アジアの女性投資家4人に聞いた、2018年のテックトレンド予測【ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2017.12.22

mark-bivens_portrait本稿は、パリと東京を拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。英語によるオリジナル原稿は、THE BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿

This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The original English article is available here on The Bridge English edition.


Image credit: nk2549 / 123RF

数年前から、私は年に一度、世界のベンチャーキャピタリストからテクノロジー予想のリストを集めた記事を書き始めた。私は意図的にアメリカの有名 VC 以外の人たちを選んだ。彼らの声は、世界舞台で頻繁に聞かれるわけではない。

昨年、すべてのテクノロジーの予想は、女性 VC からもたらされた。シリコンバレーの基準でさえ、それはユニークなことだし、私はそれを誇りに思う。

今シーズンの予想においても、私は再び全員女性に発言してもらえることを嬉しく思う。そして今回は、アジアの洞察力のある VC の皆さんだ。彼女たちと話をさせてもらえたことは非常に栄誉で、すべての読者には彼女たちの発言に耳を傾けてほしい。彼女たちの特筆すべき成果は、今後も成長を続けるだろう。

2018年が、我々にとって、より悟りの多い年でありますように。ハッピーホリデー!

本田華奈子氏(日本・DCM Ventures

ハイレベルな視点から見て、最終的に収益化するバリューポジションを伴ったデータアナリティクスが、2018年はさらに重要になるだろう。最近の1〜2年間で、スタートアップは VC からより多額の資金を集められるようになり、短期的な経済性にとらわれず、ユーザ獲得に集中できるようになった。このようなスタートアップ——LimeBike や WeWork など——がかなりのユーザを獲得しプラットフォームになったことで、大きなスタートアップのネットワーク効果を活用して各タッチポイントにさまざまな価値をもたらし、大規模な資金調達をしなくても収益モデルを作り出せる企業が現れるだろう。

地政学見地からは、教育が日本の政策の最もホットな話題の一つになっていることから、日本の EdTech も上昇し始めるだろう。EdTech 分野は、スタートアップが参入するには、ニッチで、スピードが遅く、利益を生み出さない市場と考えられてきたが、企業は過去から学び、この業界でサステイナブルなビジネスを構築する方法を考え始めた。2018年は、日本の EdTech 時代の幕開けとなることを期待したい。

Vorawan “Michelle” Wangpanitkul 氏(タイ・Digital Ventures

2016年に、ブロックチェーンが話題に上ったことを思い出す。ブロックチェーンは、FinTech 内外のあらゆるユースケースをうまくとらえた。私はブロックチェーンの可能性を信じているが、商業ベースでの利用に耐えうるブロックチェーンのユースケース——問題を解決するために、記録を消せない分散型台帳技術を必要とするユースケース(決して多くはないが)——は、まだ数少ないと考えている。

決済と送金の次に来るのは KYC(ユーザの本人確認認証)だろう。本人確認は銀行サービスの基礎であり、それを正しい形にすることは、皆にとって重要なことだ。私は個人的に、ブロックチェーンを使った KYC こそ、規制当局が推進すべきアジェンダだと考えており、シンガポールやインドの規制当局はすでにそれをテストしているので、2018 年はブロックチェーン KYC が主流になるかもしれない。他国の規制当局もこの動きに追随するだろう。

地理的な観点から言えば、私はインドから興味深いことがたくさん出てくると思う。RBI(インド準備銀行)は e-KYC を推進し、成人人口の99%のバイオメトリクスデータを取得した。13億人の人口、断片化した市場、多数のエンジニア、国家レベルで取り組む多くの金融やインフラ課題を考えると、インドはイノベーションと変革への準備が整った国家と言える。多くの資本がインドに流れ込むだろう、というのが私の2018年予測だ。

Joanna Cheung 氏(中国・港京共創投資 および 啟迪国際/HBCC Investment and TUS International)

パラダイムは、「メイド・イン・チャイナ」から「クリエイティド・イン・チャイナ」にシフトし続けるだろう。今日頭角を現し始めたイノベーティブなテクノロジーを持った巨大企業は、独創的な中国のイノベーションだ。これらの独創的で成功した企業は、以前に増して、アメリカ、ヨーロッパ、日本を中心に海外拡大している。人工知能、クリーンテクノロジー、ロボティクス、RPA などのディープテックにおけるイノベーションが、特に我々が関心を持っている分野だ。

盛島真由氏(日本・Beyond Next Ventures

日本では、政府主導の施策等の後押しもあり、ますます技術系の大学発ベンチャーへの注目が高まっており、その中心はバイオ・医療分野である。他方で、世界的な個別化医療への潮流から、小回りの利くベンチャーが開発の主流になっていくことが予想される。また、大手企業がヘルスケア分野に参入し、かつイノベーションを外部から獲得する動きが日本にも押し寄せてきている。これらを踏まえると、今後もバイオ・ヘルスケア・医療機器分野を中心とした技術系ベンチャーがホットな領域となることが予想される。

特に日本で盛んな分野としては、iPS 研究に代表されるような再生医療分野、医学的エビデンスに基づく治療アプリの上市が見えつつあるデジタルヘルス分野、2018年度の診療報酬改定を目前に活気づく遠隔診療分野、等いくつか挙げられる。しかしながら、VC投資は、まだ分野の名前も無い異端技術に投資をすることによって次のトレンドを作っていくことが醍醐味の一つだと考えている。従って、いずれの分野にも属さないイノベーションを2018年にも期待したい。

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