不在でも宅配物を玄関前に届けてもらえる〝置き配〟の「OKIPPA(オキッパ)」、Makuakeで専用バッグのプリオーダーを開始

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2018.4.17

近年の E コマースの隆盛に伴い、日本の物流が悲鳴を上げていることが明らかになりつつある。特に問題になっているのは宅配便の再配達だ。2016年に国土交通省が発表したデータによれば、1日に配達される約1,000万個の宅配荷物のうち、約20%に相当する200万個が再配達されている。

再配達にかかるムダな労働力やコストを削減しようと、Eコマース会社、物流会社、スタートアップがさまざまなサービスを打ち出している。先月、TSUTAYA での実証実験を開始した「SPACER(スペースアール)」をはじめ、楽天の「楽天 BOX」、Packcity Japan(ネオポストシッピングとヤマト運輸の JV)の「PUDO ステーション」、日本郵便の「はこぽす」など、自宅以外の場所で受け取るロッカーサービスも充実してきた。郵便局なら勤務先への転送、宅配便ならコンビニエンスストアでの受け渡しなどの選択肢はもとより、不在配達の荷物ロッカーを備えたマンションも増えつつあるが、依然として再配達は減る気配を見せていない。

その一つの理由は、〝宅配〟という名前が物語るように「自宅まで配達」してもらうことに、ユーザがサービスの価値を感じているからだろう。「重い商品だから玄関まで届けてもらえるよう E コマースで頼んだのに、マンション 1F の玄関口にある不在配達ロッカーに荷物を取りに行くなんて」というユーザは少なくない。そこで期待を集めるのが、不在時でも家の中にまで荷物を届けてもらえる「Amazon Key」に代表されるサービスだ。

Amazon Key が日本で浸透する条件を考えたとき、スマートロックが普及するとか、不在時に運送業者に自宅に入室される心理的ハードルを下げるとか、これが一般的なソリューションになるにはまだ少し時間がかかりそう。Amazon やアスクルは、提携する物流会社が配送する荷物について、不在時には玄関先に置いていってくれる「置き配」なるサービスを既に正式に開始している。

今回取り上げる「OKIPPA(オキッパ)」は、この置き配をドラスティックに普及させようという試みだ。提供するのは、荷物管理をするためのアプリと玄関先で荷物を置き配してもらうためのバッグ。アプリは先月末からアプリストア上( iOS / Android )で入手可能となっているが、今日からバッグが Makuake 上で先行予約注文開始となった。バッグ1個の通常販売価格は3,980円(税込)だが、Makuake では3,186円(税込)で先行注文が可能だ。

OKIPPA のアプリは現在、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便、西濃運輸、Amazon デリバリプロバイダ(TMG)の配送システムと連携しており、また、Amazon と楽天とについては EC サイト連携で荷物の配送状況をトラッキングすることができる。ユーザは頼んだ荷物の配送状況に応じて、事前の配送日時変更や置き配指定、再配達の依頼などを効率的に行える。

OKIPPA のバッグは、バッグをドアノブなどに固定できるダイヤル鍵のついたワイヤストラップと、ファスナーをロックするダイヤル鍵の備わったバッグ本体で構成される。創業1872年の生活雑貨メーカーのマーナが製造しており、簡単に折りたたみできるプリーツのついた撥水性の高いバッグとなっている。今のところ、デジタルの要素はひとかけらも無い荷物を受け取るためのバッグに過ぎないが、いずれ IoT 的要素が加わって、置き配荷物の到着を伝えたり、不正な荷物の持ち去りを検知したりするなどの機能向上も期待できる(今のところ、置き配荷物の到着は、物流会社システム経由の配達通知で知ることができる。荷物の事故対応については、専用の保険開発なども視野に入れているようだ。)

OKIPPA を運営する Yper は、代表取締役の内山智晴氏をはじめ4名の創業者により2017年8月に創業。内山氏は京都大学大学院修了後、伊藤忠商事でフランスに勤務していたことがあり、先進国であるフランスの郵便や物流が決して先進的ではなかったことから、この分野に関心を持ったようだ。

日本の物流は発達しているけれど、一方で今、再配達の問題などが起きている。当初はこの問題を解決するために、IoT ロッカーを考えていたが、その箱を作ったり、中に入れるコンピュータを作ったりするために、多大な初期コストがかかる。荷物のロッカーは自動販売機や ATM と違って一日に何回転もしないし、ここにお金を払う人がいないと気づいた。(内山氏)

OKIPPA のアプリとバッグは、この IoT ロッカーのアイデアからのピボットの賜物だ。IoT デバイスを活用したホームセキュリティがそうであるように、サービスに必要な頭脳部分をクラウドやスマートフォンに持たせることで、エッジに必要な設備やデバイスは圧倒的な低廉化が図れる。

もっとも置き配された宅配荷物が持ち去られたり、盗まれたりするリスクはゼロではないが、そもそも街ゆく宅配の兄ちゃんは、特に荷物を運ぶ台車には施錠もしないまま各建物の戸口に荷物を届けにまわっているし、これは治安の比較的いい日本だから可能なのだ。過剰なセキュリティを施せば、今の価格では荷物を配送できなくなるかもしれないし、システムが複雑化して、せっかくの便利を求めたアイデアが実現できないまま終わってしまう。Yper が提案する、シンプルさ・便利さとセキュリティとのトレードオフが日本で受け入れられることを期待したい。

Yper は昨年、中小企業庁の「創業補助金(創業・事業承継支援事業)」の補助事業に採択。今年2月には、ニッセイ・キャピタルが運営するアクセラレーションプログラム「50M」の第1期に採択されている

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