは、センサーを通じて得られた高齢者の日常の変化を完治し、離れて住む息子や娘などに LINE で通知。親へのコミュニケーションを促し、親孝行コンシェルジュサービスを通じて、アクティブシニアを対象とした、親子での旅行を提案できるとした。

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ココノミ

6月に神戸で開催された IVS 2017 Spring でローンチした、味覚診断からオリジナル野菜セットを定期宅配する「ココノミ」は、機内食を食べた飛行機の搭乗客からアプリを通じた味覚データの収集を提案。そのデータをもとに、当該の搭乗客と近いを好みを持つ CA が渡航先の料理店をオススメするサイト「CADISH」を提案した。食品メーカー、レストラン、旅行企画のマーケティング、小売大手などによる空弁の企画、レシピサイトとの連携、ココノミへの送客が可能になるとした。

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