中国の医療機器・サービスユニコーンRemote Horizon(遠程視界)が危機的状況、経営陣は逃亡?——協力した病院数百施設が債務不履行の犠牲に

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北京市内にある Remote Horizon(遠程視界)本社の入るビル
Image credit: Remote Horizon(遠程視界)

地元メディアの報道によると、中国の医療機器・サービスのユニコーン Remote Horizon(遠程視界)が債務危機に陥っている。経営陣は債務を返済せずに、協力パートナーを残して逃亡したと伝えられている。協力パートナーには全国約1,000軒の公立病院などがおり、激震が走っている。

この報道によると、北京にある Remote Horizon 本社には以前は5,000名の従業員が勤務し、中国全土に広がる63支店をモニターしていたが、いまや受付に2人が残るだけとなっている。

同社は「インターネット + メディカルケア(互連網+医療)」の O2O ビジネスモデルを構築し、医療関連のリソース最適化を実現すると言われていた。こうしたモデルのフレームワーク下で、Remote Horizon、各病院、金融機関が3者契約を結んでいた。金融機関は資金プロバイダーとして Remote Horizon の口座に送金し、Remote Horizon が機器を購入しパートナーの病院に展開する権限を認めていた。

結局のところ、各病院では機器の購入や借用に支払いを行う必要はなかった。その代わり、各病院は機器を保管する場所という位置づけだった。5年が経ち、Remote Horizon と金融機関が全オペレーションと資産の所有権を整理したところ、各病院が機器の所有者となることが判明した。また、Remote Horizon の機器購入価格は市場価格よりも大幅に高かった。

同社の元従業員によると、Remote Horizon のビジネスモデルの性質は資本運用というものだった。公立病院が受けている高い評価を利用して、Remote Horizon 自身を利する目的で、金融チャネルから資金を得たり、ソーシャルセクターおよび行政部門の認可を取得していたのである。

Remote Horizon(遠程視界)の声明。最近あった同社に関する報道は事実でなく、経営に非常に悪影響を与えていると述べている
(Image Credit: Remote Horizon)

同社はよくイベントに有名な専門家を招待していたため、多くの機器製造者や金融機関は同プロジェクトは権威あるものとして信用していた。また、国家開発銀行(China Development Bank)のテクノロジー投資部門である国家開発銀行テクノロジー(China Development Bank Technology)など、同社パートナーリストには大手団体が名を連ねていた。

三者契約の観点では各病院が契約上、財務責任を負うことにはなっていないが、機器利用と関連サービスを利用してきたため、法的には債務を負うことになる。Remote Horizon スキャンダルの犠牲になった病院から提供された一部情報によると、現時点で、同社と契約したものの機器を受け取っておらずサービスも全く提供されていない病院が全国で少なくとも442医院あるという。機器やサービスの総額は約63億人民元になると推定されている。

しかし Remote Horizon はウェブサイト上で声明を発表し、「事実に反する」否定的な報道を強く非難し、同社としては必要に応じて法的な保護措置も検討すると述べている。TechNode(動点科技)は Remote Horizon に問い合わせたが、本稿の公開時点で先方からの返事はない。

2016年以来、Remote Horizon は10億元以上の資金を確保し、業界ではユニコーンとしてよく知られるようになっていた。同社のスキャンダルは「インターネット + メディカルケア」プロジェクトやその他分野に大きなスローガンで参入準備を進めている人々に対する警鐘と言えよう。

【原文】

【via Technode】

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