アートの所有を民主化したい——ブロックチェーンを使った芸術作品の取引プラットフォームを開発するMasterworks

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Photo by Igor Miske on Unsplash

今週になって、アートの世界はテクノロジーを活用し、コマースの新しい形を探し始めたようだ。ブロックチェーンや仮想通貨といったテクノロジーを使って、富裕層のような層の人々以外にとっても身近なものにしようとしている。

この日も例外ではなかった。

連続起業家のスコット・リン氏が共同創業したMasterworksは、重要なアート作品のためのブロックチェーンベースの株取引プラットフォームを開発している。現在38歳のリン氏は、19歳のときに現代アートの収集を始めた。そのコレクションの価値は1億ドルを超えており、このベンチャーは重要なアート作品へのアクセスを民主化する方法になると考えている。

いったい、どういった種類のアート作品の話なのだろうか?

彼の所有する作品は、MoMA、ナショナルギャラリー、王立芸術院といった場所で展示されてきたもので、モネやピカソ、ウォーホルといった芸術家の作品だ。

CEOでもあるリン氏はいう。

「高校生のときに初めてのインターネット企業をつくりました。ファインアートには常に関心がありました。最初の会社が成功したあと、ピカソなどの芸術家による絵画を買い始めました。あるとき、ピカソの陶芸作品の最大規模のコレクションの一つを所有していました(今ならしないことです!)。初めて買った重要な絵画は、マルク・シャガールの『ポン=ヌフ』です。サザビーズの前シーズンで売りに出されていたものです」

では、Masterworksは何をするのだろうか?

このプラットフォームでは、一株20ドルで重要な芸術作品に誰でも投資することができます。作品には、2017年11月に181万5000ドルで購入されたアンディ・ウォーホルの『単色のマリリン(1 Colored Marilyn )(反転シリーズ)』、2018年6月に630万ドルほどで購入されたモネの『Coup de Vent』(1881)などが含まれる。この絵の現在の価値は850万ドル近いという。

Masterworkの計画は、投資に値するような芸術作品を引き続き購入すること、投資に対してリターンが得られるチャンスを個人に与えることだ。

「投資家がリターンを得る方法は二つあります」とリン氏はいう。

「まず、承認された取引プラットフォーム上で他の投資家に株を売ること。もう一つは、収集家が他の投資家から絵画を購入するためにオファーを出したときに、売るべきかどうかを投票するというものです」

特筆すべきは、Masterworksは証券取引等監視委員会(SEC)とも協業し、承認された個人投資家も売り出し時に参加できるようにしようとしている点だ。

では、ブロックチェーンがどのような形でMasterworksのビジョン実現に貢献できるのだろうか?

「ブロックチェーンを使えば、投資家に流動性を与えるためにそれぞれの絵画のトークンを取引して、 多数の取引を承認することができます」

今後は?

リン氏はいう。

「最初の売り出しはアンディー・ウォーホールの『1 Colored Marilyn (Reversal Series)』で、まもなくSECの承認が降りる予定です。これが実現すれば、ブロックチェーンとアート業界にとっては重要な一歩となるでしょう。絵画がトークンになって、個人投資家に販売できるようになるのは初となります。これが叶えば、その後は迅速により多くの絵画を投資家に売り出せるようになるはずです」

(本記事は抄訳になります。)

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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