Algorithmia、イーサリアムベースのAIコンテストをローンチ

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(上)Algorithmia の AI スマートコントラクトのしくみ.
Image Credit: Algorithmia

Algorithmia は本日(2月27日)、イーサリアムブロックチェーンを用いた機械学習モデルの開発に新時代を開きうる AI コンテストの開催を発表した

同社は、前回のアメリカ大統領選挙における経緯度別に分析された有権者の嗜好を特定するための最も優れたアルゴリズムを提供できるチームに対し、3イーサリアム・トークン(本記事の執筆時点で2,500米ドル以上に相当)を贈る。スマートコントラクトにコーディングされたこのコンテストは、60日間に渡って開かれる予定。最も正確なモデルを提出した最初のチームが優勝者となる。

このコンテストは実に、誰でも自身のスマートコントラクトを作成し、特定の問題を解決するカスタム機械学習モデルを募ることを可能にするシステムを検証する、コンセプト実証テストとなっている。これは、機械学習を特定の問題に応用したいが、データサイエンティストを雇うだけの資金がないという企業にとって助けとなる。Algorithmia の方式では、参加者は相手を信用する必要がなく(すべてのコンポーネントがスマートコントラクトにより制御されているため)、報酬の支払いも自動で行われる。

Algorithmia の発案した DanKu コントラクトによって、開発者は、例えばある取引が詐欺的なものであるか否か、ある写真に鶏が写っているかなど、機械学習モデルによる解決が望まれる問題にアウトラインを与えることが可能となっている。

各タスクに対して、正確さの最低必要条件、報酬額、コンテストの終了期日、問題に関連するデータセットが与えられる。その後、クリエーターはスマートコントラクトを使用して、無作為の訓練データのプール(これはデータサイエンティストがモデル作成に応用できるよう一般に公開される)を確立し、続いてテストデータ(こちらは秘密にされ、モデルのパフォーマンスを試す際にのみ使われる)を確立する。

このように訓練データとテストデータを分けることは重要である。なぜなら、そうすることで、開発者が自分のモデルを訓練データセットに対して過学習させることはより確実に無くなるからである。(過学習したモデルというのは、訓練データセットの結果予測に最適化されている分、自分が訓練されたことのないデータに対してはより不正確に振る舞うモデルのことである。)

モデルをテストするための算定は全てイーサリアムブロックチェーンを運用するマシンで行われる。これにより、モデル作成者とタスク作成者の双方とも、相手を信用する必要なく、モデルのテストの結果が正しいことを確信できる。優勝者が選ばれると、スマートコントラクトの作成者は優勝した機械学習モデルを自動的に受け取り、開発者は報酬を受け取る。

DanKu はイーサリアムにとっても重要な出来事である。Algorithmia の共同設立者で CEO の Diego Oppenheimer 氏は、VentureBeat とのインタビューの中で、同社の考えとしては、DanKu システム(名前は同システムを作成した Algorithmia の2人のエンジニアの名にちなむ)の開発は、ニューラルネットワーク推論がイーサリアム上で使われた初の例だと語った。

Oppenheimer 氏は、データサイエンスのコンペのための Google 傘下のプラットフォームで、Zillow の住宅価格見積算出システム、Zestimate 用の最良のアルゴリズムを作成する100万米ドルを賭けたコンテストなど、高値になるイベントを主催してきたプラットフォーム、Kaggle を打倒しようとしているわけではない。そうではなく、特定の機械学習能力の開発をクラウドに請け負ってもらうことが、各企業にとって実用的になるようにすること、これが
DanKu コントラクトの狙いである。

将来的には、Oppenheimer 氏は、アプリケーションがこのメカニズムを使って他の人間や他のアプリケーションから自動的にモデルをリクエストし、自らの能力を向上させる状況になることを目論んでいる。

自動で契約書を定め、それを他のシステムによって解決できるシステム上に乗せるということがもしも機械にできるとすれば、あるレベルで機械学習システムが問題を自動的に解決していける可能性があります。(Oppenheimer 氏)

Oppenheimer 氏は、今回の AI コンテストの開催発表はイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を伴わないとし、また Algorithmia にはこのコンテストの結果として新しい仮想通貨を作る計画はないとした。今回のコンテストにより、Algorithmia には訓練された機械学習モデルのためのマーケットプレイスを運営し、また訓練されたモデルを大規模に運用するソフトウェアを企業に提供するという利益がもたらされるからである。

しかし、そうした未来が我々のものとなるまでには、まだまだ解決すべきことがたくさんある。

やるべき仕事は大量にあります。まだこれから進めないといけないことが山ほどあります。しかしこれこそ胸躍るところなのです。この仕組みは可能なのです、そしていったん実際のコードを使って実現したのです。さあこれから何が起きるか見ることにしましょう。(Oppenheimer 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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