注文から48時間以内生産 “超高速オンデマンドファッション” のChoosy、成功の秘策は「AI+プチプラ」

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.5.22

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<ピックアップ : 25-year-old’s startup is making fast fashion even faster>

超高速オンデマンド・ファッションをコンセプトに、女性アパレル市場に変革を起こそうとする企業が現れました。名前は「Choosy」。創業者はMIT卒業を卒業した25歳の女性Jessie Zeng氏。サービスの立ち上げは2018年7月24日を予定していますが、すでに540万ドルの資金調達を達成しています。

Choosyが解決しようとしている課題は大きく2つ挙げられます。

1つはInstagramやPinterestで好みの服を一日中探し続けてしまうソーシャル中毒者の時間浪費の課題。もう1つは、SNS上で大人気なインフルエンサーが身につけている洋服を探しても、高額でなかなか手が出せなかったりして、結局購入まで至らない販売機会を逸してしまう課題です。

上記2点の課題を解決するため、まずソーシャルスカウトと呼ばれるキュレーターチームを構成。SNSで流行っている女性向けファッションスタイルを、毎週10種類ほど選び、ユーザーへ通知します。

このキュレーションの段階で、人気インフルエンサーのスタイリングを識別するアルゴリズムが導入されています。解析結果からどのようなスタイルがインフルエンサーに人気で、トレンドになっているのかというデータを抽出。同データを参考にしつつ、スカウト達が人力で10パターンを選び抜きます。

ユーザーは10種類のスタイルの中からお気に入りの商品を選択し、事前予約を行ないます。一定数を超える受注が成立した際、48時間以内にChoosyが自社で生産から製造までを高速で行い、2週間以内に配達を行う仕組みです(仮にアウトソースした方が生産速度が上がると判断された場合は、自社工場近くの提携工場で生産)。販売される全ての洋服は50〜100ドル前後のプチプラ(※プチプライス)の価格帯まで抑える予定。

ユーザー側は毎週、最新ファッション情報が手に入るため各SNSを徘徊する必要がなくなります。また、低価格でインフルエンサーの羽織っているアパレル品を購入できるようになります。

きっかけは中国のファッションブロガー事情

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『Yahoo! Finance』の記事によると、Choosyの創業には中国のSNSファッションブロガー事情が大きく影響しているそうです。

中国のファッションブロガーの多くは、自分で生産から配達までのサプライチェーンを手配し、D2Cアパレル商品を販売しているとZeng氏は説明します。こうした仕組みを米国に輸入する考えが浮かんだことでChoosyの事業が動き出しました。

実際、約900万登録者を誇る人気YouTuberであるMichelle Phan氏が始めた化粧品のサブスクリプションサービスipsyは、米国で1億ドルの資金調達に成功しています。中国のようにインフルエンサーが自前でD2Cブランドを立ち上げる市場ポテンシャルは十分にありました。

しかし各インフルエンサーが独自に起業をする場合、それぞれの名前を使ったブランド力を活かしてアパレル商品を販売するのがせいぜいです。インフルエンサーによる情報発信もブランドもバラバラでした。

そこでChoosyは多数のインフルエンサーを追いかけることで、インフルエンサー達が身に着けそうな商品を毎週10種類リサーチし、情報発信、高速生産する仕組みを作り出しました。インフルエンサー達のファッションの平均値をアルゴリズム導入で見つけ出し、生産する新しいD2C企業の形を提案したのです。

こうして、ユーザーがソーシャル中毒になる課題をも解決し、インフルエンサーが自分のブランド力を駆使して販売するD2Cブランド市場の成長軌道に乗るサービスにまで昇華させました。

ソーシャルメディアは商品開発チャネルへと進化

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2018年1月、ChoosyはMVPを確かめる市場テストをするため、人気ファッションモデル姉妹Gigi Hadid氏Bella Hadid氏 が着用するアパレル商品を解析するアルゴリズムを開発しました。同姉妹がInstagramで紹介した格好を、プチプラ価格で販売するキャンペーンを打ったところ、4時間で1万件の注文がきたそうです。しっかりとした市場実績を出しています。

1月の時点では2名のインフルエンサーのファッションを解析するアルゴリズムしか完成させていませんでしたが、7月の立ち上げまでに解析対象数を大幅に増やすことが予想されます。

筆者がバイラル動画メディアを運営した際、ユーザーからこの商品はどこで買えるの?といったコメントをもらったことがあります。こうした経験からも、SNSを通じて認知した商品をすぐに購入したい市場のモチベーションは非常に高いと考えますし、Choosyの事業に大きな成長性を感じます。

以前紹介した記事で筆者が指摘した通り、読者数や視聴数などの数値では計測できないユーザーの気持ちをソーシャル上で上手く汲み取り、超速で生産ラインを構築、製品化させるトレンドが盛り上がってきた証左ともいえるでしょう。

Choosyは注目を集める”D2C”と”ソーシャルコマース”の両市場のトレンドを掴んでいることから、投資家も資金を入れやすいと考えられます。加えて、アルゴリズムの活用幅の拡大が期待できる点も魅了的に見えることでしょう。

たとえば洋服レンタルサービスで上場したStitch Fixのアルゴリズムは、単に各顧客の趣向に合ったファッションスタイルをキュレーションするだけの機能には留まりません。

キュレーションの際、物流センターのオペレーションを最適化させることも判断項目に組み込まれていたり、全米各地の顧客の需要を予測しつつ、かつ物流コストの側面とバランスを取りながら、どの地域の顧客にどの商品を届けるべきかを考え、実際に顧客へ届ける洋服を選定しています。

こうしたアパレル市場でのアルゴリズムの利用シーンが登場していることから、ソーシャルで流行っている洋服の中でも、どのような洋服が現在の生産ラインと物流コストを考慮した上で最適なものであるかまでを判定する仕組みを構築できるでしょう。

単にソーシャルの情報を基に、インフルエンサーから人気の出ているスタイルをアルゴリズムで解析し、生産、低価格で販売までを提供するだけでなく、オペレーションコストの最適化までをもアルゴリズム解析に組み込んだ上で、収益の最大化を常に目指す、新たなアパレル生産体制AIプチプラの構築を目指しているのがChoosyであると考えられます。

大きなコストをかけて多数の実店舗を展開するH&MやZARAは、自社商品の売上データなどを参考に商品開発を行う仕組みを敷いています。Choosyのように、こうした店舗頼りのデータ獲得の手法を、AIの活用によってディスラプトする企業が台頭してくるのは時間の問題でしょう。いずれにせよ、アパレル市場の勢力図は2〜3年以内に大きく変わるはずです。

via Yahoo! Finance

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