完全自動運転向けAI開発のAscent Robotics、シリーズAラウンドでSBIインベストメントなどから約11億円を調達

SHARE:
Image credit: Ascent Robotics

完全自動運転向けに、人工知能(AI)技術を搭載したソフトウェア開発を行う Ascent Robotics は19日、シリーズ A ラウンドで約11億円を調達したことを明らかにした。このラウンドのリードインベスターは SBI インベストメントが務め、Bart Joseph Broadman 氏ら複数の個人投資家が参加した。なお、SBI インベストメントからの出資は、同社の「SBI AI&Blockchain ファンド」からの初出資案件となる。

今回の調達を受けて、Ascent Robotics では公路での自動運転の実証実験の実現と AI の研究開発の加速させ、世界各国から優秀なリサーチャーやエンジニアの採用を進めるため、オフィスの移転や海外拠点の開設準備に着手するとしている。

Ascent Robotics は、日本の道路環境で レベル 4 自動運転(加速・制動・操舵を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない完全自動走行状態)を実現させるソフトウェアを開発している。昨年11月には、ロボット AI(人工知能)教育環境「ATLAS(アトラス)」をβローンチした。ATLAS はシミュレーターベースの自動車・産業用ロボット向け AI 教育環境で、AI の教育にリアルデータと擬似データの双方を用いることで、リアルデータのみを使用した場合と比べ、50倍以上の効率で教育が可能となる。

Image credit: Ascent Robotics

Ascent Robotics では ATLAS の優位性を武器として、市場の競争が激しくなる 2020年までにレベル 4 自動運転の実現を目指す。DeepMind、Waymo、Uber らが主戦場とする欧米と比べ、日本やアジアでは道路環境が大きく異なることから、Ascent Robotics では、特に道幅が狭く人通りが多い日本の道路環境に対応可能なレベル 4 完全自動運転車を早期に作ることで、世界的にこの分野で先んじることを期待している。とりわけ、Uber の自動運転車による歩行者を巻き込んだ死亡事故が発生した直後だけに、この分野における Ascent Robotics の技術の醸成には期待が高まる。

Ascent Robotics は2016年9月、カナダ出身の技術者で Salesforce や Pasona Tquila で上級職を歴任した Fred Almeida 氏らにより設立。日経 Robotics の報道によれば、既に日本の大手自動車メーカー1社と契約関係を締結しているという。プレステの生みの親である久夛良木健氏も、社外取締役として名を連ねる。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する