グルメメディアfavyがマイナビから10億円調達、月間リーチは6700万人にーーぐるなび、食べログを視界に捉える

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写真左から:マイナビ国内事業開発部長の森一磨氏、favy代表取締役の高梨巧氏

グルメメディアを主軸に総合食マーケティングを手がけるfavyは9月25日、10億円の資金調達を公表した。第三者割当増資によるもので、引き受けたのはマイナビ。

両者は資本提携を結び、全国規模の飲食店向けマーケティングサービス販売および採用事業での連携協力を開始する。具体的にfavyはマイナビが全国展開する60拠点1000名体制の営業人員を通じて、採用関連で繋がりのある飲食店を紹介してもらうほか、共同での飲食店向け採用ブランディング商品の開発などを進める。

また、favyはこれに合わせ、利用店舗向けのサービスストア「favy store」の提供開始も伝えている。

ユーザーリーチが6700万人に拡大、ぐるなび・食べログを追従

興味深いビジネスモデルで創業期からお伝えしているfavyが10億円の大型調達を実施した。一方、今回の引受先がマイナビ一社だけということからもわかる通り、目的は資金というより事業提携が狙いになる。代表取締役の高梨巧氏の話では現在の人員は約210名体制に拡大しており、半数を占める飲食店スタッフに次ぐ50名規模の営業体制が一気に強化されることになった。

マイナビとしてはこれまで食に関するコンテンツを持っておらず、事業ポートフォリオ上のタッチポイントとして欲しかったという意向があったようだ。もともとアルバイト採用で飲食店のアカウントは持っており、そこのアップセルを狙うのは分かりやすい戦略に思える。

そして今回のニュースで注目したいのがfavyのリーチ拡大になる。今回公表された6700万人(MAU)だけでの短絡的な比較はできないものの、先行する食メディア2社の情報を見てみるとこのような状況になっている。

  • 食べログ:月間利用者数1億5419万人、ネット予約累計4000万人(2018年6月)
  • ぐるなび:月間ユニークユーザー数6500万人、会員数1605万人(2018年7月)
    ※共に2019年3月期四半期決算資料から

店舗課金の積み上げと採用、そして食ビッグデータを活用した事業へ

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favyはショーケース店舗を企画・運営している点が特徴的

favyのビジネスモデルは説明が非常に難しい。昨年の調達ラウンドで彼らのモデルを少し読み解いてみたことがあるが、あれから1年、彼らは同じところに留まっていない。

<参考記事>

飲食業界特化のサイバーエージェントになるーーfavyが4.3億円調達し、ランドロイドと共同で「超特濃ごまアイス店」を始める理由

主力のサービスになっているのは「favyページ」と呼ばれる飲食店向けのマーケティングパッケージだ。月額1万5000円〜5万円のプランが用意されており、favyへの飲食店紹介記事の掲載やリスティング広告の代理、ノーショー保証、顧客管理などの機能が提供される。いわゆるSaaSモデルだ。これは現在、公表ベースで3万店舗(無料含む)が利用している。

また、以前の取材でも取り上げたように彼らは実店舗のショーケース的な事業も提供している。「飲食店のビジネスモデル開発」といったところで、今年9月にはそれらを集約した「シェフのためのコワーキングスペース」の開設を発表している。

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秋に銀座オープン予定の食特化コワーキングスペース

今回発表されたfavy storeもその一環で、飲食店事業を開始しようというシェフや企業に対し、デジタルマーケティング時代の飲食店経営ノウハウを提供するのが狙いだ。飲食経営の自動化やプロモーション、採用、業態企画、ハードの仕入れから物件の選択。高梨氏はこれを飲食店向けの「PaaS(プラットフォーム展開)」と呼んでいた。

いずれにせよ、彼らは月間6700万人のユーザーが何を食べたいと考えているのか、その「入り口」のビッグデータを押さえた。

そのデータトラッキングが最終的に実店舗の来店データ(位置やビーコン)と合わされば、メディア読者と飲食店を効果的につなぐ絶対的なプラットフォームになる可能性が高い。実はその先のアイデアも聞いているのだが、深い森に迷い込んで出てこれなくなるので、その件についてはまた次回にお伝えしたい。

長らく食べログ、ぐるなび、ホットペッパーなどの巨人が外食の入り口として君臨してきたが、その一角としてfavyが存在感を示しつつあるのは間違いない。

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