「外国人が日本で過ごしやすく」ーー日本で進学・就職するためのEラーニング提供のLincが総額1億円を調達

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同社創業者兼CEOの仲思遥氏

外国人向けの進学・就職支援サービスを提供するLincは2月14日、総額約1億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先はジェネシア・ベンチャーズおよびBEENEXT。株式比率や払込日は非公開だ。

同社の経営陣である創業者兼CEOの仲思遥氏、共同創業者兼 COOの王超氏、CMOのSophie Chow氏は日本留学を経て、大手企業に勤務した経験を有する外国籍のメンバー。自身らが留学生としてきた日本は住みやすいが、留学に来て学び、働くといったシステムの効率性や利便性に不便を感じて同社を設立している。

「アジア圏における日本語学習者だけでも350万人以上存在するのに対して、日本に来ている留学生は30万人と転換率が非常に低いんです」(仲氏)。

そう語るのはCEOの仲思遥氏。日本語の学習以外にも生活や働く上でのマナーなどカルチャー的なものをEラーニングで解決することを目指す。中国から日本への留学で流れを仲氏に聞いてみたところ、日本に渡った後に語学学校に1〜2年通った後、日本の大学に入学するケースが多いということだった。しかし、語学学校で1〜2年を過ごす中で同級生との進学の差が出てしまったり、語学学校とは別に日本の大学の受験対策を独自で実施していく必要がある。

それらを解決するために、同社は2017年1月に来日留学生の比率が高い中国市場向けに「羚課日本留学(羚課はLincの中国語発音)」をリリースした。同サービスでは日本の大学に進学するために必要な講義動画、練習問題、質疑応答などを通して学習を深めることができる。1年で全国の50を超える語学学校と提携し、Live講義の累計視聴者数は10万人を突破した。

1つの講義は最長でも15分で学習内容が細分化されている。これにより、集中力を持続させる他、苦手分野の抽出を可能にし、各ユーザーに対してパーソナライズされた学習プランや進学先の提供を実現する。また学習態度などを信用スコアリングとして活用する仕組みも視野に入れている。

「日本に来る留学生の多くは住宅審査が通りにくかったり、銀行口座が作りにくかったりという点があります。実際それらは信用を可視化することが難しいという部分がネックにあるため、僕たちが学習や就職を通して信用を担保できる基準を作れたらと思っています」(仲氏)

事業は黒字化、規模拡大のための資金調達

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写真左から創業者兼CEOの仲思遥氏、CMOのSophie Chow氏、共同創業者兼COO の王超氏

2017年1月にリリースしたサービスだが、そのユーザーの多くは日本に来ている外国籍の人々だ。ユーザーは中国版のTwitterであるweiboからの口コミや流入が多く、SNSでのLinc自体のフォロワーが8万人、CMOのSophie Chow氏は50万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーだ。今後もSNSによるマーケティングは強化していく。

「事業自体は単月で見れば黒字化していた」と仲氏は話す。外国拠点からEラーニングを受けられれば良いのでは?と聞いてみたところ、同氏はまさにそのためのサーバー費用や規模拡大のための資金調達だと教えてくれた。中国在住時から教材を買ってくれた人もいたのだが、サーバーが重くて読み込みがとても遅いと感じ、利便性の向上を目指した。

今後は日本全国の語学学校や中国語圏で日本語教育を提供している高等教育機関・インターナショナルスクール等へのLincの学習システム導入の拡大を目指す。また、コンテンツの制作体制やマーケティングなどを強化し、将来的には対象国を東南アジアの外国人まで拡大させていくことを目指す。

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