デジタルマネーウォレット開発のBlast、シードラウンドで500万米ドルを調達——ゲーマーを貯蓄家へ

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ゲームで何かを達成するごとに貯金を増やすことができる「Blast」。
Image Credit: Blast

League of Legends で何かを達成すると、「小口貯蓄」を始めることができる。この大計画によって Blast は500万米ドルの資金を調達した。

League of Legends のようなハードコアなヒット作から Candy Crush といったカジュアルなものまで、Blast の小口貯蓄ツールはいずれほとんどのゲームで動作する予定である。小口貯蓄はクレジットカードで人気になったものだ。買い物をするたびに購入に応じて少額のお金が預金口座に送られてくるものである。

カリフォルニア州ニューポートビーチを拠点とする Blast は貯蓄を奨励したいと考えており、まずは世界中の26億人のゲーマーが好きなゲームをプレイしながらお金を貯めたり稼いだりできるようにすることから始めていると Blast および系列会社 Acorn のチェアマンである Walter Cruttenden 氏は GameBeat のインタビューに答えた。

Cruttenden 氏は次のように語った。

弊社はフィンテックとゲームを一つにまとめることにしました。仮想通貨ではありません。実際のお金です。貯金をする方法なのです。

Blast はデジタルマネーを貯めることができるウォレットを開発している。プレイヤーは残高に応じて支払われる利子を生成する「貯金トリガー」を設定することができ、ゲーム内で達成した「ミッション」からの配当を受け取り、上位プレイヤーリストでリードしている者には毎週支払いが行われる。

CSO(最高戦略責任者)の Stephen Tyszka 氏はインタビューでこのように述べた。

好きなゲームをプレイしながらトリガーを設定できます。私自身も League of Legends の熱心なプレイヤーです。ミニオンを倒すたびに1セント貯まります。タワーを倒せば25セントで、対戦に勝つことができれば1ドルが貯まります。

お金を同額の当座預金口座から普通預金口座へ移すことで、Blast Wallet を通じてお金を自分で貯めることもできるし、熱心なプレイヤーに対してはゲーム会社が引きとめようと新たにお金を支払うこともある。

ゲームではないアプリケーションにゲームのような報酬を出す「ゲーミフィケーション」とは逆パターンである。

Tyszka 氏は次のように述べた。

ゲーム中ではこれがずっと不満でした。新たなレベルに達しても何も起こらず、同じことの繰り返しなのです。

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ユーザは League of Legends で何かを達成するたびにお金が貯まる。
Image Credit: Blast

ベータテスト中の Blast はまもなくローンチされる予定。Blast の「トリガーセーブ」という機能は League of Legends や Counter-Strike: Global Offensive といった PC ゲームタイトルにおいて、プレイヤーが敵を倒したりタワーを破壊したり試合に勝ったりといったゲーム中の鍵となる実績に基づいてトリガーを設定できるようにするものである。

このアプリではモバイルゲームのプレイヤーが Candy Crush や Clash Royale のようなすべての Android ゲームをプレイしながら自動的にお金を勝ち取ったり貯めたりといったこともできる。

プレイヤーは新しいゲームを試したりお気に入りのゲームを次のレベルまでプレイしたりする「ミッション」を通じて配当を受け取ることができる。さらに、プレイヤーはミッションの達成を通じて Blast の「上位プレイヤーリスト」でランキングを競う。全プレイヤーの半分はランキングに応じて週ごとに上位プレイヤーリストの支払いを受け取り、最大でトップのティアでは毎週最大で1万米ドルに達する。毎週の支払いスケジュールはトップゲーマーによってアナウンスされ、Twitch.tv でもストリーミング配信される。

Cruttenden 氏は以下のように語った。

現実のお金が関係してくると、さらに面白くなります。

モバイル版では開発者はソフトウェア開発キット(SDK)を統合する必要がない。その狙いはゲームへのリテンションとリエンゲージメントを高め、プレイヤーを投資家へと変えることである。

Blast のパートナーシップ部門トップ Armin Collosi 氏はインタビューで次のように答えた。

パブリッシャーにもう一つ SDK をインストールしてもらうというのは大変ですが、これならすぐにできます。ゲームの開発者とパブリッシャーはゲーム内でユーザが達成したことについてすでにポイントを記しています。弊社はそのポイントを貯蓄のトリガーとして使用するのです。

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Blast の小口貯金用トリガーを選択する画面。
Image Credit: Blast

Blast のユーザは連邦預金保険会社によって保証された口座にお金を貯めつつ1%の年利を得て、さらにミッションで配当を受け取る仕組み。

残高が増えれば、そのままさらに増やすか、好きなゲームアプリ内の買い物に使うか、パートナーの機関投資家に投資するか、もしくは引き出して使ってしまうか、ユーザは選ぶことができる。

500万米ドルのシードラウンドへの投資家には Forbes and Roth families、Core Innovation Capital、Great Oaks Venture Capital、Snowmass Private Equity、Wilson Sonsini Goodrich & Rosati などが含まれる。この資金によって Blast は現在のベータプログラムから第2四半期に期待されているローンチまで進むことになるだろう。同社は当座借り越し保障も提供しているという。

Blast は昨年からゲーマーに焦点を当て始めたと Cruttenden 氏は述べた。だがそのアイデアは元々は Crutteden 氏の Acorns の、「マイクロマネー」もしくは極めて少額のお金を動かしたり投資したりするためのインフラを作るというものだった。Blast はそれを基に、デジタルウォレットを使ってより多くのことができるようにした。

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Blast は幅広く多様なゲームでお金を貯めることができるようにしてくれる。
Image Credit: Blast

人口の約70%は1,000米ドルの貯蓄すらもないと Cruttenden 氏は述べた。ここで鍵となるのは、一度に送られる金額は小さいということだ。どうということもない額ではあるが、時間と共に確実に貯まっていくと同氏は語った。

サービスを小さな利益に分けて広く流通させることができれば、常に上手く行きます。Coca-Cola もそうやって成功しました、瓶詰めにしたのです。(Cruttenden 氏)

Blast の従業員は25名である。いずれ Android や PC、ゲーム機、iOS などのプラットフォームを加える予定。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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