Blok.Party、ブロックチェーンベースのゲーム専用機「PlayTable」を発表——異プラットフォーム間でも、同じゲームキャラクタの利用が可能に

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Blok.Party はブロックチェーンの透明性の高い記録管理を用いて、PlayTable という卓上用ゲーム機向けにユニークなゲームを開発している。PlayTable は、24インチのタッチパネル型ゲーム機と、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『カタンの開拓者たち』を思わせる卓上ゲームを融合させたものだ。

PlayTable は、玩具とゲームの最新型ハイブリッドで、物理的な玩具とデジタル玩具、そしてゲームを組み合わせ、さらにはブロックチェーンを用いてデジタルキャラクターを追跡するという革新的技術を加えることを目指している。他の家庭用ゲーム会社に対抗するのは、このサンフランシスコのスタートアップにとって容易なことではないにしても、同社は多くの革新的技術を今回の製品に詰め込んだ。

Blok.Party の CEO で設立者の Jimmy Chen 氏は GamesBeat に対するインタビューで次のように述べた。

玩具産業にはずっと、欠けているところがありました。玩具産業界の人々はスマート玩具を作ろうとしましたが、普通の玩具より高価で、手の届きにくいものでした。スマート玩具の未来は次のようなものになると思います。つまり誰でも既存の玩具を選び、それにステッカーを付けてデータを入れ、その玩具にキャラクターとしての特徴と音を持たせるのです。そして私たちはこうしたゲームをリアルなソーシャル体験に変えることができます。

PlayTable は2018年の第4半期に349米ドルで新発売される予定で、数多くの独自の特徴を持つ。このゲーム機では、ドラゴンや賢者など卓上の玩具ゲームで使われるようなキャラクター(Activision 社のデジタル玩具「Skylanders」のようなもの)が使われる。

しかし、キャラクターの底には RFID タグが取り付けられ、タッチパネルにより読み取られる。これらのキャラクターは、ビットコインなど仮想通貨を支える認識技術であるブロックチェーンによって、個別に他と取り違いの無い形で認識され、追跡される。ブロックチェーンはイミュータブルで透明性の高いパプリックな台帳で、玩具のようなデジタルキャラクターを様々なプラットフォームで追跡することを可能にする。そのような玩具を買うと、ブロックチェーンは所有者がその人だと確定し、そのキャラクターがどのレベルに達しているかなど、玩具それぞれの特徴を記録してくれる。

Chen 氏は次のように語る。

RFID レイヤーはブロックチェーンに接続されています。この RFID レイヤーが、ゲームのキャラクターそれぞれの属性をブロックチェーンに保存します。これによって、そのキャラクターは別のプラットフォーム上でも使えるようになります。ユーザは玩具に対し所有権をもち、データを他のプラットフォームに持ち込めるようになっています。あるドラゴンが他と違うまさにこのドラゴンだと言えるようにするのは、重要な技術です。ブロックチェーン以外の技術ではそんなことはできません。これは核となる重要な技術革新です。

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PlayTable 初のゲームの1つ「Battlegrid」
Image Credit: Dean Takahashi

Chen 氏は、筆者に Battlegrid というファンタジーカードゲームと連携している Android ベースのプロトタイプのゲーム機を見せてくれた。私はドラゴン、Chen 氏は賢者を持った。玩具をタッチパネルの上に置くと、生きているように、キャラクターの性質に基づいて音を出す。2人が交代でパネル上にカードを出すと、パネルはカードを認識し、ドラゴンが爆音を鳴らしたり叫んだりするなど反応が起きる。

玩具を自作して RFID ステッカーを底に取り付けることもできる。そうすると玩具はスマート玩具となり、ゲームによって定義されるそれぞれの特徴を持つようになる。つまり、ゲームの中でドラゴンをペプシのボトルのようなものと対戦させることもできるということだ。3D プリンターを用いて自身のゲームキャラクターを作ることも可能だ。

私たちは玩具をゲームプレイに組み込むことによって、他社のスマート玩具との差別化を図っています。他のどこでも手に入らないようなゲームプレイを提供しています。

PlayTable は1人から8人向けだ。パネル上での動作は手で行ってもよいし、スマートフォンを使って行うこともできる。導入価格は350米ドル、通常価格は600米ドルだ。Battlegrid のゲームも含まれている。Unity ベースのゲームタイトル25種ほどが開発中で、カタン、コードネーム、チケット・トゥ・ライド、テキサス・ホールデムのデジタル版も含まれる。

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Blok.Party の PlayTable ゲーム「Battlegrid」
Image Credit: Blok.Party

Chen 氏によれば、このプロジェクトはガレージプロジェクトとして始まったという。

私は10年以上ずっとボードゲーム、ビデオゲームをやってきました。カタンにやみつきでした。カタンのカスタムゲームをよく自作したものです。インタラクティブで楽しいものにしたかったのです。その後 Skylanders によりトイズ・トゥ・ライフ(編注:アクションフィギュアなどの玩具をデジタルゲームと連動させるタイプのゲームジャンル)は大きな現象となりました。タイムズスクエアのトイザらスに行ってそうした玩具が並んでいるのを見たときは、魔法のような体験に思えました。

この体験からChen 氏はゲームのプロトタイプ作りに取り組むようになった。

想像力次第でどれほどでも拡張できるような自作用キットを作ることができるだろうと思いました。しかし Battlegrid のようなインターナルゲームに焦点を絞りたいと思います。

Battlegrid では6つのキャラクターと30枚のカードが使われる。

PlayTable の OS は仮想通貨イーサリアムのブロックチェーン上に作られている。これによりキャラクターの限りないカスタマイズが可能となる。自分の持っている玩具を PlayTable に乗せると、その玩具はデジタル世界の中でユニークなキャラクターとして生き物のようになる。 RFID タグを用いることで、ゲームのキャラクターはポータブルになり、自分のユニークなキャラクターを友人の家に持って行って別の PlayTable で遊ぶことができる。キャラクターを交換することもでき、この場合交換はブロックチェーンで認証される。

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PlayTable は1人〜8人でプレイできる
Image Credit: Blok.Party

同社には15人の従業員がおり、Huawei の元研究開発エグゼクティブ Jason Ge 氏、Blok.Party のハードウェア部門 VP で Amazon Echo や iPhone に関わる経験を持つ Sam Lee 氏、uCool などのゲームスタジオに勤めていた Dave Mata 氏がいる。前売りは3月に開始予定。昨年のテストマーケティングの後、10万人がウェイティングリストにいるとしている。いまだ提携企業については名を挙げていないが、多くの企業と交渉中だという。

Blok.Party は今回のプロジェクトのために2年以上取り組み続けてきた。その間、Skylanders によって始められたトイズ・トゥ・ライフ分野は人気の興隆と衰退を繰り返した。

Chen 氏はこう述べた。

トイズ・トゥ・ライフ1.0は Skylanders でした。私たちはこれを次の段階に進めていくつもりです。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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