西條晋一氏率いるXTech Ventures、ミドルエイジ起業家向けシード出資に特化した50億円規模ファンドを組成——みずほFGや東京建物らがLPに

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2018.8.6

サイバーエージェント・ベンチャーズWiL(World Innovation Lab)の立ち上げなど投資家としての顔だけでなく、スマートロックを開発するスタートアップ Qrio の代表として起業家としての活動にも忙しい西條晋一氏だが、3日、独立系ベンチャーキャピタル XTech Ventures の1号ファンドを組成したことが明らかになった。ファンド規模は50億円で、LP には、みずほフィナンシャルグループ(東証:8411)、東京建物(東証:8804)、グリー(東証:3632)、日用品卸大手のあらた(東証:2733)など、大手事業会社や金融機関が名前を連ねる。

西條氏は今年4月、東京建物と共同で東京・八重洲にスタートアップ支援拠点「xBridge-Tokyo(クロスブリッジトウキョウ)」をオープンさせている。スタートアップが集まる場をを準備し、次なるはそのスタートアップを成長させるビークルを新たに作り出したわけだ。投資領域は、「既存ビジネス × テック」で定義される分野として特に定められていないが、シードラウンドで1ショット投資額(チケットサイズ)が平均1億円と、やや高めに設定されている点が特徴的だ。その理由について、西條氏は THE BRIDGE に次のように語ってくれた。

若い起業家が増えているのは、すごくいいこと。でも一方で、わりと実力のあるミドルエイジの人たちが起業していないな、というのが僕の印象。彼らは転職してしまって、起業に至らないケースが多いように思える。

アメリカのユニコーン企業の創業者の年齢を見てみると、確かに20代が多いけど、35〜44歳あたりも一定割合を占めている(下図参照)。しかも、今、うまくいってる旬な会社の社長というのも40〜45歳くらいが多い。

(一番旬な年頃なので)その年代の人たちが、もっと起業して大丈夫なはず。彼らの背中を後押しするしくみを作りたかった。

ユニコーン企業の創業者年齢分布
Image credit: Harvard Business Review
CEO の現在年齢と創業者の創業時年齢分布
Image credit: Harvard Business Review

ただ20代の人々に比べれば、ミドルエイジの起業にはメンタル面でのハードルは高いかもしれない。自分一人ならまだしも、結婚して育ち盛りの子供もがいるケースも多いだろうし、家族をどうやって食べさせて行くかという生活費の面での不安が頭をよぎる。奥さんの両親を説得するために、一波乱あることを覚悟しなければならないかもしれない。

XTech Ventures ではそんな起業家のために、一般的なファンドよりもバリュエーションを少し高めに設定することを想定している。こうすることで、獲得するエクイティの持分は従来シード VC と同等の水準を維持しつつ、シード段階でやや多めの出資を可能にしている。XTech Ventures から投資を受けたスタートアップは資金面で比較的余裕を確保できるため、創業者メンバーは家族との適切な生活水準を維持しながら、事業開発にリソースを集中しやすくなる。

無論 VC の視点から言えば、バリュエーションを高めに設定するには相応の理由が必要になるわけだが、ミドルエイジで起業を志した人であれば、それまでの事業経験や豊富な人的ネットワークがバネとなり、事業を成功させられる可能性が高くなる、という仮説に基づいているようだ。40代ともなれば、大企業の中では部長や課長など一定の決裁権を持っている立場になっている人も多い。オープンイノベーションという観点から見ても、大企業とのリレーション形成に有利に働くシーンは容易に想定できる。

XTech や XTech Ventures では今後、起業家の集積やミドルエイジによる起業を促すため、xBridge-Tokyo 以外にもいくつかの施策を計画しているようだ。もう少し形が見てきたタイミングで、改めて詳報をお伝えしたい。

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