Alipay(支付宝)、中国・鄭州で顔認証決済をサポートする「未来薬店」を開設

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Image credit: Alipay(支付宝)

Alipay(支付宝)は河南省鄭州にある地元の張機薬局で、初の Future Pharmacy(未来薬店)をローンチした。

Future Pharmacy では、顔認証を使った決済ができる。利用者はデバイスで自分の顔を認証させるだけでよく、登録してある Alipay の電話番号を入力すれば決済サービスが起動する仕組みだ。

身分証明書を忘れた時にも、患者は顔認証決済を使って処方薬を受け取れる。Alipay のクレジット関連会社である Sesame Credit(芝麻信用)により、薬局内で預託金不要の健康管理機器がレンタルできるようになる予定。Future Pharmacy では、Alipay がサポートし国が運営している医療保険金の支払いも可能である。

医療分野は、野心あふれる巨人企業でひしめいている。BAT(Baidu=百度、Alibaba=阿里巴巴、Tencent=騰訊)がすでに進出し、それぞれの会社にしかないリソースや第三者企業との積極的な協業で力を蓄えている。

今月(5月)には、中国政府が WeChat(微信)をベースとするデジタル健康カードの導入を発表した。Tencent は19日、GE および北京病院とともに Nuclear Magnetic Resonance Imaging AI(核磁気共鳴画像 AI)という医療アライアンスを立ち上げた。現地メディアによると同社は2017年9月までに30を超える医療機関や保健関係の企業に投資し、200億人民元(約3,400億円)を投じたという。

Alibaba はすでに自社の医療関連企業である AliHealth(阿里健康)を設立している。eコマース経験と強力な決済ソリューションを活用することで、Alibaba は健康分野への前向きな消費を促すエコシステムを構築しているところだ。24日までの5日間の取引で、香港に上場されている AliHealth の株価は55.18%値上がりした。

BAT の動向やヘルスケアの現状が意味しているのは、イノベーションに関して言えばまだ長い道のりがあるということだ。現在、主要な動きはエコシステム構築、協業、データ、インフラ確立に集中している。これは、来るべき大きな競争に向けた周到な準備だといえるかもしれないが、医薬品や医療機器のセクターで中国系テック企業が主導する革新的な動きはほとんどみられない。

BAT はポートフォリオを多様化し成功を収める機会を高めようと新興もしくは現地の企業に投資したいところだが、中国の現実的な状況がそれを常に支えてくれるとは限らない。絶対的に有利なリソースの一部を政府が統制しているため、民間企業に残された空間には限りがあるほか、政府に対する協力がこの上なく重要な要素となっている。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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