シンガポール発のバイクシェアリングサービスoBike、東南アジアの配車サービス大手Grabと提携

by Tech in Asia Tech in Asia on 2018.2.8

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Photo sourced by Tech in Asia

本日(1月22日)oBike が配車サービス企業 Grab との戦略提携を発表した。

第一歩として oBike は自社アプリに GrabPay を取り込み、利用者にキャッシュレスの支払いオプションを追加し、GrabReward ポイントを貯めることができるようにする。また、同社の自転車に Grab のブランディングも追加される予定。

これらは「シンガポールにおけるオンデマンド交通インフラストラクチャーの利便性向上」を目指して両社がローンチしていく様々な共同イニシアチブの第1弾である、と oBike は本日(1月22日)声明で述べている

同社は今後数週間でその他のイニシアチブの詳細も公表していくという。同社の自転車シェアリングサービスが Grab のアプリに統合されるか否かは発表していないが、それも一つの可能性である。

別の発表で Grab は GrabPay のために「あらゆる提携を進んで受け入れていく」とし、「顧客が GrabPay をモバイルウォレットとして利用できるようオプションの拡大を続けていきたい」と述べた。

加えて当社では、お客様に別の移動手段や価格帯を提供する新たなモビリティの選択肢を常に模索しています。自転車シェアリングは、目的地に向かう際の最初と最後のワンマイルの移動オプションとして、Grab の現行トランスポートサービスを補完するものです。当社は業界の全トランスポートプロバイダーとの協業機会を模索していきたいと考えています。

Grab が oBike に出資していることを踏まえれば、この発表は順当といえる。oBike は本日(1月22日)Tech in Asia に対してを認め、シンガポールでの提携計画は先週(1月第3週)表面化していた。

最新動向に明るい Tech in Asia の購読者には、シンガポールのクイーンズタウン地区で Grab のブランディングが施された oBike の自転車がトラック後部に積まれているのを目撃した方もいる。その時点では、我々独自には確認できておらず、また、Grab と oBike の両社からコメントを得ることもできていなかった。

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車輪のカバーパネルには「GrabCycle」のロゴが oBike のロゴにはっきりと並んでおり、フレームにも両社のロゴが見える。

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Grab と oBike にとっての提携の意義

配車サービス業界ではアプリに自転車を追加するトレンドが続いている。中国の Didi Chuxing(滴滴出行)もまずは ofo(小黄車)との提携を皮切りに、その後 Bluegogo(小藍単車)とも提携しており、いまや自社のサービスをローンチしようとしている。インドの Ola も自転車サービスを発表している

両社の確認は取れていないが、今後 Grab も自社アプリに oBike を追加するように見える。

コンサルタント会社 Simon-Kucher & Partners のマネージングパートナー Jochen Krauss 氏は、今回の統合を理にかなうものと考えている。同氏は次のように述べた。

全体的なゴールはモビリティサービスに包括的なソリューションセットを提供することです。Grab は、時間帯によらず地点 A から地点 B へ最も効率的に移動できる手段を顧客に提供することを目指しており、それはタクシーだったりオートバイだったり、自転車だったりするということなのです。

Grab にとっては、パートナーシップによってすでに確立しているネットワークへのアクセスが得られることになる。Krauss 氏はこう話す。

Grab の立場にたてば、自転車シェアリングで4番手や5番手になりたいと考えるでしょうか?市場にはすでに既存プレーヤーがいるわけですから、パートナーシップは手っ取り早く市場シェアを手にする方法なのです。

財務的には、Grab は GrabPay を利用した oBike 乗車から追加の売り上げが得られると Krauss 氏は話す。また、Grab のアプリへの oBike 統合からも、レベニューシェアリングが生じることになる。oBike のスポークスマンは完全統合の計画に関しては認めていないが、もしあり得るとすればレベニューシェアリングとなるだろうとも話している。

その一環で、oBike は数百万人におよぶ Grab の東南アジアユーザへのアクセスを得ることになる。Grab は1日あたり350万件の取引を取り扱っており、年間では10億件となる。また、新規にローンチしたデリバリーサービス用に、Grab の既存パートナードライバーネットワークにもつながることになる。

しかし、デリバリーセグメントで両社が競合してしまうリスクはないのだろうか? Krauss 氏によれば、「理屈上」はあり得る話だが、実際には「彼らの市場シェアは小さいので問題にはならない」と考えているとのことだ。

最終的には、長期的計画では競合の問題をなくしていくことになると Krauss 氏は話す。

純粋な協力関係になるのか、それともまだ見ぬ何か違うものになっていくのか、という話なのです。両社をさらに近づける機会があるでしょうか?

同氏はそう指摘し、先々には買収もあり得ることをほのめかす。

我々は Grab にも oBike 統合化やその他の計画について問い合わせているが、まだ回答を得ていない。

とにかく、協力関係を通じて両社は利用パターンについてより深い洞察が得られるだろうと同氏は話す。こうして得られた洞察を活用して、両社はオペレーションをさらに効率化できる。

両社のアルゴリズムに乗せられる情報はたくさんあるのです。サプライヤーサイドとしては、人がどこに向かうのか、どこで乗車するか、どこに供給が足りていないか、といったことを知ることができます。両社は戦略的にそうしたエリアに自転車や車を配分することができるのです。

なぜ、より規模の大きな同業他社ではなく、oBike が提携先だったのか

シンガポールを本拠とする oBike は、同社よりも断然規模が大きな中国のライバル企業 ofo や Mobike(摩拜単車)と、シンガポールやマレーシア、タイなどの市場で競合している。

Didi 傘下の ofo の方が Grab のパートナー先としてはわかりやすい相手だった。なぜなら、両社とも中国の配車サービス大手企業を投資家に持つからだ。しかし、Didi と ofo の提携は上手くいっていないとするレポートもある。

The Information によれば、Didi を含めた ofo の投資家らが ofo と Mobike の合併を画策し始めたときからおかしくなったとしている。ofo はまだ共同設立者らが議決権の過半を握っており、両スタートアップが合併に強く反対したため、合併の目論見は失敗に終わった。

一方で、Mobike はトランスポートセクターで巨大な地盤を築く決意は固いようだ。昨年末に中国で自社の配車サービスの展開を開始したのを皮切りに、東南アジアを含め自社のプレゼンスがある市場に横展開しようとしている。これは同地域における Grab やその他の配車サービス企業に対抗する動きとなる。

ofo が Alibaba 傘下である一方、Mobike は Alibaba(阿里巴巴)のライバル Tencent(騰訊)傘下であり、この中国2大巨頭の代理戦争の様相を呈している。

競合に遅れを取っている oBike としては、Grab に合流することは理にかなっている。Grab は東南アジアのリーディング企業であり、ニッチ市場を確立するにあたり、oBike は同地域に集中できる、とスタートアップのリサーチ企業 Oddup の共同設立者 Jackie Lam 氏は Tech in Asia に話している。

同地域で事業展開する自転車シェアリング企業にとっての課題の一つは、ユーザのクリティカルマスを押さえることだと Krauss 氏は話す。これは Grab も目指していることであろう。

シンガポールと同地域の大半には自転車が普及していません。これらの都市で自転車がもっと使いやすくなるには、政府の後押しが必要だと考えています。自転車専用レーンがないといった問題がたくさんあり、言うまでも無く、自転車はまだ安全ではないのです。

更新(1月22日8:00PM): 分析と、Grab と oBike のコメントを追加。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】