メルカリが研究開発組織「mercari R4D」を設立、シャープなど6機関とIoT技術等をテーマに事業化を目指す技術研究を進める

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メルカリ代表取締役の山田進太郎氏

フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリは12月22日、都内の同社オフィスにて記者会見を開き、社会実装を目的とした研究開発組織「mercari R4D(アールフォーディー、以下R4D)」の設立を発表した。R4Dの代表には同社の木村俊也氏が就任する。

R4Dは調査・開発・設計・実装4つの英語表記の頭文字「D」から構成されている。メルカリはこれまでもAIや機械機械学習などの技術を活用してきたが、同研究機関の発足により外部の企業・教育機関と共同で技術の社会実装・事業化を目指す。現在はシャープや大学研究室など6機関の連携による8つの研究テーマが決定している。

  • 「8Kを活用した多拠点コミュニケーション」シャープ 研究開発事業本部
  • 「無線給電によるコンセントレス・オフィス」東京大学 河原研究室
  • 「類似画像検索のためのDeep Hashing Network」筑波大学 落合研究室
  • 「出品された商品画像から物体の3D形状を推定」筑波大学 落合研究室
  • 「商品画像から背景を自動特定」筑波大学 落合研究室
  • 「ブロックチェーンを用いたトラストフレームワーク」慶應義塾大学
  • 「Internet of Things エコシステム」京都造形芸術大学 クロステック研究室
  • 「量子アニーリング技術のアート分野への応用」東北大学 大関研究室

同社代表の山田氏によれば「本研究への投資額はまだ明確には決まっていないが、来年は数億円規模になるのでは」ということだった。研究に関しては3〜5年の中長期のテーマかつIoTやブロックチェーン技術などを活用した世の中のインフラ化を見据えたものを選定。

現段階で決定しているテーマに関してはすでに着手が開始されており、今後も増えていく可能性もある。研究結果の実装による事業化がメルカリ発のプロダクトになることも今後考えられるということだ。

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「先日1億ダウンロード数を超えたメルカリですが、AI技術を活用した不正な出品の検知やUS版では商品の重量を自動推定などを実装してきました。研究開発による技術での差別化は目指しているところです」(山田氏)。

現在100人強の同社のエンジニア組織も数年後には1000人体制を目指す。また各機能のマイクロサービス化によりスケーリングする体制づくりも実施しはじめている。

「たとえば富士フィルムが化粧品を開発したりと将来的には別事業に携わる可能性も考えられる中で、技術を持ってどう人の役に立っていくかということを考えています」(木村氏)

またシニアプロデューサーにはアーティストのスプツニ子氏も参画しており、すぐに実装できない技術もデザインやアートでの再現をするといった多様な再現の方向性も見せていた。同社は外部研究機関との共同研究により、研究に止まらない技術の事業化や見える化を目指す。

 

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