欧州のライドシェアリングサービス大手BlaBlaCar、パリの都市型カープーリングスタートアップLessを買収

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パリの BlaBlaCar 本社
Image Credit: Chris O’Brien

フランスのライドシェアリングサービス大手の BlaBlaCar はこの度、パリに本社を置く Less を買収した。Less はカープーリングアプリのベータ版を4ヶ月前にローンチしたばかりである。買収の詳細な条件は明らかにされていない。

BlaBlaCar は2006年の設立以来、Accel や Index Ventures といった著名な投資家から3億3,000万米ドル以上の資金を調達しており、フランスで最も潤沢な資金を持つスタートアップの1つとなっている。同社が2015年にシリーズ D ラウンドで調達した2億米ドルは、フランスのスタートアップが1回の資金調達ラウンドで調達した金額としては現在でも歴代最高額である。このラウンドにより、BlaBlaCar の評価額は16億米ドルまで上昇した。同社は現在では22ヶ国に6,000万人の会員を抱えているという。

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短距離の移動を主軸にした Uber とは異なり、BlaBlaCar は長距離移動用のカープーリングアプリとして有名だ。しかしながら、同社は昨年5月にフランスでローンチした BlaBlaLines というアプリを通して、短距離移動サービスも提供している。

Less は2016年に、Criteo(2013年にナスダックに上場した、フランスのアドテック企業)の共同設立者である Jean-Baptiste Rudelle 氏によって設立された。都市型カープーリングアプリを主体とする Less は、BlaBlaLines のコア事業との親和性が高かったということだ。

Less は12月のローンチまでに1,900万米ドルという多額の資金を調達したが、投資家には BlaBlaCar へ出資している Index Ventures が含まれていた。この生まれたてのスタートアップは、ローンチからわずか数ヶ月で売却という選択をしたことになる。この事実から、ライドシェアリング、カープーリング、そして広域配車アプリ業界の競争がますます熾烈になりつつあることが読み取れる。業界内で既に地位を確立した企業と協力できるのであれば、あえて独力で事業を進める理由はないだろう。

Less は、モビリティ分野においてスケーラブルな市場を築くことに強い関心を持っています。また、合併した暁には、業界内で地位を確立した企業にチームの力を惜しみなく提供したいと考えています。

Rudelle 氏は声明でこのように述べた。

この「合併」は、eタクシー業界では頻繁に行われている。例えば、Uber と中国の Didi Chuxing(滴滴出行)との間で多くの取引が合意に至った件は記憶に新しい。

Less のオフィスは速やかに BlaBlaCar のオフィスに統合され、Lessブ ランドは廃止される予定である。結局のところ、市場に4ヶ月しか存在しなかった Less ブランドを推し進める意味はあまりないということだろう。今回の取引は、アキュハイヤー(人材獲得を目的とした買収)という側面が強いように思われる。

我々と同様にカープーリングに対して熱い情熱を持った、革新的で能力の高いチームを迎え入れることができて嬉しく思っています。フランスでの BlaBlaLines の展開に続いて、目下 BlaBlaCar の革新を行っている中で実施された本日(4月27日)の買収は、非常に有意義なものになるでしょう。

BlaBlaCar の CEO 兼共同設立者である Nicolas Brusson 氏はこのように述べた。

公表されている限りでは、Less は BlaBlaCar が買収した8社目の企業である。ただし、ここ数年の間に買収したのは Less のみだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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