中国のコワーキングスペース大手naked Hub(裸心社)、世界で最も商用ビルにおけるコワーキングスペース率が高い都市ロンドンに進出へ

by TechNode TechNode on 2017.12.8

コワーキングスペースを展開するnaked Hub(裸心社)は、ビル管理のソフトとサービスで新たなマネタイズを目指している。このサービスは、不動産デベロッパーらが所有するビルをフレキシブルでソーシャルなワークスペースに変えるものだ。収益と入居率の向上が見込まれる「サービスとしてのコミュニティ」を標榜しており、デベロッパー大手3社がすでに契約を結んでいる。TechCrunch Shanghai 2017 では、naked Group の CEO である Grant Horsfield 氏が TechNode(動点科技)に対し、naked Hubが初のアジア以外でのコワーキングスペースを開設する計画があると明かした。場所はロンドンのビクトリア駅付近を予定している。

デベロッパーが管理サービスに対して期待する事柄について、Horsfield 氏はこう語った。

金が全てです。より良い価値を提供できれば、テナントはサービスに対してより高い対価を払います。すなわち、オーナーの収益が向上するということです。

naked Hub の CIO である Dominic Penaloza 氏は次のように述べた。

ビル管理会社の JLL による、30%という予測が浸透しています。つまり、世界の商用ビルのスペースの30%が、2030年までにコワーキングスペースまたはフレキシブルスペース(訳注:共用オフィス)になるというものです。

現状、ロンドンが7%で世界トップです。おそらくニューヨークは5%、上海は2〜5%程度でしょう。

Hubbers が提供する現在のビジネスソリューションアプリ。緑色の「已解决」という部位は、ユーザが解決してほしい問題を示している。Penaloza 氏によれば、ユーザ問題の50%がコワーキングスペースにいる他のユーザによって解決されているという。
Image credit: Naked Hub

デベロッパーらはこのトレンドに対応しようと試みては失敗してきた。しかし naked Hub は、コワーキングスペースの提供を通じて培った経験があるため、成功できると考えている。

Horsfield 氏はこう語る。

バーティカルなコミュニティを生み出すには? ガラス張りのビルの中で人々を結びつけるには?(中略)

コワーキングスペースを通じて私たちはコミュニティを生み出してきました。ほぼ偶発的のようなものです。ビル全体としてきちんと考えたことはあまりなく、単純にフロアのコミュニティについて考えを巡らせただけのことです。このソフトにとって、既存のコミュニティがラボの役割を果たしました。

氏の言うソフトとは、フロントおよびバックエンドのサービスをカスタマイズできるアプリだ。Penaloza 氏はこう説明する。

オンラインとオフラインのビジネスをつなぐ、ビル単位のソーシャルネットワークです。ビル入居者用のプライベートな LinkedIn のようなもので、スペースを共有したり、ビジネス上の課題をお互いに手助けして解決したりできます。

端的に言うと、これまでnaked Hubがビル管理とコワーキングスペース利用者同士のコミュニケーション促進に利用してきたサービスを、自社ブランドで実現したものだ。

新アプリ「Hub Connector」は、コワーキングスペースのユーザ同士が、さまざまなフィルターを使ってつながれるようにする。
Image credit: naked Hub

ソフトを使うと、利用者らはビル内にどんな人物がいるかをチェックし、会いに行くことができる。入館ゲートの通過、ドアの解錠、会議室へのアクセスなどを統合することも可能だ。一方、ビルのオーナーは利用データを蓄積し、個人や会社の利用歴を追跡できる。これにより、会議室や、naked Hubが発行する仮想通貨の利用状況を把握して課金することが可能だ。コミュニティと施設以外の面では、ビルメンテナンスなど他のサービスと連携することもできる。この機能は、他のどの企業もまだ実現していないとHorsfield氏は考えている。

ソフトはビルの入居者の多くに利用されると見込まれている。

アプリケーションに多くの人々を呼び込むことを重視しています。実際私たちには、利用者を集められるだけのユニークな利点があります。オフィスで働く上では、会議室の予約や、あれこれ予定をこなすなどやるべきことが沢山あります。このアプリを使うと非常に便利です。(Horsfield 氏)

