仮想通貨対応のネオバンクスタートアップは8社、バブル世代は初の〝バブルバンク〟をローンチするつもり?

by e27 e27 on 2018.1.5

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CC BY 2.0 via Flickr by Marco Verch

Polybius や Change など、仮想通貨対応のネオバンクが8社誕生した。そのうち2社が ICO(イニシャル・コイン・オファリング)を終え、残りの6社は現在準備中だ。8社はすでに仮想通貨で4,500万米ドル超を調達しているが、総額では1億5,000万米ドルに達する予定である。その水準は数の上では多いが成長ステージも後期の段階にある N26や Tandem といった「従来の」フィンテックネオバンクが2016年に集めた金額の半分ほどにもなる!

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ところが、実際に稼働している企業はない。せいぜい、未来のネオバンク(デジタル KYC:本人確認)に向けた登録モジュールを実装した程度だ。しかし現在利用できる情報から判断する限り、ブロックチェーン対応デジタル KYC 分野におけるソリューションでさえ、中央銀行やデータ保護当局からの信用を得ているとはいえない。つまりこうしたスタートアップは、ただ技術を持っているにすぎないのだ。

ネオバンクスタートアップは全て、小売顧客を相手にしようとしており、中小企業(SME)に特化しているところはない。ところが従来の銀行が抱える大きな問題や、仮想通貨対応のネオバンクに関する既存の(未来ではなく現在の)ニーズという点では、ターゲットとなる最も成熟した顧客は SME だ。約500社のスタートアップはすでに ICO を実施した(自由には使えないが30億米ドル超を調達)がそれは、仮想通貨の取引所、仮想通貨決済スタートアップその他コミュニティメンバーなどだ。さらにこうした SME は現在、実に多くの小売顧客(自社従業員、パートナー、顧客)を引き連れているが、その水準は仮想通貨対応の最新ネオバンクの予想を超えている。

こうした事例は、過去にスタートアップを設立した人たちの実績であって(フィンテックスタートアップの場合もあるが、トップクラスのものではない)、銀行のスタートアップでもなければ(規制当局とのやり取り経験がない)ネオバンクもしくはチャレンジャーバンクのものでもない。

例えば、ICO で資金調達に成功したスタートアップの1社が銀行ライセンスを申請した際に、ICO で調達した仮想通貨を転換した後の法定通貨は銀行資本として規制当局は承認しないことを知ったというケースがある。ほとんどが自社のライセンスを申請する予定でいるが、申請に至った企業はないため、ここで1つの疑問が湧き起こる。こうした企業はクールなアプリケーションを作るノウハウを知っていることは疑いようもないが、規制対象となる銀行を立ち上げて運営していく経験を十分に持っているのだろうか?

仮想通貨対応のあるネオバンクが奇妙な動きを次のように説明している:仮想通貨対応のネオバンクを作るために暗号通貨を受け入れるが、「まずはライセンスを取得するために、暗号通貨を使った業務はしません。」

これは次のように言っているようなものだ:「当店はゲイ向けバーをオープンするところですが、当面はゲイの皆様にはサービスは提供しません。安全上の理由で、当店ではゲイ・バッシングの運動に参加します。社会がそうした運動を求めているからです。」私の言っていることは間違っているだろうか?

こうした企業は全て、「顧客の口座を管理するのにカードとアプリの組み合わせ」というソリューションに息を再び吹き込もうとしている。しかしこれは、現在およびかつての世代の「従来の」フィンテックネオバンクがかなり前に実行したことだ。ベストプラクティスを考慮に入れ、ブロックチェーンや仮想通貨の要素を加えることをせず、実は分かりきったことを繰り返しているだけなのだ。「私は新たな詩のスタイルを打ち立てたいのだが、まずは英語の再発見から始めたいと思う」と言っているようなものである。もしあなたが仮想通貨の世界における現状のニーズをよく把握しているブロックチェーンの専門家であれば、あなたの持つ知識や能力(そしてライセンス)を既存のネオバンクに活用することで未成熟な市場を共喰いするのではなく、積極的に提携関係を構築していくべきではないだろうか?

私たちが仮想通貨対応の銀行を必要としているのは間違いない。それは既存の銀行が仮想通貨を忌み嫌っているからだ(韓国、シンガポール、イギリス、アメリカなどどこでも)。現在のプレーヤーに依存せず、仮想通貨や ICO に支援されたスタートアップのみに特化したライセンスを持つ銀行が他に必要だ。この銀行は、こうした顧客のビジネスプロセスや技術を完全に変化させた上でこれに特化していくことだろう。複数の国の規制当局と、次のような説明をしつつ絶えずやり取りをする銀行となるだろう。現在の業務とその方法、顧客に提供するサービス、認められるリスクの種類とその対処方法、この分野で興りつつある最新技術など。

ほとんどの管轄区域では、新しく銀行ライセンスを取得するよりも銀行を買収する方が容易である。多くの当局は市場にある銀行ライセンスの数を減らしていく決定をしているからだ。興味深いことに、現在ある全てのプロジェクトはヨーロッパもしくはイギリスでライセンス取得をする作りとなっている(つまり、通貨としてはユーロやポンド関連)のに対し、統計情報によると、仮想通貨転換後の決済の際に、第一、第二、第三などどこかの段階で米ドルに転換されているのだ。

