〝新しい経済〟を創り出すスタートアップ・シーンを語るイベント「THE COIN」、Day1キーノート&トークセッションのまとめ #THECOINjp

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Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、THE BRIDGE のイベント「THE COIN」の取材の一部である。

THE BRIDGE が新たな取り組みとして始めたイベント「THE COIN」の1日目が18日、東京・永田町のスタートアップハブ GRID で開催された。3日間にわたって開催される本イベントのうち、1日目のこの日は、キーノートスピーチとトークセッション、参加者同士がカジュアルにネットワーキングできるミートアップで構成される。会場には、日本内外から200名以上の大企業関係者、起業家、投資家などが集まった。

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イベントの冒頭を飾ったのは、昨年7月の ICO で、それまでの VC からの調達総額を超える2,500万米ドルを集め、ICO を実施したり計画したりしている世界中の起業家から羨望の的となっている Omise / OmiseGO (OMG)の長谷川潤氏だ。

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長谷川氏は以前 Lifemee というライフログサービスを運営していたが(2009年、筆者がインプレス「IT Leaders」に寄稿した TechCrunch 50 のリポートの中で取り上げている)、このサービスを閉じて一念発起し、タイにわたって Omise を作り上げた。Omise は2013年のローンチ当初は E コマースプラットフォームだったが、そこから決済スタートアップ、ひいては、フィンテックスタートアップにピボットしたことで大きな成長を遂げることになる(ピボットの経緯は、彼のブログ記事に詳しい)。

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Omise / OmiseGO は昨年、ブロックチェーンに特化したファンドやコワーキングスペースのネットワークの構築を発表しており、数ヶ月以内には日本国内でその動きが具体化してくることになりそうだ。彼は、この分野の世界トップクラスの人々を日本に連れて来たいと考えていて、また、日本で生まれたプロジェクトを世界に持っていきたいと考えている。大企業やスタートアップには、ぜひブロックチェーンの恩恵を受けられるしくみを、自分たちのビジネスに取り入れ、積極的に利用していってほしいと語った。

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続いて登壇してくれたたのは、世の中に「即時買取」という新語を生み出した CASH の親、バンク代表の光本勇介氏だ。STORES.jp(ブラケット運営)の創業者にして、一度はスタートトゥデイにグループ入りするも MBO で独立。ブラケットの代表の座を後任の塚原文奈氏に引き継いだ後、昨年6月に世間の話題をさらった CASH を誕生させることとなる。

そこからの CASH の事業変化のスピードはテレビドラマの展開よりも速い。6月28日のサービスインから1日後に3.6億円以上の換金リクエストが集まりサービスを一時中断、約2ヶ月後の8月末には、1日あたりの買取合計上限を1,000万円に設定しサービスを再開した。そして早くも11月下旬には、インターネットサービス大手の DMM が70億円で買収。サービス開始からわずか5ヶ月での瞬殺イグジットである。

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「2017年はお金以外の価値があるものが増えた。タイムバンクは人の時間、VALU はヒト、CASH はモノ。2018年はそれがもっと顕著になる。あらゆる価値の交換が、もっと個人ベースで進むだろう。」

光本氏は、店舗での支払を時間という価値で支払うことも、できるようになるのではないかと語った。例えば、牛丼を食べに行って、お客は牛丼を食べるのに費やした時間で価値交換し、お金を支払わずに店を後にする、というシーンが生まれるかもしれない。現在の価値観では無賃飲食にしか見えないが、新たなビジネスを生み出すには、価値交換の媒介物は常にお金という既成概念を捨て去った方がよさそうだ。

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THE COIN は19日、20日も引き続き開催。チケットが完売しているので、これから参加したい、という読者に席を用意できないのは残念だが、イベントを通じて得られたインサイトやアイデアは、なるべく多くを THE BRIDGE 上で共有させていただきたいと思う。

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