これぞ、ゴミコイン! 4NEWが3,000万米ドルを調達、廃棄物を仮想通貨に変えるエコシステムを構築へ

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Image Credit: Pixabay

もしほんの少しでも仮想通貨、ブロックチェーン、分散型台帳という世界に触れたことがあるならば、まったく役に立たず仮想通貨のゴミの山になるしかないトークンを指す言葉も知ることになるだろう。

ゴミコインだ。

しかし、ある企業は仮想通貨のマイニングのため非常に変わったアプローチをとっている。我々人間が生み出す廃棄物をエネルギーへと変え、それを使って新たなトークンをマイニングするのだ。これによって上記の言葉は完全に別の、非常に有用な意味を与えられることになる。

廃棄物で発電施設にエネルギーを供給し駆動する、環境に優しいブロックチェーンエコシステムというビジョンのために、4New は Mirach Capital からの3,000万米ドルのプライベート・エクイティ機関投資ラウンドを発表した。これは Mirach Capital にとって、昨年末の2億米ドルの仮想通貨ファンドの発表後、初の投資である。

では、どういう仕組みなのか。

4NEW は嫌気性消化技術を活用して一般家庭の廃棄物を変換し、それを使って電気を作るというプロセスを設計している。現在このエネルギーはイギリスの National Grid へ売却されている。

このソリューションは他のブロックチェーンエネルギープラットフォームとは違ったものだと指摘しておかねばならない。

4New の CEO 兼共同設立者 Varun Datta 氏は筆者にこう語ってくれた。

4NEW は WePower や PowerLedger のようなエネルギー取引プラットフォームではありません。それらのソリューションはエネルギーの売買を仲介しているだけで、生み出しているわけではありません。弊社はエネルギーを生み出します。政府のインセンティブを使用することでコストをかけずに生産し、廃棄物の引き受け手数料で施設の運営コストを相殺しています。

そして、これはベーパーウェアでもない。4NEW の発電施設はイギリスのミドルズブラとハートルプールに位置しており、完全に稼動可能である。

廃棄物利用エネルギー(WTE)技術は新しいものではない。アメリカには71の WTE 施設があり、ヨーロッパには80以上のWTE施設がある。4NEW の戦略は世界規模で発電施設を購入し、作り、開発するための望ましいプロトコルとして、WTE を使うという単純なものだ。

だが、仮想通貨の要素を加えたことで、4NEW は WTE 産業の中でも意義深い存在となった。

同社は過剰な廃棄物やエネルギーの不足だけではなく、作り出されたエネルギーで仮想通貨のマイニングの際の貪欲なエネルギー消費を相殺することにも取り組んでいるのだ。National Grid に電力を売却することに加えて、現地のマイニングファームでマイニングを行うことにもエネルギーは使われることになる。

4NEW は Ethereum、Bitcoin、Bitcoin Cash、Litecoin およびその他の仮想通貨のようなデジタルアセットのマイニングを行う。正確にどの通貨のマイニングを行うのかは、4NEW のユーティリティコイン(KWATT)の所有者が決定する。

Datta氏はこう述べた。

KWATT は1キロワットの電力で支えられていますので、電力を送電網へ送り返せば KWATT コイン所有者へのリターンは提供できますが、新たな設備への再投資の役にはあまり立たないでしょう。しかしながら、現在のところマイニングが提供している収益は送電網へ送り返す収益の3~4倍で、弊社は将来の拡大のためにその大部分を取っておくことができます。したがって、マイニングの収益は施設に戻す電気のリース代として KWATT 所有者もしくはエネルギーの所有者への払い戻しに使われています。

そしてブロックチェーン技術は KWATT 所有者がきちんと情報を知り、最新情報を受け取るための重要な役割を果たしている。

Datta 氏はこう述べた。

ブロックチェーン技術は KWATT 所有者がリターンのために弊社のプラットフォームに賭けるだけのものではありません。エコシステム全体の透明性も提供できるのです。KWATT は単に1キロワットの電力にとどまるものではなく、所有者の明確な利益のモニタリングもできます。どれだけの廃棄物が埋立地から変換されたのか、どれだけの量の温室効果ガスを減らしたのかといったことです。

この温室効果ガスは、旧来の仮想通貨マイニングでは大きな意味がある。

これまでの仮想通貨マイニングコミュニティは、安価な電力を元としたマイニングに注力してきた。しかし、Bitcoin の年間電力消費量がチリ全体での電力消費量と同じくらいであるため、いくつかのアメリカの電力会社は電気料金の補助金を利用してマイニングを行うことを禁止している。

しかし WTE 施設は廃棄物処理サービスや副産物の販売で得た利益により損益のない運営をしている。そのため、生産されるエネルギーは、本質的に無料であり送電網に売却することができる。4NEW はこのエネルギーをブロックチェーンおよび最も望ましい仮想通貨のマイニングにつぎ込むことにした。

本日(7月23日)調達された資金は、そのコンセプトが最も必要とされる国に持ち込むために使用される。

Datta 氏は次のように述べた。

このプライベート・エクイティはすでに、これまでに着手した中で最も大きな資本を必要とするプロセスをチームが行う助けとなっています。販売するにあたり、一定の期間内に電力を生産する必要がありましたが、もしも自分たちで発電施設を建てようとしていたら達成できなかったでしょう。だからこそ、最初の施設は購入することで確保しなければなりませんでした。4NEW のロードマップはエキサイティングな方法で成長を続けます。すべての廃棄物を扱うためにセントルシアやプエルトリコの政府と現在進行形で話し合いを持っていることもその1つです。これらの国々は現在深刻な廃棄物問題を抱えています。弊社のエコシステムでその解決のお手伝いをしたいと考えています。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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