駐車場シェアのakippaが事業大手7社から8.1億円調達、70万人利用の「akippa ID」を活用したモビリティプラットフォーム構築へ

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akippa代表取締役の金谷元気氏

駐車場のシェアリングと予約サービスを提供するakippaは5月22日、第三者割当増資および業務連携の実施を公表した。増資の引受先となったのは既存株主の住友商事のほか、日本郵政キャピタル、JR東日本スタートアップ、ニッポンレンタカーサービス、FFGベンチャービジネスパートナーズ、中部日本放送、千島土地らが加わった合計7社。調達した資金は総額で8億1000万円で、同社の累計調達額は24億円となった。

akippaは調達した資金でサービス向上を目指すほか、新たにモビリティプラットフォームの構築を目指すとしている。

また同社はこのリリースに先立って電子錠を開発・販売するアートと共同でIoTを活用したゲート式駐車場のコントロールシステム「シェアゲート」の発表も実施している。

シェアゲートはゲート式駐車場の出入り口に設置される機器に後付けできる端末。従来、akippaで利用する駐車場は入退場の関係でこういったゲートのない平置きタイプのものに限られていた。シェアゲートを使うことで、akippaのユーザーは駐車場を予約後にBluetoothでシェアゲートに接続するか、アプリから発行される暗証番号を入力することでゲートを開閉することができる。これにより、無人の駐車場でも事前予約およびスマホ決済が可能になった。

シェアゲートの開発により、駐車場事業者はakippaを使って稼働率の低い時間帯の駐車場貸し出しも可能になる。端末の導入費用は20万円でこれに設置費用5万円がかかる。月額保守費用は無料で契約機関は2年。ただし2018年内にakippaと契約した場合はこれらの費用は全額同社が負担し、実質無料となる。端末の保守についてはアートが提供する。リリース時点で大和ハウスパーキングや大和リース、いずみパーキングの3社が導入している。

akippaが狙うMaaSーーakippa IDによるプラットフォームの未来

akippaが大型調達を発表した。2016年12月のトヨタとの提携以来、約1年半年ぶりのニュースだ。現在のakippaは会員数70万人、利用できる駐車場の数は2万拠点に拡大している。一方で駐車場シェアについては既存の事業者や新興のプレーヤー含め、競争が激しくなってきている。今年4月のソフトバンク参入はそれを象徴する話題だろう。

会員数で先行するakippaはどのようにこれら大資本の追随をかわすのか。同社代表取締役、金谷元気氏に聞くとその答えは「akippa ID」の利用拡大にあるという。

「事業計画的に(成長曲線は)見えてきました。ざっくりとコインパーキング市場の5分の1というのが売上の予測です」(金谷氏)。

金谷氏の説明では、現在提供しているakippaの通常サービスはこのまま計画通り伸ばしつつ、獲得したユーザーIDに対して別のサービス、例えばC2Cカーシェアリングなど「移動」に関する体験を提供しようという話だった。まだ構想段階としつつ、モビリティプラットフォームを構築して多くの外部企業を巻き込んでいくという戦略なのだそうだ。

例えば今回提携に入っているニッポンレンタカーサービスなどとは、現状でレンタカー店舗の空き駐車場を共有するような足元での業務連携を進めつつ、両者のIDを共通化することで、現在利用しているユーザーの相互利用促進などを推進させる、といった具合だ。

同社は今後、2020年までに駐車用の箇所を10万件に拡大させ、構想しているモビリティプラットフォームの構築を進める。

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