現在 naked Hub のコワーキングスペースの利用者らが利用しているアプリでは、日別アクティブユーザは30%に達する。「Connector」という他の利用者を探せるサービス(Tinderに似ている)を導入したことにより、同社はさらなる利用率の向上を見込んでいる。

サービスとしてのコミュニティ(community-as-a-service; CaaS)を目指すこのソフトは、サービスとしてのソフトウェア(Software as a Service; SaaS)と同様、利用者単位(オフィス利用者)かつ月単位の料金体系となる。カスタマイズ料金は別途発生する。naked Hub はデベロッパーに対して、ビル内に知識豊富なコミュニティ管理者の配置も提案できるよう計画している。

顧客

これまでに同社と契約した3社の大手デベロッパーのうち、上場企業は1社に過ぎない。Zhejiang Jiangong Group(建工地産)は来年6月、独自開発の CaaS の導入を予定している。同社が杭州に新設する EAC(ヨーロッパ・アメリカ・センター)のサービスオフィス2棟に展開し、5万人が利用する予定だ。同社が初の利用企業となるわけではないが、他の2社は来年初頭の具体的な計画を明らかにしていない。うち1社は、それなりの規模の香港企業である。

バックエンドシステム「CaaS」 は、現在借りられている状況を示すフロアプランなど、ビル管理会社のための機能を備えている。
Image credit: naked Hub)

競合

naked Hub は競合の WeWork に追随する形でビル管理分野に参入した。アメリカ企業である WeWork は、中国へも急速に進出している。同社は今年4月末、「Powered by WeWork」という新サービスを発表した。顧客企業の本社など、すでに社外で WeWork を利用している既存オフィスへの導入を前提としたもので、オフィスの再編成とソーシャルサービスの導入を行う内容だ。

他にも中国では、現地のスタートアップの URwork(優客工場)と競合している。URwork は、naked Hub や業界の一般的な他社とは少し毛色の違う問題をもたらしている。Horsfield 氏によると、中国初のコワーキングのユニコーンとして名を馳せた同社は、過多な資金調達を行った。結果、バブルのような印象を業界に与えてしまったという。「ビジネスを支える基礎が全くありません」と Horsfield 氏はコメントし、そのため naked Hub はあえて目立たないようにしているのだと述べた。

今後

絶大な勢力を誇るWeChatへの統合について尋ねたところ、Horsfield 氏は熱意に溢れる答えを返した。小さなプログラムを通じて統合したいという。

純粋に一ユーザとしての意見ですが、WeChat はこれまでに目にした世界中のどの製品よりも優れていると思います。

Penaloza氏は、「学習目的で」WeChat(微信)のプログラムを過去に開発していると明かした。

Horsfield 氏によると、Dr Works クリニックについて、現在 Tencent(騰訊)と協議中である。同社は運営する全てのコワーキングスペースにクリニックを導入したいと考えている。

コワーキング部門だけで今年1億米ドルの収益を見込んでおり、グループの収益は好調だ。しかし Horsfield 氏は、事業拡大のために将来的に資金が必要になることを認めている。氏の唯一の懸念は、この分野への進出が早すぎたのではないかという点だ。商業用途の不動産部門にメッセージがまだ浸透していない可能性があるという。

正しいことをしているのだ、とこれまでにないほど強い自信を持っています。懸念点はサービスインまで会社を維持できるかという点と、参入のタイミングが尚早ではないかという点です。世界中のあらゆるオフィスが今日より良くなっていくということは確信しています。信じられないことですが、現在のオフィスには根本的な欠陥があるのです。

ロンドンが呼んでいる

naked Hub のアジア外初進出となる場所、ロンドンのバッキンガム宮殿通り123番地
Image credit: GAW

香港の不動産デベロッパーである GAW との提携により、naked Hub は世界中に拡大している。ロンドンでは2つの物件に進出する予定だ。1つ目はバッキンガム宮殿通り123番地に位置し、2018年の第1四半期に稼働開始する計画になっている。このビルは GAW の所有で、現在は Google が入居している。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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