AIスタートアップ都市として注目が集まるカナダのトロント、その背景は?

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Photo by Alex Shutin on Unsplash

<ピックアップ>Toronto’s thriving AI ecosystem serves as a model for the world

カナダのトロントはAI・深層学習の分野で世界のトップ人材、企業を惹きつけているが、その背景にはなにがあるのだろうか?

CyclicaのCEO、Naheed Kurji氏がVentureBeatに寄稿した「トロントの勢いあるAIエコシステムは世界に対してモデルになる」で指摘していた重要なポイントを以下に抜粋してみた。

・AIに強い大学が活用事例を提示、人材を輩出:世界トップレベルの研究機関であるトロント大学、また近郊にウォータールー大学を有する。この二つの大学は特にヘルスケア、ライフサイエンスの分野でAIの新たな活用事例をつくっている。また、優秀なコンピュータサイエンティスト、データサイエンティスト、人材を輩出する。

  • 多様な人々がAIエコシステムを形成:トロントは多様なバックグラウンドをもち、インターナショナルな人々が集まる。投資家、インキュベータ、テクノロジストなど、さまざまな人々がAI業界を築いている。
  • AIのパイオニアが集まる:Geoffrey Hinton氏、 Sanja Fidler氏、Anna Goldenberg氏、Raquel Urtasun氏といったAIのパイオニアが率いる、または助言をしている組織がある。
  • ビジネスと研究機関の連携:ビジネスの成長を重視するネットワーク、ラボがある。MaRS Discovery District、The Vector Institute、Creative Destruction Labがその例。これらの組織は学術的なプログラムとも連携しながら事業開発を行い、人材育成にも貢献している。
  • 国内外の投資家の積極投資:トロントの投資家は地元のAIスタートアップに積極的に投資している。今年は、Alphabetの子会社であるSidewalk LabsやFacebookのザッカーバーグCEOによるチャン・ザッカーバーグイニシアチブなどもトロントのプロジェクトや企業に投資し、国外からの注目度も増している。
  • グローバル企業も積極投資:グローバル企業もトロントで様々な取り組みを展開中。Johnson & Johnsonは、トロントでJLabsというプログラムを運営し、創薬におけるAIの活用に期待している。グーグルは、AIの権威ジェフリー・ヒントン氏がチーフ科学アドバイザーを務めるトロント大学内の取り組み The Vector Instituteに500万ドルを出資した

簡単にまとめると、長期間かけて成長してきた学術界のAIネットワークにまず国内の資本が投入されて、事業開発が始まり、軌道に乗ったところで、国外の大手企業が投資を始めて成長に加速をかけたという感じだろうか。

カナダはトロントの他にモントリオールもAIハブ都市として注目されており、FacebookはAIの研究拠点を同市に立ち上げている。テック業界のカナダ経済への貢献度がますます高まりそうだ。

関連記事:Facebook、人工知能の研究拠点をモントリオールにオープン

参照:Toronto’s thriving AI ecosystem serves as a model for the world

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