生産品のオーナーになれる「OWNERS」リニューアル、生産者への愛を語るプラットフォームに

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2018.7.30

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生産品のオーナーになって購入予約ができる「OWNERS」を運営するukkaは7月30日、同サービスのリニューアルを伝えている。OWNERSは農業、水産、加工品を対象とした生産品を事前注文することで、生産中に作り手とコミュニケーションしながら収穫、購入の時期を待つことができるマーケットプレース。

ukka代表取締役の谷川佳氏と小林俊仁氏に話を聞いたところ、平均的な購入価格は1万円前後で高額なものであればマグロ1匹のオーナー募集のような案件もあるそう。購入が成立した際の手数料モデルで、現在掲載されているプラン数は100件ほどということだった。

生産者は購入者に対して直接販売ができることから価格決定を自由にできるほか、収穫よりも早い段階で入金されるためキャッシュフローが安定し、ユーザーと向き合った計画的な生産ができるメリットがある。

満たすのは食欲よりも生産品への愛着

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OWNERSはしばしば耳にする産直系のマーケットプレースだ。メルカリが支援するポケットマルシェやエンジェルたちが支援する食べチョク(ビビッドガーデン運営)など、スマホやC2C文脈で生産者のサプライチェーン課題を解決しようという流れのひとつと見ていいだろう。

ただ、前者と異なりOWNERSは予約販売というモデルを採用している。なので体験的にはクラウドファンディングに近く、届くまでに少し時間がかかってしまう。逆に言えば、収穫までの期間は「オーナー」として生産者とコミュニケーションを楽しんだり、その生産品自体の知識を増やすなどの楽しみも持てる。食欲を満たすというよりはもっと幅広い体験を提供しようとしている意図を感じる。

コンテンツの作り方にもそれは表れていて、例えばOWNERSには綺麗な写真や読んでいて楽しい文章が並ぶ。これは全て自社の編集部で制作しているのだそうだ。また今回のリニューアルで、消費者が食べた後に追加する「ごちそうさまコメント」などのコミュニケーション機能が追加されている。

こういった体験を素人同然の生産者に任せずに作り込んでいるのはコンセプトにあった考え方である一方、数はそこまで一気に増やすことはできないのが悩ましいところだ。

オンラインゲームから農業への転身

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OWNERSが特徴的なもう一つの点、それが創業者である小林氏の存在だ。

彼は京都大学在学中からオンラインゲームの開発に携わり、2015年4月に東証マザーズに上場した際のAimingで最高技術責任者を務めていた人物。彼の実家は三重県のコメ農家だそうで、Aimingを離れた後、2017年9月に運営するukkaを創業している。

小林氏の説明を聞くに、やはり零細の農家は厳しい現実に直面することが多いそうだ。彼の実家は結局ビジネスとして成立しないがために土地貸しに転向して農業はやめてしまったという。また、混ぜ物をして売られている農作物のいびつな姿を見るにつけ、何かしなければという意識があった。

Aimingが上場し、個人投資活動をしていた小林氏がOWNERSを立ち上げた谷川氏と出会ったのもそういうタイミングだったのだそうだ。

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ビジネス的にも面白い仕掛けを考えている。彼らはサイトで個人のオーナーを集める一方、大口となる企業や自治体などとの連携も進めている。例えば三菱地所系列の企業とはマンション単位で生産品のオーナーになってくれる消費者マーケティングを仕掛けている。岩手県一関市とは地域食材の販路開拓などで手を取り合う。

飽食の時代と言われて久しいが、テクノロジーによって食の文化や体験が変わり、また大量生産、大量廃棄のような無駄が少しでもなくなる世の中になって欲しいし、こういったプラットフォームがどのように寄与するのか、興味深く注視したい。

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