シンガポール政府、「ドローン・エステート」の上空を商用・公用ドローンに開放——サービス各社の飛行実験が加速へ

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Image credit: Pixabay

スタートアップ Garuda Robotics が率いるコンソーシアムは、シンガポール上空が無人飛行機(UAV)で騒がしくなりつつある昨今、ドローン用の航空管制システムを開発する組織に選ばれた。

シンガポール民間航空庁(CAA)と運輸省が昨年11月、無人航空機管制マネジメント(UTM)の枠組みを募集したのを受けて、Garuda が率いる Future Flight Consortium は提案を申請していた。

運輸省と CAA は UTM の必要性を認識していた。既存の枠組みでは、小荷物配送、ビル検査、防犯監視などにドローンの活用を実践していくのは不十分と考えたためだ。

Future Flight Consortium が提案するシステムにより、シンガポールの都市環境で目視外(BVLOS)での飛行が可能になるという。別の言葉で言えば、パイロットは中央統制センターにいて、飛ばしているドローンが見えない状態で遠隔で操縦できるようになるのだ。

当面の間、こうしたドローンが飛行できるのは、One North という同国のビジネス街にある「ドローン・エステート」に限られる

今後2年をかけて、Future Flight Consortium のメンバー企業は技術の実験をする目的で協業し、「システムの信頼性と安全性を確かめる」ために中央にあるドローンオペレーションセンターから実験を行う。

Garuda の CTO で Future Flight Consortium のプロジェクトディレクターである Ong Jiin Joo 氏は、次のように語った。

シンガポールでドローンを BVLOS により飛行させる必要のあるすべての企業が、安全かつ効率的な方法で実行できるようにするのが目標です。

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提案されたシステムにおいて、パイロットはドローンを目視せずに遠隔操作で飛行させることが可能だ.
Photo credit: Garuda Robotics

別のコンソーシアムメンバーである Skyfront とシンガポール民間防衛庁は現在、「緊急対応」を要する状況で医薬品を届けるのに BVLOS でドローンを飛ばす方法について検討している。

シンガポールで4つの病院を運営している Parkway Pantai も、メンバーの一員である。血液や検体を運ぶために、ドローンを使って病院と中央試験場の間を飛行する実験をしたいと考えている。

Future Flight Consortium に属する他のメンバー企業には Singtel、Arete-M、AirMap、Gemalto、Flare Dynamics、Volans-i、グラスゴー大学、Acorn International Network、Security Industry Institute などがある。

テイクオフの準備

アジア太平洋の人々は、日常生活で UAV を受け入れる準備ができていることを示唆した調査結果がある。アメリカの決済会社 Worldpay は最近、アジア太平洋地域の顧客に対し、商品配達などがドローンで提供されることについて、どの程度受け入れられるかを尋ねた。

シンガポールでは、回答者の52%がオンラインで購入したものをドローンが落下させて届けることに、好意的な反応を示した。これは、同回答を示したオーストラリア、ヨーロッパ、北米の消費者より高い比率だ。中国では、この数字が70%に達し、回答者の66%が欲しくない商品を回収してほしいとも答えた。欲しくない商品の回収を希望する率は、アメリカでは45%、ドイツやイギリスでは41%だった。

Worldpay の Global Enterprise Ecommerce 部門のアジア太平洋地域担当ジェネラルマネージャー Phil Pomford 氏は、次のように語っている。

オンライン販売事業者は、すでに素早くパッケージを届けられるドローンを試している。購入者が自動運転技術に対して受け入れるようになれば、消費者がより毎日を過ごしやすくするために、コネクティドデバイス向けに多くの機会を見出すことができるだろう。

オンラインショッピングがアジア太平洋地域の消費者に選択の幅を広ければ、輸送されるパッケージの大きさは大きいものになるだけだ。したがって、販売事業者はその需要に応えるべく、自らのサプライチェーン能力を革新できるよう、新しい方法を模索するべきだろう。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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