極寒のバルト海に身を投じピッチするイベント「Polar Bear Pitching」の第5回が開催——植物育成用LED開発、NYのArtiSunが優勝

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優勝した ArtiSun Technology のチーム
Image credit: Polar Bear Pitching

フィンランドの首都ヘルシンキから飛行機で北に上ること1時間、オウルという街がある。残念ながら(何が残念かはさておき)、北極圏に入るまでにはここからまだ100キロほど北へ進む必要があるが、この街は毎年エア・ギターの世界大会が開かれていることで世界的に有名で、日本からも大地洋輔氏、金剛地武志氏、宮城マリオ氏といった、歌手や芸人が参加している。

オウルでもう一つ有名なのは、5年前から開催されている「Polar Bear Pitching(北極熊ピッチ)」。オウルの海岸沖に広がる凍ったバルト海に穴を開け、起業家が海水に身をつけ凍えながら投資家にピッチするイベントだ。参加する投資家にもまた、ブリザードの中、ピッチを真剣に見守り冷静に評価する精神力が求められる。ピッチ終了後には身体を温めるサウナやバスタブが用意されているものの、ある種、滝行にも似たこのイベントには例年、注目を集めたい起業家が世界中から集結する。

フィンランドの外国貿易・発展大臣 Kai Mykkänen 氏のピッチで幕を開けた今年のイベントには、世界中から12チームが参加。ニューヨークのスタートアップで、制御された植物育成を実現できる LED を開発する ArtiSun Technology が優勝した。優勝した ArtiSun には、1万ユーロの賞金と、アジアのシリコンバレーと称される中国・南京への往復旅行券が進呈される。

旅行者が空港で没収された自分のアイテムを回収するしくみを提供する Cotio(フィンランド)が2位、骨折治療時に従来の石膏を使った完全固定ではなく、3D プリンタを使って作成した可動域を確保した固定装置を開発する CastPrint(ラトビア)が3位を獲得した。Cotio の CEO Kimmo Collander 氏は海中に身をつけた状態で4分間以上にわたるピッチを行い、聴衆は大きな拍手と歓声で彼の偉業を讃えた。

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