NY発のバイクシェアリングスタートアップJump Bikes、シリーズAで1,000万米ドルを調達——SF市内にドックレスステーションをローンチ

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Jump Bike の電動自転車
Image Credit: Jump Bike

以前は Social Bicycles という名で知られていた Jump Bikes は本日(1月16日)、電動自転車(以下、e バイク)のシェアリングサービスを拡大するため、1,000万米ドルの資金を調達したと発表した。このラウンドでは Menlo Ventures がリードし、Sinewave Ventures や既存の投資家である Esther Dyson 氏、SOSV、OurCrowd が参加している。

同社の自転車はペダルを漕いでいる間だけ後押ししてくれる「ペダルアシスト式」であり、速度は最高時速20マイル(時速約32㎞)まで出る。また、ドックレスを採用しており、ユーザは特定の場所に戻す必要はない。e バイクはスマートフォンで解錠でき、利用終了時にはビルトインされた錠で、バイクラックに固定すれば完了だ。利用料は最初の30分で2米ドル、その後毎分0.07米ドルずつ加算されていく。

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Jump Bike の電動システム
Image Credit: Jump Bike

ニューヨークに拠点を置いている同社にとって、自転車シェアリング事業はこれが初めてではない。2010年、同社は Social Bicycles という名で設立。40の地域で1万5,000台の自転車を設置し、その利用回数は500万回に達するとしている。そして2017年、Jump をローンチし、ワシントン DC にてドックレスの e バイクシェアリングサービスを開始した。

2017年を振り返る

昨年の2017年は、中国企業が同事業に大きな賭けをしてきたこともあり、自転車シェアリングを手掛けるスタートアップにとって興味深い一年であった。 Tencent(腾訊)が支援する Mobike は昨年6月、6億米ドルの資金調達に成功し、Alibaba(阿里巴巴)支援の Ofo(小黄車)は昨年7月に7億米ドルを獲得しており、ハードルがかなり高くなっている(報道によると、Alibaba は GSR Ventures から30億米ドル規模の Ofo 株式を取得した模様)。さらに Ofo 支援者のうちの一社、Didi Chuxing(滴滴出行)が自社で自転車シェアリングサービスをローンチする計画があると発表している

アメリカにおいて、Jump Bikes の最大の競合は LimeBike であろう。そして、カリフォルニア州サンマテオに拠点を置く同社は最近、Coatue Management、Bill Maris 氏の Section 32、Andreessen Horowitz を含む複数の投資家から5,000万米ドルを調達している。

サンフランシスコ:許可なくして、ドックレスステーションは実現せず

ドックレスの自転車シェアリングスタートアップを立ち上げたからといって、都市圏内で実行に移すための許可が得られるとは限らない。先週(1月第1週)Jump Bikes は驚くことに、サンフランシスコ市営交通局(以下、SFMTA)から、同市での250台のドックレス e バイク設置の許可を独占的に得ることができた。この決定により、LimeBike を含むすべての競合企業は事実上、今後18ヶ月間、同サービス開始の許可を得ることができなくなった。

SFMTA の広報担当兼メディア担当マネージャーの Paul Rose 氏は VentureBeat に対し、以下の声明を発表している。

Jump は SFMTA が定めるドックレス自転車シェアリングの許可基準を満たした、唯一の企業です。(中略)同シェアリングを承認する法律において、すべての企業に許可証を発行する約束はできませんでした。熟慮を重ねた結果、SFMTA は審査に時間をかけるため、当初の制度を制限することに決定しました。ドックレスの自転車シェアリングがまだ発展途上だということを考えると、SFMTA はドックレス自転車シェアリングがサンフランシスコにおける自転車シェアリングネットワークをどのようにしたら最大限支えていけるか、綿密な評価を行うための時間が必要なのです。

Jump Bikes の広報担当者は VentureBeat に対し、今後数週間かけて同市でのドックレスステーションの本格展開を行っていくと述べた。

SFMTA の決定に対し、LimeBike の共同設立者兼 CEO である Toby Sun 氏は以下の声明を発表した。

サンフランシスコのベイエリアに拠点を置いていない企業一社のみと契約するというSFMTA の決定は、レビュー過程の透明性および公平性のすべてを放棄しており、実質すべての競合他社を排除するようなものです。また、サンフランシスコの人々が持つドックレス自転車シェアリングの選択権が制限されてしまいます。SFMTA の決定により今後、このコミュニティに属するメンバーに粗悪なサービスを提供し続けることになりかねません。

LimeBike はサンフランシスコや SFMTA に対し、閉ざされた扉の向こうで一方的な決定を下すのを止め、ドックレス自転車シェアリングの承認プログラムを全面的に見直すとともに、コミュニティの意見を取り入れ、透明性や公平性のある承認プロセスとして再開するよう要請しています。 これは、サンフランシスコの人々により良いサービスを提供するためなのです。フェアなプロセスが行われるまで、運営すべきではありません。

Jump Bikes はこれまでに合計1,700万米ドルの資金を調達しており、70人の従業員が在籍している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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