さらに、アメリカの規制当局はいつでも、仮想通貨や ICO に対する当局見解をもとに「市場のムード」を設定している。そのため、次のような問題が湧き起こる:人はどうして問題の出所に向かわず、問題から離れているのか? アメリカには買収対象に適した小規模銀行(企業価値500万~5,000万米ドル)がたくさんある。私はアメリカで買収する銀行を探している——ひたすらこの種のスタートアップとこの種の「資金源」に特化し、こうした(および次に来る全ての)仮想通貨ネオバンクのアメリカ市場でのスケールを手助けする銀行を。

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ただ確かなのは、そのような銀行が2行以上必要だということだ。アメリカやヨーロッパに限らず、異なる規制を持つ国に顧客を見つけ次第、その管轄区域にそうした銀行が必要になる。特定の範囲の顧客が持つ多くの問題解決のためには、対応した規制を持つのが最適だからだ。さらに、独自の通貨を保有する国の銀行が必要である(そして顧客は自由に主要通貨を求めて、それを運用すべきである)。

その銀行業務は、あらゆる非中核的業務から解放されて、新たなタイプの資産や顧客のみに対応する技術、プロセス、事業ロジックを活用したブロックチェーン・仮想通貨・ICO に特化すべきだ。規制当局との対話についても、相手をごまかしたり、不正な方法で革新的な動きをしつつもミーティングでは従来の業務について話し合ったりするようなことをせず、オープンなものにすべきだ。

そこでは、この業務をしている、あの業務はしていない、この点は理解している、業務とサービスを提供している顧客に対してはあらゆることに対して完全な責任を持ち、当局とは絶えず対話と連絡を図り、 詳細について何か不可解な事態もしくは瑕疵があった際には全てを開示するほか、技術および手続きのレベルに応じて問題の解決方法を探るといったことを明確に発言するようにしなくてはならない。

この8社の場合、どうして2つの国で8つのライセンスを取得しようとしているのだろうか? 8つの国で8つのライセンスなら面白い。しかしライセンスとバックエンドの組み合わせでは競争優位は生まれない。そのような機能は他のプレーヤーにレンタルできる。初めに実行するのが重要であるが、それは難しい。ただ3番手、4番手、5番手、10番手になるのは馬鹿げている。人々が求めているのは新しいサービスであって、新しいライセンスではない。これは世界で唯一無二のユニバーサルバンクをめぐる争いではないことをまず理解する必要がある(そのような銀行になることは決してない)。ただ、利用者もしくは銀行がつながろうとしている、史上初の本格的で実用的な事例もしくは基準に関するものだけなのだ(そして独占事業ではない)。

現在では、この種の銀行はオープンアーキテクチャを備えていなくてはならないことを誰もが理解している。これは自社の BaaS プラットフォームに統合されるオープンな API のセットだ。これには次のような機能がある:

  • 製品の迅速なローンチと顧客向け第三者デベロッパーとの迅速な提携
  • 仮想通貨対応銀行のコミュニティに参加したい場合、他行と1つのネットワークで効果的に統合(自国での銀行ライセンスの取得に向け ICO ラウンドで調達をした、もしくは調達している既存銀行およびネオバンク)。
  • 他のフィンテック、ブロックチェーン、仮想通貨スタートアップの設立
  • 早くて安いサービスの提供が可能で、他の国でのスケールもできる、事実上世界初のフィンテック銀行の設立

改めてフィンテックサービスを全て再開発する必要性はない。これは過去5年の間に多くの人が取り組んでいることである! ただフィンテックサービスを新しいレールの上に乗せ、オープンアーキテクチャや新しく顧客向けにカスタマイズされた事業プロセスをもとにそれらを統合する手助けをすればよいのだ。

API で中心的な存在となるのは、ブロックチェーン対応のデジタル KYC でなくてはならない。これはどこの国であれネット上で行う金融サービスにおいて、きわめて迅速で完全な法的認証が可能となるものである(個人および企業を問わない)。他社パートナーによるサービスでの改めての登録・認証は不要となるだろう。パートナーのスタートアップにとっては、登録やコンプライアンス手続きでの開発にかかる時間や費用の節約になる。

将来的にはこうしたデジタルパスポートをもとに、利用者が他のサービスでの行動に関するデータを蓄積していくにつれて(このデータをシェアしたい場合のみ! かつ自身が選択する方法で!)、オンライン上でのスコアを獲得することになる。これにより既存の貸付フィンテックや新興のブロックチェーンスタートアップから簡単に融資を受けられるようになる。

最初に述べたように、既存プロジェクト(まだローンチされていない計画段階にあるもの)の大きな短所は、中小企業ではなく小売顧客に特化していることだ。

一方で市場には約500社の顧客がいる(ICO で30億米ドル超を調達)。この種の顧客は単一的で、急成長しつつあり、しかもこうした企業にサービスを提供する準備は誰もできていない。

次に推測できることとして、明らかに同じ問題を抱えた顧客がもう1つある。それは仮想通貨の交換所、交換者、ウォレット、送金業者などだ。

「ブルー・オーシャン」は、フリーランサー、独立系の請負人、作り手や行動を起こす人といったギグ・エコノミーの代表的な担い手だ。彼らが新たな経済を動かす存在になるにつれて、何よりもまずは SME と協業しなくてはならない。一方で小売業の従業員、パートナー、顧客らは後からついてくるだろう。

【via e27】 @E27co

【原文】

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