福岡のPear、BEENEXT・大和企業投資・F Venturesから約3,500万円を調達——ECサイトのパフォーマンス改善支援「OMNI-CORE」を開発

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.12.13

Pear のチーム。前列左から2番目が CEO の島井尚輝氏
Image credit: Pear

福岡市に拠点を置く SaaS スタートアップの Pear は13日、シードラウンドで約3,500万円を調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターを務めたのは BEENEXT で、大和企業投資F Ventures が参加した。

Pear は2017年8月、九州工業大学出身で、在学時から学生クリエイター集団によるクラウドソーシングサービス「HorseTail」や学園祭情報配信サービス「学フェス」などの事業を立ち上げていた島井尚輝氏により設立(プロジェクトの開始は2017年4月)。自社 EC サイトの運営のほか、ECサイト6社の運営代行も行なっており、チームメンバーは正社員とアルバイトをあわせて20名程度と、創業期のスタートアップとしては大所帯だ。

島井氏らは仕事柄、モールやカートを使って自社 EC サイトを立ち上げた店主などから相談を受けることが多かった。特に月商100万円に届いていない EC サイトにかぎって、1) 目的が決まっていない、 2) 運営体制がわからない、3) 目標設定がわからない、という共通の問題が見受けられたという。EC サイトのパフォーマンスを改善するために、資金を投入できる EC サイトであればコンサルタントを雇えるが、売上が伸びていないサイトにそんな金銭的余裕は無い。この部分の支援をシステムで解決できないかと開発したのが、Pear が誇る EC サイト運用支援システムの「OMNI-CORE(オムニコア)」だ。

OMNI-CORE
Image credit: Pear

OMNI-CORE は、EC サイト運営に必要な項目を web 上の対話形式でサイトオーナーからヒアリングして診断、EC モールやカートと連携してアクセス分析、売上分析、損益分析、顧客分析、商品分析などを多面的に提供する。現在β版で提供されているため、元になるデータは EC サイトオーナーが自ら入力する必要があるが、年明けには Amazon、ヤフー、Shopify、カラーミーショップ、楽天など主要 EC モールやカートと API 連携する予定だ。複数 サイトに出店しているオーナー向けには、出品情報や在庫情報を一元管理する機能も備える。

既存の EC サイト管理ツールとの差別化としては、とにかく「要らない機能を取っ払って、機能性を高めることに注力している(島井氏)」といい、また売上が月商30万円に届かない(受注件数で150件未満)EC サイトには、サービスを無料で利用できるフリーミアムのモデルを採用していることも、この分野では特徴的だ。将来には、各社経理システムとの連携や RPA(robotic process automation)機能も追加する計画だという。ゆくゆくは、EC サイトの運営そのものを半自動化するところまで、足を突っ込むことになりそうな勢いだ。

分析を見たあと、そのあとのアクションがわからないという EC サイトオーナーが多い。人工知能を使って、具体的なアクションを導き出し、オーナーに提示する、ということをやっていきたい。(島井氏)

Pear では今回調達した資金を使い、OMNI-CORE のさらなる機能追加や改善を図り、来年4月の正式版リリースを目指す。島井氏自身もエンジニアだが、前述したように、彼は以前から事業を展開していたこともあり、福岡のエンジニアコミュニティの中心に身を置いており、優秀なエンジニアの確保にはあまり大きな苦労はなさそうだ。Nulab などに続き、福岡から生まれた新たな SaaS スタートアップの前途が期待される。

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