新生ファンド「Tin Men」、1億米ドルを調達中——東南アジアの企業向けスマート産業技術と自動化分野で、プレシリーズAステージ出資に特化

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左から:Murli Ravi 氏、Benjamin Tan 氏、Jeremy Tan 氏

シンガポールにはたくさんの新規ベンチャーキャピタルファンドがあるが、Tin Men Capital もその1社だ。しかし多くのファンドと違い、Tin Men はフォーカスをエンタープライズテクノロジーに絞っている。同ファームは1億米ドルの調達を進めているが、その最初の募集をクローズしたと共同設立者の Murli Ravi 氏が話した。ただし、(現在までの調達)規模についての明言はなかった。

Ravi 氏は、Tech in Asia に次のように話した。

ですが、私たちは軌道に乗っており、投資の準備が整っていると言って差し支えない状況です。

すでに初回投資案件の2件が確認済みで、さらに2件の評価が最終段階にあり、また追加の機会も積極的に探っています。

Ravi 氏は豊富な経験を持つ投資家だ。同氏は JAFCO Asia で東南アジアおよび南アジアの投資部門長を務めた経歴を持つ。同氏とともに Tin Men のパートナーとして参画することになったのは、元 Morgan Stanley のインベストメントバンカー Jeremy Tan 氏と、マーケティング広告代理店 Grey Group の元最高デジタル責任者(東南アジア部門)の Benjamin Tan 氏だ。

Tin Menはすでにシンガポールのスタートアップ2社に投資している。その1社 Overdrive IOT は Bluetooth を利用して企業が物理資産を追跡する方法を開発しており、もう1社の Globaltix はオンラインおよびオフラインの旅行代理店向けのe チケットソリューションプロバイダーだ。

同社プレスリリースによると、同ファンドでは今後に向けて「スマートシティ、セキュリティ、企業の生産性、輸送と物流、オムニチャネル小売ソリューション、旅行・観光」といった分野における「スマート産業技術とオートメーション関連の機会」を探っているという。

同社は東南アジアのプレシリーズ A でユニット経済性が高い企業に出資していく。ユニット経済性が高いというのは、顧客生涯価値が高いにも関わらず顧客獲得コストが低いということを意味する。

投資先がイグジットするまでの成長ライフサイクルを通じて当社がその後の資金調達ラウンドをリードすること、そして全資金調達およびイグジットプロセスを管理することを私たちは投資先にお約束しています。(Ravi 氏)

同社のウェブサイトではこう述べられている。

優れた事業でもユニコーンに見えないものには注目が集まらない状況が続いていますが、当社はファンダメンタルがしっかりしている B2B テクノロジー企業が花開けるよう支援していきます。

同社は、東南アジアのエンタープライズテクノロジー企業は資金への十分なアクセスが欠けており、資金が行き渡っていないと考えている。2007年から2017年までの東南アジアのベンチャーキャピタルデータによると、合計89億7,000万米ドルのうち58億米ドルがわずか6社の消費者向け大型スタートアップに集まっている。対照的に、エンタープライズテクノロジー企業は成功するのに大きな資本配備を必要としない。

Ravi 氏は守秘義務契約を理由に JAFCO で同氏が管理していたファンドの収益実績を明かしていない。しかし、Jeremy 氏とBenjamin 氏にはエンジェル投資で5倍のリターンをあげた実績があると同氏は話す。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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