ワシントンDCを拠点とするLavrock Ventures、2,500万米ドルのファンドでサイバーセキュリティスタートアップにラブコール

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Lavrock Ventures パートナー Daniel Hanks 氏, Steve Smoot 氏, Jim Hunt 氏
Image Credit: Lavrock Ventures

シリコンバレーは多くの VC 企業の本場であり、そのすべての企業は次の大当たりを目指して競争を繰り広げている。しかし VC はベイエリアの外にも存在(そして成功)している。ワシントン D.C.はベンチャーキャピタル企業を設立するのに分かりやすい場所ではないが、Lavrock Ventures はこの政治的中心都市に目をつけた。同社は本日(3月2日)、企業ソフトウェアとサイバーセキュリティ、国家安全保障に取り組むスタートアップに対する初の2,500万米ドルのファンド募集を完了したと発表した。

マネージングパートナーの Jim Hunt 氏、ゼネラルパートナーの Daniel Hanks 氏および Steve Smoot 氏によって2016年後半に設立された Lavrock Ventures は、この第1号ファンドから既にいくつかの投資を行っている。

投資先企業の一つはニューヨークに拠点を置く Graphika であり、この企業は海外からの影響力やプロパガンダに関する情報を引き出すために大きなソーシャルネットワークに使われているという。言うまでもなくこれはきわめてタイムリーだ、特に2016年の大統領選で Facebook が果たした役割に関して同社が直面している反発の中では。

ほかのポートフォリオ企業としては、メリーランド州アナポリスを拠点とし、民と官の両方の顧客向けに製品やサービスを提供するサイバーセキュリティ企業 Sixgen もある。

Lavrock Ventures は第1号ファンドを2,500万米ドルで終了したが、さらに5,000万米ドル以上の投資を特別な追加ファンドで実施する予定。

Lavrock Ventures のゼネラルパートナー Daniel Hanks 氏は VentureBeat のインタビューで次のように答えた。

私たちは「重量以上のパンチ」を打てるようになり、状況が許せば、より大きな小切手を切ることができるようになるでしょう。「オポチュニティファンド」や「グロースファンド」で資金を調達する他の企業と同じように、私たちの LP(リミテッドパートナー)ベースは付加的で直接的な配当がいつどこで入手できるのかについて強い関心を持っていると表明しています。ですがそのために特別に資金を調達しているわけではありません。私たちは柔軟性を持ち、私たちの投資者は追加の資本が縛られる心配をすることなく特定の取引に自信を持ってスケールアップすることができるのです。

この取り決めにより LP はいきなり大量の投資をすることなく少額から投資することができる。もし上手くいって有利な取引の可能性があると思えば、投資の複雑な料金体系に煩わされることなくより多くの資金を注入することも可能だ。

同社は、通常 Hanks 氏が300万から700万米ドルとして特徴付けている「イーストコースト・シリーズ A」ラウンドにおいて、100万から300万米ドルの投資に関心を持っていると述べた。

政治は技術を上回るのか

ワシントン D.C.は政治の中心地として知られているが、同時に健全な起業家のエコシステムの本場でもある。National Venture Capital Association(NVCA)はそこに本部を構えている。Steve Case 氏の VC 企業 Revolution もワシントン D.C.を拠点としており、In-q-Tel も同様である。In-q-Tel はアメリカ中央情報局(CIA)やさらに広くアメリカ情報活動コミュニティ(IC)に対して開発を促進したり先進技術を届けたりする非営利的な戦略的投資家である。

しかし技術と政治の二重性は常に調和を保っていられるというわけでもなさそうである。

Hanks 氏はこう述べた。

ワシントン D.C.地区には間違いなく活発なテックシーンがあるのですが、どうなりたいのかという永続的なアイデンティティの危機を抱えているようです。まず何よりも、この地区は世界中のとまではいかなくても、国内のコンピュータに関わる才能がもっとも集まっているところです。3文字で表される政府機関や、政府から仕事を請け負う大手の業者、そして数え切れないほどの若い企業。だいたい半年に1回くらいは無謀とも言えるような取り組みが行われ、アイデンティティを構築しようとしています。ワシントンとメリーランドとバージニアが一緒に上手くやるということはできません。

技術的に言えばサイバーセキュリティがワシントンの最大の強みではあるが、より大きな技術の中心地へと成長できる可能性もある。Jeff Bezos 氏は Washington Post の獲得を通じて既に強力な足がかりを築いている。Amazon の第2本社がこの街に来るとの噂もあり、新たなスタートアップの群れが間もなく移動してくるかもしれない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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