“競合に真似されたらどうするの?”を解決するStrong.codesーーSnapchatとInstagramの模倣競争で注目されるコピーキャット市場

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.5.22

-Image by Anthony Quintano

<ピックアップ : Snap Hires Swiss Team Behind Software Protection Startup>

GoogleかFacebookが真似したらどうするの?ーー起業家がピッチをした際に、しばしば投資家から聞かれる質問の1つがこれでしょう。

最近では、北米スタートアップが、中国企業にコンセプトから製品デザインまで丸パクリされてしまう事例が多発しています。サンフランシスコ発の音楽アプリMusical.lyの中国版TikTokのように、製品や機能をそのままコピーする企業をコピーキャットと呼びます。

まさにコピーキャットによって、大量のユーザー離脱を発生させてしまっているのがSNSアプリSnapchatです(運営会社名はSnap)。競合アプリInstagramに10秒で画像・動画を共有出来る主力機能ストーリーズを真似されてしまいました。

2018年5月に米有力テックメディアの「Recode」により発表された最新データによると、2017年6月末の時点でInstagramのストーリーズ利用者数は2.5億人でSnapchatは1.66億人です。2017年1月〜2月の時点で利用者数を越されてしまったSnapchatは、成長が鈍化してしまっていることが記事内のグラフデータからわかります。

二の足は踏まない。Snapが取り組んだコピーキャット対応策

-Image by Maurizio Pesce

Instagramがストーリーズ機能を実装したのが2016年8月。半年ほどの歳月であっという間にユーザー数を抜かれてしまったSnapchatですが、二度と同じ失敗を犯すまいと、ある少数スタートアップを2017年7月に買収しました。それがスイスに拠点を置くStrong.codesです(買収後にはサービス閉鎖)。

Strong.codesは実装コードの解読を困難にさせる技術を持っています。業界に蔓延する機能模倣リバースエンジニアリングに対抗するためのサービスとして登場しました。他社がコピーしたいと思った機能のコーディング部分を参照しても、構造を理解することが難しく、機能コピーの障壁が上がる対リバース・エンジニアリングの体制を構築したのです。

一方、Strong.codesの買収を発表する約1カ月前に発表された「Bloomberg」の記事で、SnapのCEOを務めるEvan Spiegel氏は次のように語っています。

「もし創造的な会社を創業したいなら、競合他社があなたの製品をコピーしようとする事実に対して心地よさや、楽しみを感じる余裕が欲しいね」。

発言と行動に乖離がありますが、上場企業の社長ともなれば大舞台では見栄を張りつつ、裏では戦略的思考のもと、しっかりとリバースエンジニアリングに対しての予防線を張っていた証左ともいえるでしょう。やはりどんな規模の企業でもコピーキャットの出現はやっかいなものです。

コピーが横行、骨肉の争いが続くSNSアプリ市場

-Image by JD Lasica

筆者は、昨今のInstagramの機能拡張のやり方は非常に強引で、創造性の欠片もないと感じています。

つい先日発表されたグループ電話機能は、10〜20代を中心に人気を博しているアプリHousepartyの機能をそのまま導入した形です。他社スタートアップの成長をじっと待ちつつ、市場で大きく認知されたタイミングで機能を盗むやり方と言わざるをえ得ません。

非常に面白い点は、コピーキャット対策を行っているSnapchatもInstagramとほぼ同時期にグループ電話機能を実装している点です。Instagramに自社のストーリーズ機能をコピーされた経験がありながら、同じ戦術を採用している点は冷酷な手口といえるでしょう。

Housepartyは累計7,000万ドル以上の潤沢な資金調達を行っていますが、Snapchat同様にユーザーの大きな離脱が予想されます。企業価値も跳ね上がっているため、大手IT企業による買収も難しいかもしれません。

このように、SNSアプリ市場では先行した大規模プレイヤー同士、もしくは大手アプリが新参入してきたアプリの機能をコピーする行為が普遍化してしまいました。もはやどのような機能を市場が求めているのかを自社チームで考え抜けない、一種の思考停止に陥っているようにすら感じられます。

いかに小さなチーム規模であっても、一度人気に火がつけば急成長するSNSアプリ市場では、創業当初からリバースエンジニアリングから身を守ることも考えておく必要がありそうです。自社テクノロジーを守りつつ、トレンド機能をいかに早く実装するかがこれからの生き残り戦略となるでしょう。

また、リバースエンジニアリング対策のサービスを提供するスタートアップの登場が待望されている現実があるため、今後コピーキャット対策市場は大きく注目されることが予想されます。

via Bloomberg

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