Health 2.0 Asia-Japan 2017で、ヘルステック・スタートアップ6社がピッチ——研修医向けシミュレータロボット「mikoto」が最優秀賞を獲得

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医師集合知サービス・医師向けコミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは5日、東京でヘルステック特化カンファレンス「Health 2.0 ASIA – JAPAN」を開催し、その中でバイエルの協賛、日本生命、インテージグループ、ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)提供によるピッチコンテストを開催した。

ピッチには、日本からは5社、海外(デンマーク)から1社の合計6社が参加した。このコンテストの審査員を務めたのは次の方々。

  • Eugene Boruknovich氏 Global Head of Digitlal Health & Innovation, Bayer
  • 玉塚元一氏 ハーツユナイテッドグループ 代表取締役社長 CEO
  • Rubin Farmanfarmaian 氏 The Patient as CEO 著者
  • 湯浅知之氏 リヴァンプ 代表取締役社長 CEO
  • 宮田拓弥氏 スクラムベンチャーズ 創業者 / ジェネラルパートナー
  • 堀新一郎氏 YJ キャピタル 代表取締役
  • 田中聡氏 日本生命 取締役執行役員
  • 矢作友一氏 インテージグループ アスクレップ 代表取締役社長
  • 石見陽氏 メドピア代表取締役社長 CEO(医師・医学博士)

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【最優秀賞】および【LINK-J 賞受賞】mikoto by MICOTO テクノロジー

副賞:賞金100万円、12th Health 2.0 Annual Conference(2018年9月シリコンバレー開催)への2名参加
副賞:日本橋シェアオフィス利用権、LINK-J 会員権1年分

MICOTO テクノロジーはロボット開発を主業とする鳥取の企業で、研修医向けのシミュレータロボット「mikoto」を開発している。救急搬送された患者などへの措置として行う、気道確保のための経鼻経口気管挿管について、研修医がロボットを使って手順のシミュレーションを行うことができる。

MICOTO テクノロジーでは、医師向けに気管挿管以外にも身体のさまざまなな部位のシミュレーションロボットを開発しており、鳥取大学医学部附属病院とのパートナーシップにより、医師らのフィードバックを受けて、製品開発につなげる努力を続けている。

スマートヒール by Japan Healthcare

扁平足や O 脚など姿勢の悪い歩行は将来、膝や腰の痛みなど身体の不具合を誘発する。これらの患者の治療にかかる医療費は、全国で年間合計1兆円にも上るとされる。千葉大学大学院の医師でもある岡部大地氏はジャパンヘルスケアを設立、ヒールに3軸センサーを装着した IoT デバイスと、アプリを経由して歩行姿勢3軸+歩くリズムを記録できるシステム「スマートヒール」を開発している。

姿勢の悪い歩行が改善されにくいのは、本人は自分の歩き方が見えないためだと岡部氏は指摘、スマートヒールはこれを可視化し、15人にテストを実施したところ3分の2の人々が美しい姿勢で歩けるようになったという。残る3分の1の対象者についても、より緻密なフィードバックを与えることで姿勢が改善できる可能性があるという。2018年10月の発売を目指し、一般向け予価は15,000円程度。

OTON GLASS by OTON GLASS

OTON GLASS については THE BRIDGE でも以前取り上げているが、もともとは失読症(またはディスレクシア)の人々のために、文字を音声化するメガネ型の IoT デバイスとしてスタートした。現在は、視力障害者や文字が読めない非日本語スピーカーのための翻訳ツールとしてのユースケースでも展開している。

すでに受注生産を始めており、外部装置を使わなくてもメガネ型デバイス単体でインターネットにつながる次世代モデルを開発中。ユーザコミュニティを形成し、それをもとにサプライチェーンを形成。保険適用により、患者1割負担で OTON GLASS を購入できる環境構築を目指す。

ユーザが何を見たかをクラウド上に記録できることから、将来的にはデータプライバシーを考慮しつつ、ライフログを活用したサービスの提供を検討している。OTON VISION(画像音声化技術)、OTON NOTE(デジタルノート機能)、OTON MAP(綿密なマップデータの提供)など提供サービスを拡充し、2020年には累積3万台をユーザに届けたいとしている。

BASE PASTA by ベースフード

ベースフードが開発する BASE PASTA は、健康に対するリテラシーの高い人が増える中、どんな栄養素をどう摂っていい人かわからない向けに、これ一食だけで31種の栄養素が摂取できる完全栄養食だ。定期購読型の D2C モデルによる販売のほか、一部レストランなどでも食材として利用されている。

今年から来年にかけて、アメリカに進出を始める。同社では日本と同じく、Amazon や定期購買による D2C(direct to consumer)を主な流通チャネルとして想定している。市場ニーズを意識してグルテンフリー版などの開発も進めているそうだ。

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言語訓練用アプリ by ロボキュア

ロボキュアは、失語症など言語障害を持つ人を対象に、ロボットを使った言語訓練用アプリを開発している。千葉大学大学院の黒岩眞吾研究室の協力を得、また君津中央病院では臨床試験のほか、言語療法士や患者からの要望調査なども実施。人を相手に訓練する場合と違い、相手に気を使わずに、何度でも繰り返し訓練ができる点が特徴。また、ロボット(アプリ)が発話訓練者の音声を認識するので、間違いを指摘することもできる。

現在では、アプリと発話訓練者のやりとりを言語療法士が遠隔管理できるしくみを備えており、失語症患者50万人だけでなく、このしくみの対象となりうる国内200万人をターゲットに、タブレットアプリと有資格者による訓練支援をセットにして、来春からサービスを提供する計画だ。

2018年には訓練機能の追加、ログ解析、介護予防分野への適用などに注力、2019年には保険適用や海外展開を視野に入れている。

Gonio VR by Gonio VR

Gonio VR はデンマークを拠点とするスタートアップで、VR を使った医療セラピーの改善ソリューションを提供している。治療に特化したテイラーメイドの VR 体験を開発しており、2017年第1四半期に VR アプリ配信プラットフォーム Steam 上に公開された

すでに98の自治体や100以上のクリニックに導入。今年第3四半期には、デンマークのリハビリセンターに初めて導入される VR テクノロジーとなった。リハビリテーションの効率化と、病院にとってはリハビリに関わるドキュメンテーション作成の省力化を支援する。

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