元ユナイテッドの手嶋浩己氏、XTech Venturesの共同創業者兼GPに就任——西條氏と共にミドルエイジ起業家、「既存ビジネス×テック」を支援

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左から:手嶋浩己氏、西條晋一氏(共に、XTech Ventures 共同創業者 兼 GP)
Image credit: XTech Ventures

先月、XTech Ventures(クロステック・ベンチャーズ)が1号ファンドを組成したニュースをお伝えしたばかりだが、共同創業者兼ジェネラルパートナー(GP)として、ユナイテッドで取締役を務めた手嶋浩己氏が加わることが明らかになった。XTech Ventures では西條晋一氏と共に、ミドルエイジ起業家を投資活動のほか、多面的な経営支援や IPO 支援を行う。XTech Ventures の投資戦略などについては、この拙稿を参照してほしい。

手嶋氏と言えば、今年6月に任期満了でユナイテッド取締役を退任したばかりだ。在任期間中には CocoPPa などのサービスを社内から作り出す一方で、同社によるスタートアップ各社への投資実行をリードしてきた。手嶋氏が手がけた案件の中でも、ユナイテッドがメルカリの初期投資家として参画したことは有名で、ユナイテッドは今年5月、メルカリの上場に伴い保有株売却で121億5,000万円の利益を計上した(この際は、ユナイテッドの株価も続伸した)。

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先月には手嶋氏が Gunosy とワンダープラネットの取締役に就任することも発表された。手嶋氏がユナイテッド在任期間中に事業開発と投資という、言わば〝二足のわらじ〟を履いて活動していたのに似て、当面は XTech Ventures の立ち上げに専念しながらも事業づくりにも注力したいという。XTech Ventures のもう一人の共同創業者兼 GP である西條氏も Qrio の代表取締役を兼任しており、手嶋氏と同じく〝二足のわらじ〟モードということになるが、この点については XTech Ventures のリミテッドパートナー(LP)らもポジティブに評価しているそうだ。

ユナイテッド時代の感覚で言えば、事業をやっているから投資案件の話が来たというのは、以前からあった。(ユナイテッドでは)社内でアプリ事業をやっていて、その延長で他社への投資を始めたら、気づいた頃にはベンチャー投資という事業に育っていたという感じ。いろいろな VC が出てきているので、LP にも起業家にも選択肢が広がってきている。そんな中で、我々のような VC が居てもいいのではないか。(手嶋氏)

スタートアップ創業者や経営者がエンジェル投資家になるケースは日本では増えつつあり、投資家と経営者の境目はだんだん曖昧かつ柔軟になってきている。もっともこの点ではアメリカの方が先行していて、PayPal を創業した Peter Thiel は eBay に事業売却後、Facebook 最初の外部投資家となり、現在でも Facebook の取締役を務めている。

手嶋氏は、自分のお金を投資するエンジェル投資家と、LP のお金を預かって投資する VC の違いはありつつも、二足のわらじを履いていることで事業経験を生かすことができ、VC でありながらもエンジェル投資家に近い心意気でコミットができるのではないか、と語ってくれた。事業開発経験者ゆえ、起業家の展望や悩みに寄り添える機会も増えるかもしれない。

会社を辞めて、一念発起して誰に相談しようかなという人たちに、真っ先に相談に乗れるキャラクタとポジションになれればいいな、と思っている。自分たちから積極的にディールソースしにいく対象としては、ミドルエイジの起業家とか、「既存ビジネス × テック」という文脈で探しに行きますが、もちろん、若い起業家からも打診を受ければ検討します。(手嶋氏)

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