未来のAIは女性かもしれないが、フェミニストではない

by VentureBeat ゲストライター VentureBeat ゲストライター on 2018.7.2

Photo by Andres Urena on Unsplash

著者のKatrin Zimmerman氏は、コンサルティングファーム・デジタルエージェンシーのTLGGのマネジングディレクターである。

筒状のプラスチックに入れられているAmazonのAlexaは、見た目はまったく女性に似ていない。だが、ジェンダーを尋ねられれば、そのシステムは興味深いことに「女性のキャラクター」であると返答する。

人工知能の最近の開発をよく見ると、Alexaは例外ではなく一般的であることがわかる。AppleのSiriからHanson RoboticsのヒューマノイドロボットSophiaにいたるまで、未来は女性であるかのようだ。私たちが意図している形ではなく。

人工知能とロボティクスは、人間の限界から私たちを解放するつもりかもしれない。だが、ジェンダーのステレオタイプにおいては、その対象ではないようだ。これらの領域における最近の業績を見ると、私たちは未来というよりもむしろ1950年代に巻き戻されている感覚を得ることもある。

スポーツや兵器開発の業界においては、デバイスの名称や見た目は通常男性的なものか技術的なものだ。好例は、今年の冬のオリンピックのロボットスキー大会で優勝したTaekwonVだろう。この名称は人気漫画の少年からつけられている。だが、サービスや介護業界においては、デバイスの名称や見た目はほぼ例外なく女性的なものだ。

もちろん、ほとんどが白人のこうした「女性」はどれも魅力的だ。Sophiaは、明らかに女優のオードリー・ヘップバーンをモデルにして作られている。彼女は、映画『エクス・マキナ』のヒューマノイドロボットAvaとも非常に似ている。驚きではないかもしれないが、多くのニュースメディアが彼女を「ホットなロボット」と呼んだ。ここでも女性の美しさが強調されている。

こうした開発の影響を理解するのに、ジェンダー学の学位は必要ないだろう。ジェンダーとアイデンティティに関する現在の議論では、人工知能とロボティクスの発展は新たな複雑さを生んでいる。

明らかなのは、Sophiaも開発元の企業も本当の女性ではないということだ。だが、医者や政治家、宇宙飛行士になりたいと頑張る少女たちを、女性のような見た目のサービスロボットが常に周囲にあって、『ステップフォードの妻たち』を進歩的だと思わせるような女性性の考え方に常に晒されている環境で、どうやって励ますことができるだろうか?

女性のバーチャルアシスタントをいつもこき使うような環境で、どうやって少年たちに敬意と尊厳をもって女性を扱うように教えることができるのだろうか。AmazonのAlexaは、あまりに多くの口頭のハラスメントを受けたため、開発者は彼女に特別な「離脱モード」を与えなくてはならなかった。

こうした考えを遠い未来に関する思索だと、放置するのは簡単だ。だが、日本はすでに2015年に受付がロボットのホテルをオープンしている。言わずもがな、そのほとんどが女性だ。日本はさらに高齢者向けの5000以上の施設で介護ロボットを導入しようと実験している。

日本だけではない。フランス、ベルギー、オランダでも6000名以上の高齢者が現在ヒューマノイドロボットと接触している。ロボット教師を実験している国もいくつかある。サービスロボット市場の収益は2015年の37億ドルから2020年には150億ドルまで成長する予定だ。当然、サービス産業における開発の影響は巨大だ。

「Time’s Up」「#MeToo」といった動きは、職場における不平等や不公平に挑むものだ。だが、公平を求めるこの確固たる戦いにおいて欠落しているのは、多くの職業において、女性のための時間が実質もうないということだ。

人工知能とロボティクスの到来によって、仕事が失われることについて書いた人は多い。だが、その仕事の多くが、サービス産業で従来仕事をすることの多いマイノリティの女性など、弱い立場のグループのものであることを指摘した人は多くない。米国だけでも、秘書や総務アシスタントとして雇われている16万4000の女性が今後数年で仕事を失うと言われており、一方で工場の組み立てラインの男性は90000名だ。

これは氷山の一角にすぎない。世界経済フォーラムの最近の研究によると、テクノロジーによって置き換えられる仕事の57パーセントが女性の仕事であるという。

職場におけるハラスメントや不平等に対して声をあげようと、ようやく女性たちの背中を押している今、人工知能によって彼女たちの仕事を奪おうとしているのだ。常にかわいく、笑っていて、悪い言葉を使わず、髪を整えているものと。

人工知能とロボティクスは、経済と倫理に対して多くの疑問を投げかける。一つ確かなことは、これらの業界における女性の数が少ない限り、問題は解決しないということだ。

一般的なテック領域の中でもこれらの業界は、ジェンダーの多様性がさらに低い。私たちは、AIの研究と開発の両方に関わるように女性を励ます必要があるだけでなく、社会への影響についても議論する必要がある。さもなければ、閉じられた部屋の一部の男性によって、未来が再び作られてしまうだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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