家版の”Tesla”「HOMMA ONE」試作公表ーー本間氏が手がける「成長する家」、米国市場で100戸の展開目指す

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スマートな建売住宅の設計・建設から販売を手がける「HOMMA(米国本社)」は7月31日、都内でメディア向けの発表会を開催し、現在開発中の住宅プロジェクト「HOMMA ONE」を公開した。

2019年3月に完成予定のHOMMA ONEは「HOMMAプロジェクト」全体のプロトタイプ住宅の位置付けで、従来からあるスマートホームの技術をビルトイン形式で提供し、既製品を含むスマートデバイスにより音響や照明、空調、セキュリティなどの生活サービスを一元管理する。

これに合わせ、同社はサンワカンパニー、積水ハウス、パナソニック・エコソリューションズ、米国ヤマハ、LIXILなどの国内住宅関連企業とパートナーシップを結ぶことも公表している。

プロジェクト全体としてはコミュニティ単位での開発、販売を志向しており、1戸ずつの注文住宅ではなく、3〜10戸(HOMMA ONE)、10〜20戸(HOMMA X/テン)といったまとまった戸数の宅地開発を進めるほか、そこで利用されるセキュリティやシェアリングなどのサブスクリプションサービスの開発も検討している。

またHOMMAは、2016年10月に公表している初回ファイナンスに続き、2017年10月にセカンドとなるファイナンスを実施したことも明らかにした。既存投資家に加えてMUFG、三井住友海上キャピタルなどが増資引受先となり、調達額は約700万ドル。合計の調達額は1160万ドルとなった。

車の「Tesla」、家の「HOMMA」というポジション

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本間毅氏にプロジェクトについて聞いたのが約2年前。車にTeslaがあるように、家にはHOMMAがある。そのポジションを取るのが当面のゴールになるのだろう。

情報化で大きく変わったものはごまんとある。例えばメディアは誰でも気軽に発信できるようになり、個人がインフルエンサーとなる時代がやってきた。車もそうだ。前述のTeslaはもちろん、Uberは「車」という所有物を「移動」というサービスに変化させた。AWSやAirbnb、wework、挙げればキリがない。

では家はどうか。シェアの考え方で新居住宅の頭金を貸してくれる「Loftium」のようなモデルはあるものの、家自体をアップルやテスラのような垂直統合のモデルで再定義しよう、というチャレンジはあまりみかけない。(SFに出てきそうな3Dプリンタのお家はあるけど)

何が変わるのか、変わって欲しいのか、変わらなければならないのか。

相変わらずステルス状態は続いているが、以前の取材に比べれば大分理解できるレベルになっていたので、本間氏に直接聞いた話と合わせてその考え方を紐解いてみたい。

成長する家「HOMMA」を想像する

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公開されているコンセプトムービーでは各所にコントローラー系のデバイスが出てくる。本間氏の話では、これらは独自に作るというよりは、既製品をうまく取り込めるインフラとなる、という話だった。過度なインテグレーションは全体の体験を作りやすいが、逆に言えば「押しつけ」になる可能性もある。

そういう意味でサードパーティーを取り込めるIoTプラットフォームが家に組み込まれている、という姿は理解しやすい。なお、発表会では家を操作できるスマホアプリのインターフェースが披露されていた。

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もうひとつ、コンセプトで気になったのがこのワードだ。まあ当たり前の注文住宅のオーダーに合わせる、という話に聞こえるのだが、実はもうちょっと深い。

本間氏は会話の中でとある古い住宅のエピソードを共有してくれた。その家は大きく、中央にリビングのようなスペースがあるのに使われていない。要は家族構成が変わったのに家の方が最適化できず、使わないスペースがぽっかりと空いている、というのだ。

これはよくある話ではなかろうか。人は時間が経てば成長するしライフスタイルも変化する。けど家はそう簡単に変えることができない。もし、この課題が柔軟なアイデアで解決されるのであれば、苦痛から解放される家族は多いだろう。

時代はまさにシェアという新しい価値を得ている。HOMMAがこの共有経済をどのように家に組み込んでくるのか、事業モデル的にも興味が湧く。

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HOMMAのプロジェクトがさらに興味深いのは戸建ではなく、「コミュニティ」に注目している点だ。インターネット的な視点から言えば、ある程度のボリュームがなければ情報化は成立しない。

前述のシェアの考え方でも、戸建に住む人が何かをシェアしようとするより、ある一定のコミュニティ単位でやりとりした方がビジネス的にもメリットが出る。もちろん、建売住宅の販売ビジネスとしてもまとまった数があった方がいいのは当然の話だ。

2019年3月を目標にまずはプロトタイプの小規模コミュニティ「HOMMA ONE」が立ち上がり、その次のX(テン)、100では2022年までに100戸の住宅を集めたコミュニティ設置を目指す。

家を作るのは物理的に時間がかかるが、こういう骨太のチャレンジこそ本間氏のような大人でなければ手が出ないだろう。続報を待ちたい。

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