バイクシェアリング戦争(前編):中国の小都市で、Hellobike(哈羅単車)はこうしてMobike(摩拜単車)とOfo(小黄車)を打ち負かしている

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Hellobike(哈羅単車)は湖北省の地方政府と手を組み、二酸化炭素を排出しない通勤を振興。
Image credit: Hellobike(哈羅単車)

中国におけるバイクシェアリング戦争はまだまだ終わらない。市場は2017年から2019年の間に新たに1億6,700万人の新たなユーザを加え、顧客数は3億7,600万人に上ると予測されており、その成長は北京や上海、広州、深圳といった1級都市以外の場所で起こるとされている。

業界大手の Mobike(摩拜単車)と Ofo(小黄車)は小規模都市へと積極的に進出しているが、業界3位の Hellobike(哈羅単車)は既に有利なスタートを切っている。

初めは小さいことから

Mobike と Ofo は人口が多い中心部を抑えているおかげで、5月時点ではまだ Hellobike を大きく上回っている。だが、人口が少なく混雑していない地域ではそうでもない。データモニタリング企業 Trustdata によると、2級都市や3級都市では Hellobike がユーザの約半分を獲得しているという。

中国の主要バイクシェアリング企業シェアを月間アクティブユーザ数で見る
中国のバイクシェアリング企業シェアを都市分布で見る

2級都市では中国のバイクシェアリング人口の72%を占め、1級都市では28%となっていると Trustdata は示している。そして、大都市に比べて新しいものを受け入れる速度が遅い小規模の都市では、(乗り捨て可能な)ドックレス自転車はこれから増えることになるという。中国情報通信研究院の報告によると、大都市市場が飽和点に達したため、2017年には多くのバイクシェアリング企業が小規模都市に力を入れ始めた

その結果、小規模都市においてバイクシェアリングアプリの普及率も大きく上昇した。データプロバイダー Jiguang(極光)によると、2級都市と3級都市では2%未満だったものが、2017年を通して2級都市では10%、3級都市では6%へと上がった。

Mobike と Ofoに約2年遅れて2016年後半にローンチした Hellobike は、小規模都市に照準を合わせた最初のバイクシェアリング企業だった。同社は大都市にもサービスを展開してきたが、その優先順位は高くない。

GGV Capital(紀源資本)のパートナー Jixun Foo(符績勳)氏は声明で、Hellobike のライバルは「先行者利益を持っているが、中国は巨大な国」だと述べている。GGV Capital は Hellobike のアーリーインベスターだ。

Hellobike のチーフオペレーティングオフィサー(COO)Han Mei(韓美)氏は先頃の TechCrunch 杭州で Tech in Asia に次のように語っている。

ライバル企業は確かに2級都市にも向かいましたが、カバーしきれない都市も多くありました。

少なくとも100の小都市にはまだドックレスの自転車は参入していません。弊社が次に手にしたいのはこれらの市場です。

Hellobike(哈羅単車)の COO Han Mei(韓美)氏
Photo image: TechCrunch China

同社は現在中国220都市で運営している。比較すると Mobike は176の都市、そのうち11は海外で、Ofo は世界中の250の都市でサービス展開している。

Hellobike はこの2年間、あまり発達していない田舎の地域に特化することで今後に向けて準備してきたと Han 氏は考えている。

そういう場所の交通機関の状況は大都市とは大きく違います。

たとえば、人口密度が低い場所では自転車サービス範囲が散らばってしまう傾向にあるため、台数のバランスを取り直しメンテナンスを行うためにより大きな労力が必要とされる。大都市では、自転車は乗り換えの駅と目的地の間のラストマイルソリューションとなることが多い。しかし小規模都市では、道のりすべてを自転車でカバーすることもある。

Hellobike はまた、地方当局と緊密な関係を築いてきた。中国においてバイクシェアリングは厳格な規制と監視の下にあるためである。これは同社の2番目に大きな株主 Youon(永安)が政府に自転車を販売する役にも立っている。別の方向から見れば、地方行政は二酸化炭素排出量の少ない交通のために民間の自転車業者を求めている。東営、鎮江、浜州といった500万人に満たないレベルの都市(北京は2,000万人以上)では、地方の監督機関が Hellobike のローンチを誘致してきた。

とは言っても、Mobike と Ofo は3級都市や4級都市で拡大しており、まだ Hellobike を逆転する「チャンスはある」と IDC China のリサーチマネージャー Yu Xue(薛宇)氏は Tech in Asia に語る。業界を先導するこの2社は自身の膨大なユーザベースに向けて、アプリを通じて、そして自転車のフレーム上で広告キャンペーンを始めている。この努力は Hellobike の存在感を抑え込み、より多くの収益を生むことになるかもしれないと Yu 氏は付け加えた。

後編に続く)

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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