Silicon Valley Bank調査報告:全スタートアップの71%、女性を取締役に起用せず

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SVB report 2018 スクリーンショット
Image Credit: Silicon Valley Bank (SVB)

2017年は多くの変革が見られた年だったが、スタートアップの世界では何も変化がなかったようだ。Silicon Valley Bank(SVB)が本日(1月29日)リリースしたレポートによると、スタートアップ設立者らは現在でもベンチャーキャピタル(VC)が最大の資金調達の場だと語り、新規株式公開(IPO)より買収が望ましいと考えていることがわかった。さらに、女性より男性の方を雇用する傾向にあることも明らかになっている。同レポートは、SVB が行ったスタートアップ1,045社(主にアメリカ、イギリス、中国が拠点)への聞き取り調査を基に作成されたものである。

過熱した盛り上がりより伝統

この1年、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)の過熱とも言える盛り上がりが展開されていたものの、全スタートアップの54%は今でも資金調達の方法として VC を重要視しているという。その他、エンジェル投資家、未公開株式、法人投資家、クラウドファンディングを挙げている。

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資金調達元
Image Credit: SVB report

VC の資金調達額の増加、長きにわたり株式を非公開にするスタートアップのことを考えれば、より多くの資本を得るために設立者らが Sand Hill Road に押し寄せるのも当然である。

また、長期的な展望として、イグジットのために事業売却を目指しているスタートアップは全体の57%に上るという。これは公開市場における乱高下、および IPO の下落が原因だと考えられる。

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起業の目標
Image credit: SVB report

2018年は IPO にとって実りのある年になるか?SVB の CEO である Greg Becker 氏はこの問いに対し、こう答えている。

それはまだ時期尚早です。IPO の状況は良くなっていますが、民間資本の有効性により、大きく増加するとはなかなか言い難いのです。

移民なくしてイノベーションなし

シリコンバレー拠点のスタートアップは、近年成立されたいくつかの国家政策により、重大な影響を受けている。

レポートによると、スタートアップのほぼ3分の1が「法規制は施設や営業以外の事業活動の国外移転を促した」と述べた。そのような動きになる最も大きな要因は、アメリカの移民政策だ。その後、租税政策、規制環境が続く。ちなみに、スタートアップの半数は設立者の少なくとも1人が移民である。

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アメリカの法規制 
Image Credit: SVB report

今でも男性社会

最後に大事なことを話そう。インクルージョン・プログラムを実施しているスタートアップの割合は、ここ1年で25%から41%に増加したとレポートに記載されているが、雇用された女性の数は増えていないのが実状だ。むしろ、その数は前年から少しずつ減少し続けているという。

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女性幹部 
Image Credit: SVB report

この改善されていない問題について、Becker 氏は以下のように述べている。

弊社のクライアントにこの問題について聞いてみたところ、社内における多様性に関する統計の追跡、それを基にした目標設定、自己主張を促す女性従業員向けのコーチング、女性を中心とした組織への関与の奨励、家族第一主義文化の創出、社内での LeanIn.org モデルのイベント主催、職務明細書の記載方法の変更、および募集や面接のやり方の改善といった行動を、新興企業ながら積極的に行っていると回答しています。

シリコンバレーのスタートアップは積極的に取り組んでいるのかもしれないが、職場での男女平等は今でも現実のものとなっていないのだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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